2019年7月31日金曜日、2度目の3連戦の緒戦となるF1第4戦イギリスGPが、シルバーストンサーキットで始まる。メルセデスAMGに開幕3連勝を許したレッドブル・ホンダはここからどう盛り返すか。チャンピオン獲得のためには、もうこれ以上メルセデスAMGに勝たせるわけにはいかない。

条件が変われば一気に差が詰まる可能性も

レッドブル・ホンダにとって開幕3連戦は厳しい結果となった。レッドブル・ホンダ有利と言われていたが、気候や条件がレッドブル・ホンダに向いたものにならなかったのか、メルセデスAMGとの差を感じさせる結果となった。

ただその差はそれほど大きくはなく、条件が変われば一気に差が縮まる可能性もある。しかしメルセデスAMGの2台はチームメイト同士でバトルをしているように見えても、チームとして戦略を立てて戦えているのが大きい。一方のレッドブル・ホンダは2台の間隔が開くことが多く、フェルスタッペン頼みという状況だ。

画像: 第4戦、第5戦が連続して開催されるイギリス・シルバーストンサーキットのコースレイアウト。名うての超高速サーキットとして知られる。

第4戦、第5戦が連続して開催されるイギリス・シルバーストンサーキットのコースレイアウト。名うての超高速サーキットとして知られる。

昨年終盤にはほぼ互角になったと言われたレッドブル・ホンダとメルセデスAMGのマシンの性能。それが今シーズンになりメルセデスAMGの新兵器DASが大きな効果を発揮している可能性もある。DASはコーナリングでトーをコントロールするもので、具体的にはコーナー入口でタイヤをハの字にすることによりコーナリングスピードを上げ、ストレートで元に戻すことにより最高速を伸ばすというものだ。このメカニズムはレギュレーションに抵触しないことが認められて今季は使用できるが、来季以降は使用禁止となることが決まっている。もしこれが大きな効果を発揮しているとすれば、ライバルにとっては、これから開発することが難しいのでやっかいだ。

アルファタウリ・ホンダは、決勝のレースペースは悪くないが、どうもフリー走行からの走り出しで苦しんでいる傾向が見られる。ファクトリーでの基本セッティングがサーキットに合わず後手を踏み、それを挽回するのに時間がかかり、予選で思うような結果が得られていないようだ。いい基本セッティングがが見つかれば、トップ10入りは難しくない。

では、F1の聖地と言われるシルバーストンで行われる第4戦イギリスGPはどうなるのか。ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「次の2戦は、我々の英国拠点のHRD-UKにもほど近い、シルバーストンサーキットで行われます。シルバーストンはカレンダーの中でも随一の高速サーキットとして知られており、車体とパワーユニットのパッケージとしての実力が試される場所です。気候が不安定な英国の夏なので、順応性もレースのカギになります。 このレースに向けてトラブル対策やパワーユニットの使い方の最適化検討など分析と対策を進めてきました。昨年は上位争いをしながらも接触により表彰台を逃すという悔しいレースになりました。今年も簡単なレースになるとは思っていませんが、チャレンジを続けていきます」と語っている。ホンダ勢のドライバーは第4戦イギリスGPに向けてのインタビューで次のように語っている。

マックス・フェルスタッペン

画像: マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。メルセデスAMGに対抗できる唯一の存在となっているが、まだその牙城を崩せていない。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。メルセデスAMGに対抗できる唯一の存在となっているが、まだその牙城を崩せていない。

「シルバーストンからまた3連戦が始まるのを楽しみにしています。シルバーストンは走っていて本当に楽しいコースです。高速コーナーばかりでコプスに至っては全開で抜けられます。マゴッツも7速に入れて全開で行くとんでもないコーナーで、予選ではブレーキに触れることすらせずにシフトダウンだけで抜けていくことになるでしょう。シルバーストンでは、適切なウイング角を見つける必要があります。そして、もちろん低速コーナーではダウンフォースとグリップが確保したくなるものです。さらに、英国の夏ですから、雨が降る可能性もあります。でも、僕はそういうコンディションが好きですし、条件が変わるのも悪くありません」

アレクサンダー・アルボン

画像: アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。フェルスタッペンとともにチームでメルセデスAMGに対抗していきたいところ。レース序盤で優勝争いに加われるかがポイントとなる。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)。フェルスタッペンとともにチームでメルセデスAMGに対抗していきたいところ。レース序盤で優勝争いに加われるかがポイントとなる。

「チームとしては開幕戦で2台ともリタイアなど、いいスタートを切れませんでしたが、その後2戦ではポイントを重ねることができました。どの部分に取り組まなければならないかは分かっていますし、気持ちはポジティブです。過去を振り返ると、チームにとってはなかなか相性のいいサーキットですし、僕もドライビングを楽しめるコースなので、いい結果が残せればと思います。オーバーテイクの難しいハンガリーで追い上げることができたのはよかったですが、もう二度と後方スタートはしたくありません。レースでのマシンはとてもいいので、課題は土曜日の予選です。決勝に向けていい位置を確保しなければなりません」

ダニール・クビアト

画像: ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)。第2戦で10位入賞。レーシングポイント、マクラーレンらとの中団グループ戦いは熾烈で、ポイント獲得のためには予選順位が重要となる。

ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)。第2戦で10位入賞。レーシングポイント、マクラーレンらとの中団グループ戦いは熾烈で、ポイント獲得のためには予選順位が重要となる。

「3戦を終えましたが、マシンの長所と短所を見極めるのはまだ少し難しい状況です。走り始めの基本セッティングを早く見つけることが、いいレースウイークとなるかどうかのキーになります。今週末のシルバーストンではいくつか違うことを試してみて、改善できるかを確認したいと思っています。レースペースはいいので、10番手前後のグリッドからスタートできれば、いいレースができるはずです。予選でもっとパフォーマンスを発揮できるようにプッシュしていきます。シルバーストンはとても面白いコースで、ロングストレートのおかげでいいバトルが見られます。ここから、またトリプルヘッダーになります。開幕3連戦もタフではありましたが、ここからさらにタフな戦いとなっていきます」

ピエール・ガスリー

画像: ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。昨年のイギリスGPでは4位入賞、得意とするシルバーストンでの走りが楽しみ。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。昨年のイギリスGPでは4位入賞、得意とするシルバーストンでの走りが楽しみ。

「シルバーストンは大好きなコースのひとつです。高速コーナーが多く、マゴッツやベケッツのようなセクションではリズムに乗って走ることができるので、シーズンの中でも最もエキサイティングなセクションです。旧第1コーナーのコプスが超高速コーナーになり、事実上コーナー数が減ったことで、以前よりもエンジンパワーが重視されるようになりました。直線でのスピードがとても重要です。高速コーナーが多いコースではタイヤに負荷がかかるので、オーバーステアやアンダーステアが予選に影響します。レースではタイヤマネジメントも重要になるでしょう。この3連戦については、前の3連戦の疲労も少し出てくるかもしれません。僕自身は問題ありませんが、メカニックやエンジニアたちは感染防止対策を行いながらハイペースで仕事をしなけれればなりません。3連戦を複数行うことは簡単なことではないですし、パドックのみんなにとっては、非常に負荷の高い状況になります」

F1第4戦イギリスGPは、7月31日金曜日11時(日本時間19時)からのフリー走行1回目で幕を開ける。予選は8月1日14時(日本時間22時)、決勝は8月2日14時10分(日本時間22時10分)に開始される。

This article is a sponsored article by
''.