2020年9月18日、マクラーレン スペシャル オペレーションズ(MSO)が手がけた5台のマクラーレン セナ GTRが完成した。この5台は、1995年のル・マン24時間レースを席巻して総合優勝したマクラーレン F1 GTRを記念して生まれた。

パワーユニットも845psと800Nmにパワーアップ

画像: 1995年のル・マン24時間レースで優勝したマクラーレン F1 GTR。

1995年のル・マン24時間レースで優勝したマクラーレン F1 GTR。

マクラーレン F1は、1990年代のスーパーカー第2黄金期を代表するモデルだ。1995年のル・マン24時間レースで、マクラーレン F1 GTRは1位、3位、4位、5位、そして13位でフィニッシュした。今回、この5台をインスパイアして、マクラーレン セナ GTR LMと名づけられたスペシャルモデルが製作された。

マクラーレン セナは、現在のマクラーレンのアルティメット シリーズのモデルで、中でもセナ GTRはサーキット走行専用モデルだ。F1マシンを除けば、マクラーレンが製作したモデルの中では最速のラップタイムをたたき出すマシンだ。

画像: マクラーレン セナ GTR LM「上野クリニックカー」

マクラーレン セナ GTR LM「上野クリニックカー」

5台はそれぞれスポンサーの名前から、1位の「上野クリニックカー」、3位の「ハロッズカー」、4位の「ガルフカー」、5位の「ジャガディカー」、そして13位の「セザールカー」と呼ばれている。ビスポークでハンドペイントが施され、1995年に出走した各マシンのデザインを再現したり、トリビュートを捧げたりしている。1台あたりのペイントには最低でも800時間を要したという。

それぞれのモデルには、カーボンファイバー製タブの内側に記念プレートを取り付け、各車がワンオフであることと、オリジナルのF1 GTRを識別するシャシナンバー、そして当時のレースの日付とそのマシンを操ったドライバーの名前、フィニッシュ順位も刻印されている。

カスタマイズされたのは見た目だけではない。セナ GTRの4.0L ツインターボエンジンはバルブスプリング・リテーナーを65%軽量化、バルブスプリングにハイグレードスチールの採用、シリンダーヘッドの手作業ポート研磨やCNCポート加工などにより、最高出力は845psとベースのセナ GTRより20psアップされている。トルクカーブ特性も見直され、低回転域でのトルクが増強されている。

画像: 「上野クリニックカー」のステアリングホイール。

「上野クリニックカー」のステアリングホイール。

さらに、インコネル製エグゾーストシステムには特別設計のLMツインエグジットパイプを追加して強化、OZレーシング製の専用アロイホイール、サテンゴールド仕上げのブレーキキャリパーなども採用されている。

インテリアでも、ステアリングホイールには、マクラーレン F1の黄金色のギアリンケージに敬意を表したゴールドのシフトパドルとコントロールボタン、LMのロゴ入り窒化チタン製パドル、レザー製ドアプルストラップ、軽量カーボンファイバー製レーシングシート、刺繍をあしらった特製ヘッドレスト、MSO 6点式レーシングハーネスなどが装着されている。

5台のマクラーレン セナ GTR LMは完成し、これからアメリカ、ヨーロッパ、イギリスの各オーナーに届けられる。MSOが生み出したビスポークの例によって、オーナーの許可がない限り価格は公表されないことになっている。

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