重量税は車両重量によって決まる。では車両総重量はいつ使う?
クルマの重さを意識する機会は、購入時や車検を継続するなど自動車重量税(以下、重量税)を支払うときだろう。その名のとおりクルマの重さによって税金の区分がわかれており、課税は「車両重量」を対象としている。「車両総重量」は関係ない。
カタログや国産自動車メーカーのウェブサイトを見るとどちらも記載されているが、輸入車の一部や持ち込み登録を必要とする特殊な車種は、車両重量のみで車両総重量を記載していない場合もある。だが、重量税に関しては車両重量さえわかればいいので、ここで問題になることはない。
ちなみに重量税は500kgごとに、税額が年額4100円ずつ増額されていく(軽自動車の税額は異なる)。500kg以下の乗用車の年額は4100円で、車両重量1100kgなら年額1万2300円、1600kgになると1万6400円になる。この税額設定は初度登録から12年までで、13年から先は高くなり、また18年が経過するとさらに高くなる。
前述の機械式立体駐車場はちょっと厄介だ。パレットには載せることができる最大重量が記載されているが、その表記方法は駐車場によってまちまちで、車両重量で書かれていたり車両総重量だったり、はたまた併記されていることもある。安全に運行するためには、この最大重量を守らなくてはならないが、自分のクルマの車両総重量をすぐに答えられる人は少ないだろう。
しかしそんな場合でも、日本の機械式立体駐車場は2500kgから3500kgを最大重量としていることが多いため、乗用車ならほとんどのクルマを入庫させられるはずだ。とはいえ、まずは車検証を確認することをオススメする。
ただし、大型のモデルはボディサイズが原因で入庫できない場合もある。例えば最新ミニバンのトヨタ グランエースは、アンテナ類をわざわざ運転席の屋根に搭載することで全高を1990mmに抑えている。これは、高さ制限を2000mm以下に設定されている多くの立体駐車場に対応させるためだ。ちょっと見栄えがよくないものの、リアに付けると2000mmをオーバーしてしまうので仕方ない。
さてちょっと話がそれてしまったが、車両重量と車両総重量の違いをひと言でいい表すと「ひとが乗った状態かどうか」ということ。車両重量はクルマそのものの重さで、燃料を満タンに入れ、エンジンオイルやクーラント液も入れられて、まさに「走れる状態」での重量を表す。少し細かいことをいうと車両重量には、車載工具やスペアタイヤ、タイヤ修理キットなどの重量は含まれていない。
これに対して車両総重量はというと、車両重量に乗車定員分の人の重さがプラスされたものだ。ひとりを55kgとして計算するため、ミニバンのような7人乗りだと車両重量より385kg重いことになる。車検証にも記載されているものの出番の少ない車両総重量だが、タイヤを選ぶときの目安になっている。
とくに乗車定員の多いミニバンのタイヤに、荷重指数の大きいなものを指定されているケースが多い。タイヤ1本あたりが受け持つことができる重量が荷重指数だから、車両総重量によって装着できるタイヤがかわるわけだ。前述のミニバン グランエースは車両総重量3000kgをオーバーする重量級のため、新車装着タイヤは耐荷重の大きいライトトラック(LT)用が採用されている。
もうひとつ、クルマの重量を表すものとして「乾燥重量」という言葉がある。これは車両重量と異なり、燃料やオイル、クーラントなどの油脂類を入れていない状態での重量のことで、一部のスポーツカーやオートバイなどのカタログなどに記載されていることが多い。燃料やオイルが入っていないため走れない状態だが、クルマそのものだけの重量を知ることができる。
日常で気にする機会が少ない車両重量や車両総重量だが、覚えておいて損はない。急に機械式立体駐車場を利用することになっても入庫の可否をすぐに判断できるし、タイヤ選びのときにも役に立つからだ。もし忘れてしまっても車検証で確認することができる。(文:丸山誠)