2020年8月2日、F1第4戦イギリスGPがシルバーストン・サーキットで開催され、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンが優勝。2位にはレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、3位にはフェラーリのシャルル・ルクレールが入った。ホンダ勢は、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)が7位、アレキサンダー・アルボン(レッドブル)が8位だった。

ファステストラップを狙ったタイヤ交換だったが

超高速コーナーが連続するシルバーストンは、パワーユニット性能や空力効率(いかに少ない抵抗で大きなダウンフォースが獲得できるか)の高さなどマシンの総合力が試されるサーキットであると同時に、タイヤにも厳しい場でもある。

その特性がレース終盤に牙を剥いた。序盤2度のセーフティカー出動でほとんどドライバーが早めにハードタイヤに履き替えてタイヤ交換義務を終え、以降は他を圧倒するメルセデスAMGの2台を先頭にほとんど動きがなかった展開が、タイヤトラブルによって土壇場で大きく動いたのだ。

残り2周、2番手を走っていたメルセデスAMGのバルテリ・ボッタスが突然左フロントタイヤをバーストさせてスローダウン。これで2番手に上がったフェルスタッペンは、後ろのルクレールとのタイム差を確認して、ファステストラップを狙うべくピットインしてソフトタイヤに交換する。

これが結果的には勝負の分かれ目になった。その直後、今度は5番手にいたカルロス・サインツ(マクラーレン・ルノー)も左フロントタイヤをバーストさせる。そして最終ラップ、なんと首位独走のハミルトンも左フロントタイヤをバーストさせてしまった。

これで逆転勝利の目が出てきたフェルスタッペンだが、直前のタイヤ交換で失ったタイムは大きく、半周以上をスロー走行するハミルトンに最後まで追いつかず今季初勝利にわずかに届かなかった。

「最後は不運だったのか、幸運だったのか、よくわからない展開だったね。でもこの2位には満足している」と、レース後に冷静にコメントしたフェルスタッペンは、ファステストラップポイントも加えてこれでランキング2位のボッタスに6点差まで迫ることになった。だが、メルセデスAMGとレッドブル・ホンダの間にはまだ大きな差が存在しており今後の技術陣の奮起が望まれる。

ホンダ勢は、アルファタウリのダニール・クビアトこそ序盤に単独クラッシュしてリタイアしたものの、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)、アレキサンダー・アルボン(レッドブル)は終盤の追い上げでそれぞれ7、8位と入賞圏内でフィニッシュしている。

画像: フェルスタッペンは最後にファステストラップの1ポイントを狙ってソフトタイヤに交換するためピットイン。この直後にハミルトンの左フロントタイヤがバーストする。

フェルスタッペンは最後にファステストラップの1ポイントを狙ってソフトタイヤに交換するためピットイン。この直後にハミルトンの左フロントタイヤがバーストする。

薄氷の最終ラップ乗り越え、ハミルトン3連勝で選手権独走へ

「最後のラップまでは順調だったけど、突然、おかしくなった。なんとかコントロールできたけど、最後にこんなことが起きるなんて経験は初めて、心臓が止まりそうだったよ」

最終ラップのタイヤバーストというあわやの場面を冷静かつ慎重に乗り越え、地元イギリスGP7勝目、シーズン3連勝を飾った王者ハミルトンは安堵のコメントを残した。

スローダウンしたチームメイトのボッタスが11位に沈んだことで両者のポイント差はこれで30点もの大差に。ミハエル・シューマッハーの持つ史上最多勝&最多王者獲得記録へ、圧倒的な速さに強運まで揃えた現役最強ドライバーの視界は良好だ。

次戦第5戦は8月9日、70周年記念GPとして同じシルバーストン・サーキットで開催される。次戦は今回よりも柔らかいタイヤが使われることが決定しており、タイヤの使い方が大きなポイントとなりそうだ。

画像: タイヤをバーストさせたまま、なんとか逃げ切ったハミルトン。フェルスタッペンがピットインしていたので助かった。ハミルトンは87勝目、母国イギリスでの7回目の優勝を記録した。

タイヤをバーストさせたまま、なんとか逃げ切ったハミルトン。フェルスタッペンがピットインしていたので助かった。ハミルトンは87勝目、母国イギリスでの7回目の優勝を記録した。

2020年 F1第4戦イギリスGP 結果

優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)52周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) +5.856s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +18.474s
4位 3 D.リカルド(ルノー) +19.650s
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー) +22.277s
6位 31 E.オコン(ルノー) +26.937s
7位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) +31.188s
8位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) +32.670s
9位 18 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス) +37.311s
10位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ) +41.857s

リタイア 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)

F1ドライバーズランキング(第4戦終了時)

1位 L.ハミルトン(メルセデスAMG)88
2位 V.ボッタス(メルセデスAMG)58
3位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)52
4位 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)36
5位 C.ルクレール(フェラーリ) 33
6位 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)26

F1コンストラクターズランキング(第4戦終了時)

1位 メルセデスAMG 146
2位 レッドブル・ホンダ 78
3位 マクラーレン・ルノー51
4位 フェラーリ 43
5位 レーシングポイント・メルセデス 42
6位 ルノー 32
7位 アルファタウリ・ホンダ 13

This article is a sponsored article by
''.