世界のトップカテゴリーの表舞台へ
アルピーヌはシグナテックとのジョイントチームで2015年からWEC世界耐久選手権のLMP2クラスに参戦し、ル・マン24時間レースに4度挑戦して3回のクラス優勝、2度のシリーズチャンピオンに輝くなど活躍しているが、いよいよトップカテゴリーのLMP1に挑戦して総合優勝を狙うことになる。
WECのレギュレーションは2021年よりLMHハイパーカークラスとLMDhプロトタイプカークラスのハイブリッドカー主導へと大きく変更されることが決まっているが、トップカテゴリーのLMHとLMDh、そして現行のLMP1は厳格な性能調整によって、どちらも同等のパフォーマンスが発揮できるようになると言われている。ライバルとなるエントラントの詳細はまだ明らかになっていないが、すでに参戦を表明しているトヨタに対抗できるということだろう。
2021年に使用するマシンは現在開発中ということだが、長年パートナーを組んでいるオレカ製のシャシとギブソンのエンジンをベースにしたものになるようだ。チーム名は『アルピーヌ・エンデュランス・チーム」となるが、シグナテックとの協力関係は継続される。この正式発表に先駆けて行われた日本人ジャーナリスト向けのオンライン記者会見では「今年11月ごろには完成し、テストを開始する予定」と答えている。まだドライバーラインアップも未定だが、スキル、経験、チームとの融合などを考えて決定するとしている。
また、ハイブリッドカーでの参戦については「現時点では、LMDhやLMHがどうなっていくかを注視している。2022年以降について語るのは時期尚早であり、現在はLMP2に、そして来年はLMP1プログラムに集中する」という。
アルピーヌのマネージング・ダイレクター、パトリック・マリノフは「1955年に誕生以来、アルピーヌはラリーやル・マン24時間とともに歩んで来ました。コンペティションへの情熱がDNAであり、2013年にWECに戻り、そして2021年にLMP1に復帰するのは自然なことです」と最高峰カテゴリー参戦の経緯を説明する。
また、これを受けて、シグナテックのディレクターであるフィリップ・シノーは「これはエキサイティングで信じられないほど刺激的な挑戦であり、アルピーヌが世界のモータースポーツの歴史でさらに大きな存在感を持つことができるように、挑戦したいと思っています」と語った。
なお、アルピーヌは2021年からルノーにかわってF1に参戦することもすでに発表。ルノーグループは今後アルピーヌをルノーのスポーツカーブランドとしてアピールしていくという戦略を持っているようだ。古くからの耐久ファンにとってアルピーヌの復活はなんともうれしいし、「アルピーヌF1チーム」がF1グランプリにどんな風を吹き込むのか楽しみだ。