2020年8月28日金曜日、F1第7戦ベルギーGPが開幕する。ベルギーGPは例年は長いサマーブレイク明けに開催されるが、今年は新型コロナウイルスの影響によるタイトなスケジュールの中、イタリアGP、トスカーナGPへと続く今季3度目の3連戦の初戦と位置づけられる。ベルギーGPが開催されるスパ・フランコルシャンは「パワーサーキット」として知られ、高低差のある高速コースで息を飲むような激しいバトルが毎年繰り広げられるが、果たして今週もメルセデスAMGとレッドブル・ホンダの一騎討ちとなるのか、それとも復活の兆しを見せるフェラーリが盛り返すのか。今シーズンのレーススケジュールも確定し、シーズン中盤の正念場を迎える。(写真は昨年のベルギーGP)

今季3度目の3連戦はスリリングな超高速バトル

1週間のインターバルを置いて、いよいよ今季3度目の3連戦が始まる。今回の3連戦はいずれも高速サーキットが舞台となるのが特徴。もちろん、各チームはそれを想定した準備を進めており、1週間のインターバルでどれだけの進化を遂げたのかも注目される。

3連戦の初戦ベルギーGPが開催されるスパ・フランコルシャンサーキットは、ベルギーの首都ブリュッセルの東、ドイツとの国境に近いアルデンヌの森の中に位置する、アップダウンの激しいタフなコース。ドライバーの腕の差がはっきりと出るとも言われる。

またエンジン全開率が高く、エンジンパワーが重要なポイントとなる。現在のF1では珍しい7kmにおよぶロングコースの平均速度は240km/hを上回る。

その一方でタイヤへの負担も大きく、タイヤのマネージメントも重要となる。スパウエザーと呼ばれる特有の変わりやすい天候もチームやドライバーを悩ませる。しかも1周の距離が長いため、コースの一部だけが降雨となることもあり、タイヤ交換の判断の遅れは大きなタイムロスを招くことになる。

画像: ベルギーGPが開催されるスパ・フランコルシャンサーキットのコース図。全長約7km、高低差約100m、エンジン全開率約80%、オールージュでは縦G、プーオンでは横Gが待ち構える。

ベルギーGPが開催されるスパ・フランコルシャンサーキットのコース図。全長約7km、高低差約100m、エンジン全開率約80%、オールージュでは縦G、プーオンでは横Gが待ち構える。

昨年のベルギーGPでは、夏休みを明けてフェラーリが復活、ポールポジションからスタートしたフェラーリのシャルル・ルクレールが見事にF1初優勝を遂げている。レッドブルのマックス・フェルスタッペンはスタート直後の接触によりリタイアしているが、ホンダユーザーはほかの全車3台が入賞を果たした。なお、トップ3はソフト→ミディアムの1ストップで走り切っているが、今シーズンはラップタイムが1秒以上も速くなっている上、気温が上がるという予報もあり、タイヤへの負担が大きくなるため予断は許されない状況だ。

画像: 昨年2019年のベルギーGPはポールポジションからスタートしたフェラーリのシャルル・ルクレールがハミルトン(メルセデスAMG)を抑えてF1初優勝を遂げている。

昨年2019年のベルギーGPはポールポジションからスタートしたフェラーリのシャルル・ルクレールがハミルトン(メルセデスAMG)を抑えてF1初優勝を遂げている。

では、今年のベルギーGPはどうなるのか。今シーズンはここまでメルセデスAMGが5勝、レッドブル・ホンダが1勝と、シーズンはメルセデスAMG優勢で進んでいる。また、スパ・フランコルシャンのコース設定はパワーに勝るメルセデスAMGが有利と見られるが、意外やメルセデスAMGは2017年以来、ここで勝てていない。

また、レッドブル・ホンダは超高速サーキットと言われるシルバーストンで今季優勝を飾っており、メルセデスAMG有利とも言い切れない。天候が変わりやすいスパだけに、波乱も十分に考えられると言えるだろう。

そんな中で注目したいのがフェラーリ。今シーズンはなかなか調子が上がってこないが、昨年優勝を飾ったコースでもあり、またこの後、イタリアで3回もグランプリが開催されることもあり、このままでは終わるはずがない。ちなみにフェラーリはベルギーGPを2連覇している。

タイヤを供給するピレリはベルギーGPに向けて「この時期のベルギーの天候は非常に変化しやすく、コースの一部では雨が降っていても、別の部分では乾いている可能性もあります。雨が降るとコースに小さな川ができるのも要注意です。過去に高温が見られたこともあります。スパはタイヤにとって最も挑戦的なサーキットのひとつです。大きな課題を提供するのはコーナーだけではありません。長いストレートはタイヤを冷却し、コーナーのグリップに影響を与えます。それでも昨年はトップ3のドライバーがワンストップで走り切りました。今年はラップタイムがかなり速くなると予想されていますが、今年のタイヤ設定は昨年よりも一段柔らかくなっています。昨年、ほとんどのドライバーがハードタイヤを選択しなかったためです。ベルギーGPは開催日付が変更されていないため、チームはデータをたくさん持っていると思いますが、例年との違いは、スパ24時間が通常どおり数週間前に行われなかったことです。これがどう影響するかは興味深いことです」と分析している。

画像: 今年のベルギーGPのタイヤセット。昨年よりも一段柔らかいタイヤが用意される。

今年のベルギーGPのタイヤセット。昨年よりも一段柔らかいタイヤが用意される。

さて、レッドブル・ホンダとメルセデスAMGの戦い、そしてフェラーリはどうなるのか、どんなレース展開になるのか。第7戦ベルギーGPは8月28日11時(日本時間18時)から始まるフリー走行で開幕、予選は8月29日15時(日本時間22時)、決勝は8月30日15時10分(日本時間22時10分)に開始される。

【参考】2019年F1第13戦ベルギーGP決勝 結果

優勝 16 C.ルクレール(フェラーリ)44周
2位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)+0.981s 
3位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+12.585s 
4位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)+26.422s
5位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+81.325s 
6位 11 S.ペレス(レーシングポイント)+84.448s 
7位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)+89.675s 
8位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー)+106.639s 
9位 10 P.ガスリー (トロロッソ・ホンダ)+109.168s
10位 18 L.ストロール(レーシングポイント)+109.938s
リタイア 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

画像: 昨年2019年のベルギーGPの各チームのタイヤ戦略。昨年はワンストップ戦略が正解だったようだ、今年はどうなるか。

昨年2019年のベルギーGPの各チームのタイヤ戦略。昨年はワンストップ戦略が正解だったようだ、今年はどうなるか。

【参考】2019年F1第13戦ベルギーGP予選 結果

1位 16 C.ルクレール(フェラーリ) 1:42.519
2位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ) 1:43.267
3位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:43.282
4位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:43.415
5位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 1:43.690
6位 3 D.リカルド(ルノー) 1:44.257
7位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー) 1:44.542
8位 7 K.ライコネン(アルファロメオ・フェラーリ) 1:44.557
9位 11 S.ペレス(レーシングポイント・メルセデス) 1:44.706
10位 20 K.マグヌッセン(ハース・フェラーリ) 1:45.086※グリッド降格のため、 3 D.リカルドは10番手、27 N.ヒュルケンベルグは12番手から決勝スタート。

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