クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第14回は前回紹介したフェラーリ 308GTBの進化形たちを登場させよう。

タルガトップのGTSもラインアップ。エンジンは4バルブに

フェラーリ 308GTS(1977-1980年)

画像: タルガトップの爽快さは格別。エンジンベイ背後にラゲッジコンパートメントを設けた実用性は308GTB譲りだ。

タルガトップの爽快さは格別。エンジンベイ背後にラゲッジコンパートメントを設けた実用性は308GTB譲りだ。

フェラーリ 308GTBは高い人気を得て、フェラーリとしては異例の量販モデルとなった。だが、それだけに北米からはオープンモデルを望む声が高まっていった。その声に応えるため、1977年のフランクフルト モーターショーでデビューしたのが308GTSだ。Sはスパイダーを意味するが、その形態はフルオープンではなくブラック塗装のFRP製デタッチャブルルーフを備えたタルガトップだった。取り外したルーフパネルはシート背後に収納することができた。また、GTBではリアクオーターウインドーが装着されていた部分が梨地仕上げの開閉可能なルーバーパネルで覆われたのもGTSの特徴だった。左側パネルの奥には、燃料給油口のキャップが配された。

シャシやエンジンはGTBの機構をそのまま引き継いでおり、3LのV8 DOHCエンジンは5速MTと一体でコクピットの後ろに横置きミッドシップ搭載される。欧州仕様はドライサンプを採用して255ps、排出ガス規制の厳しい北米/日本仕様はウエットサンプで240psを発生するのも同じだ。GTBのスタイルを損なうことなくオープンエアドライブが楽しめるGTSの人気は高く、1977年から80年までにGTBを50%も上回る3219台が製作された。

1980年からは排出ガス規制対応のため燃料供給装置をキャブレターからボッシュKジェトロニックのインジェクションに変更した308GTSiに切り替えられることになる。これはGTBも同様で、車名は308GTBiとなった。

308GTB クワトロバルボーレ(1982-1985年)

画像: 2バルブ版との外観上の差はごくわずかなので、パッと見には区別は付けにくい。

2バルブ版との外観上の差はごくわずかなので、パッと見には区別は付けにくい。

排出ガス規制でインジェクション化された308GTBi/GTSiは214psにパワーダウン。牙を抜かれた308の性能回復を目指すべく、1982年にフェラーリはエンジンの4バルブ化を実施した。車名のクワトロバルボーレとは、イタリア語で4バルブを意味する。伝統のV8は排気量はそのままだが、9.2の圧縮比とボッシュKジェトロニック、マレリMED803Aデジプレックス電子制御式点火を採用して、欧州仕様が240ps、北米仕様でも235psの最高出力を発生。最高速度は255km/h、0→400m加速は14.5秒という性能を発揮して、再び世界のベンチマークとなった。

2バルブ版との外観上の差はわずかだが、フロントリッドに追加されたラジエターの熱気抜き用ルーバー、ラジエター両端の角型ドライビングランプ、角型のサイドマーカーなどで識別できる。インテリアでは、ブラックの梨地仕上げを施した3本スポークの本革ステアリングホイールや三角形のセンターセクションなどがクワトロバルボーレの証だ。クーペのGTBと同時にタルガトップのGTSも4バルブ化され、車名は308GTSクワトロバルボーレとなっている。

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