2020年9月20日、第88回ル・マン24時間レースの決勝を前に、突然、現在開発中のハイパーカー、「トヨタGR Super Sport(仮称)」の市販車プロトタイプがサルテサーキットに登場。アレックス・ブルツが実際にレーシングコースをドライブした。
ル・マン24時間レースのスタートセレモニーに参加
トヨタはすでに2021年のWEC/ル・マンに、「ル・マン・ハイパーカー(LMH)」規定のマシンで参戦することを明らかにしているが、マシンの正式な発表を前に、その市販車のプロトタイプカーがル・マン24時間レースの決勝が行われるサルテサーキットに姿を現した。
今回登場したのは公道走行用の試作車で、「ル・マン・ハイパーカー(LMH)」規定のレース用車両とは異なる。公道走行用の市販モデルはレース用車両をベースに開発されることになっているので、公道走行用の試作車のほうが先に公の場に登場したことになる。
サルテサーキットに姿を現した「トヨタGR Super Sport(仮称)」は、ル・マンのイベントのために特別にオープン仕様にカスタマイズされたモデルで、GRのカモフラージュ柄が施されていた。この車両をかつてトヨタのWECドライバーとして活躍したアレックス・ブルツがドライブ、村田久武チーム代表を助手席に乗せてデモンストレーションランを行うとともに、決勝スタート前のトロフィー返還セレモニーに参加した。
トヨタからこのモデルについての詳細なリリースは出ていないが「GR Super Sport(仮称)は、モータースポーツを通じてもっといいクルマづくりに取り組むTOYOTA GAZOO Racingの理念を具現化したクルマです。そして、TGRのレース活動とGR商品の非常に密接な関係を示す象徴でもあります」とコメントしている。
なお実際にステアリングを握ったアレックス・ブルツは、「GR Super Sport(仮称)の開発中のモデルを、初めて公の場で、しかもこのクルマとつながりの深いル・マンのサーキットでドライブすることができてとても光栄です。GR Super Sportはここル・マンで生まれたクルマなので、ホームに戻ったように感じます。今回このクルマを運転するのは私にとって初めてで、さらに1周では限界まで性能を発揮させるチャンスはありませんでしたが、GR Super Sportがすでに高いパフォーマンスとポテンシャルを持っていることが感じられました。運転中は、特に四輪駆動とハイブリッドシステムにTS050 HYBRIDとの類似性を感じました。エンジニアたちは、それはこのクルマの本当のパフォーマンスのほんの一部だと言っていたので、近い将来、またこのクルマをドライブできる日がとても楽しみです」とコメントしている。
トヨタGR Super SportのLMH規定のレース用車両の正式発表は10月あるいは11月には行われ、シェイクダウンテストに入ると言われている。