多様なライフスタイルにマッチさせるべく、レクサスは幅広いSUVラインアップを揃えている。今回その中からRX、NX、UXという3車種に試乗してみて、どのような違いがあるのか、またそれぞれが持っている個性について調べてみた。

大きさの違いだけにとどまらない各モデルの光る個性に注目

クロスオーバーSUVというジャンルは今やブームという段階を過ぎて、クルマ選びの主流になっている。そう断言してしまっても異を唱える人はいないだろう。それは当然、プレミアムブランドにおいても例外ではない。

とりわけレクサスは、初代RXによってプレミアムクロスオーバーSUVというジャンルを開拓した存在であり、今もそのラインアップは非常に充実している。今回はそのうちの3モデル「RX、NX、UX」を連れ出したわけだが、先に結論めいたことを記すならば、これらが単に大中小とサイズが異なるのではなく、それぞれ異なるライフスタイルを志向した、明確なキャラクターを持っているところにブランドの個性、あるいはこだわりのようなものを感じた次第である。

「RX」はラグジュアリーSUVの先駆者で世界的に成功を収めたモデル

まず紹介するべきは、やはりRXだろう。前述のとおりのラグジュアリーSUVの先駆者であり、レクサスの世界販売で最大のボリュームを誇るベストセラーである。その中から今回選んだのはRX450hL。初めて3列シートを採用して新たなニーズに応えたRXだ。

改めて見ると、2019年のマイナーチェンジで洗練度が高められたデザインは、独自の存在感がますます強調されている。元々クーペのようなフォルムを持っていたRXだけに、ライバルが増えた今もキャラクターは依然、際立っている。

画像: 試乗したのはRX450hL。ショックアブソーバーにフリクションコントロールダンパーを採用し、フラットな乗り味と操舵時の応答性向上を実現する。

試乗したのはRX450hL。ショックアブソーバーにフリクションコントロールダンパーを採用し、フラットな乗り味と操舵時の応答性向上を実現する。

室内に乗り込むと、外観から想像する以上に着座位置が高く、視界も開放感にあふれている。仕立ての良さは言わずもがなで、寛いだ気分に浸ることができる。

キャプテンシートとされた2列目は、頭上や側方の空間にも余裕があるし、リクライニングもできる。特等席は、やはりここだろう。一方で3列目もちゃんと空調も独立して設置しており、案外快適に過ごせる。もちろん折り畳んで、そのぶん沢山の荷物を載せることも可能だ。

走らせても乗り心地は非常にしなやか。ハイブリッドシステムによってモーター走行時はもちろんエンジン始動時も回転数を抑えられ、静粛性は上々だ。ところが、アクセルペダルを深く踏み込むと心地良いパワーの伸びとともにV6エンジンならではの快音を響かせるのだから堪らない。

柔らかでありつつもコーナリング時には安定した姿勢で曲がっていくサスペンションと相まって、クルージング能力は超一流。街中でも映えるが、やはりロングドライブに誘われる1台である。

「NX」はミドルサイズで扱いやすく磨き抜かれた走りが気持ちいい

続いてはNXに乗り込む。グレードは2Lターボエンジンを搭載するNX300 “Fスポーツ”(AWD)だ。

RXに続くクロスオーバーSUVの第2弾として2014年に投入されたNXは、RXよりコンパクトで扱いやすいサイズ感、そして徹底的に磨き抜かれた走りが特徴だ。その評価は非常に高く、今も絶好調なセールスが続いているという。

画像: 試乗車はNX300“Fスポーツ”。238ps/350Nmを発生する2L直4ターボと6速ATの組み合わせにより、強く伸びやかな加速を実現する。

試乗車はNX300“Fスポーツ”。238ps/350Nmを発生する2L直4ターボと6速ATの組み合わせにより、強く伸びやかな加速を実現する。

実際に試乗してみれば、それも納得だ。他の何とも似ていないデザインはまったく色褪せていないし、内装のクオリティもいまだ目を瞠るほど。とくに試乗車の、マスタードイエローのアクセントが入ったFスポーツ専用の内装は、乗り込んだ瞬間に気分がアガッてしまった。

リアシートも十分な広さが確保されているし、荷室もフラット。床下にも大きな収納があり、サイズから想像する以上の使い勝手が確保されている。

走りの面では、低速域からアクセルペダル操作に忠実にトルクをもたらし、そのまま伸びやかに速度を高めていくエンジンとATのマッチングの良さにまず感心させられた。しなやかにストロークして路面をしっかり捉え、吸い付くように曲がるシャシも快感度は高く、クルマとの一体感を存分に味わうことができる。

このデザインや走りで、思わず気分がアクティブになるのがNXの魅力。長く支持されているのも納得である。

「UX」は立体駐車場が使える都市型のコンパクトSUV

レクサスのクロスオーバーSUVラインアップの末弟が、2018年に登場したUX。車名の“U”はUrban(アーバン)の意。まさに都市生活者の最良の伴侶であることを志向したコンパクトモデルだ。

UXもやはりデザインの話から始めたくなってしまうモデルである。立体駐車場の使用まで考慮した低い全高の一方で、あえてブラックのままとされたフェンダーアーチモールなどによってタフさがアピールされた姿は、いかにも扱いやすそうでいて、しっかりSUVらしい。

画像: 試乗車はUX250h“バージョンL”。全高1540mmという低さもあり、キビキビとした走りも味わうことができる。

試乗車はUX250h“バージョンL”。全高1540mmという低さもあり、キビキビとした走りも味わうことができる。

ボンネットまで一体となって繋がっているように見せたダッシュボードの造形は、一見、和紙のような風合いのシボ、凝ったステッチワークなど、インテリアも見どころは多い。

前席はもちろん後席も広さは十分以上と言えるが、一方で荷室はそれほど広くはない。フル乗車で荷物を満載するような使われ方はほぼされないはずという割り切りだが、実際それは正解だろう。

試乗したUX250h “バージョンL”は、まず質感の高い乗り心地で唸らせた。高剛性ボディを土台に、サスペンションは初期応答からして滑らかで、荒れた路面を通るのがむしろ快感になりそうなほど。ハイブリッドならではのトルク感に、爽快なレスポンスまで身につけたパワートレーンも心地良く、交差点ひとつ曲がるだけでも頬が緩む仕上がりなのだ。

内外装の上質な設えや先進安全技術などは全車共通

こんな具合で、3台はそれぞれデザインも走りも明確に個性が異なっている。だが、一方でレクサスならではの内外装の上質な設えという基本は共通だし、先進安全技術のパッケージである「レクサスセーフティシステム+」も、やはりすべての車種に備わる。さらにオーナーズデスクや販売店のオーナーズラウンジといった独自の“おもてなし”も当然、すべてのレクサスで享受できる。

大中小というサイズ感とは異なる、それぞれのモデルに独自のテイストも相まって、クラスレスな印象が強いのがレクサスのクロスオーバーSUV全体を貫く特徴である。まさにライフスタイルに合わせて選べる、本当の意味での幅広い選択肢がそこには揃っているのだ。(文:島下泰久)

画像: 大、中、小という大きさの違いだけでなく、ラグジュアリーでゆったりと移動できるRX、スポーティな走りを楽しみたいNX、コンパクトでキビキビ走らせたいUXと、それぞれの個性を際立たせている。

大、中、小という大きさの違いだけでなく、ラグジュアリーでゆったりと移動できるRX、スポーティな走りを楽しみたいNX、コンパクトでキビキビ走らせたいUXと、それぞれの個性を際立たせている。

レクサス RX450hL 主要諸元

●全長×全幅×全高:5000×1895×1725mm
●ホイールベース:2790mm
●車両重量:2230kg
●パワートレーン:V6 DOHC+2モーター
●排気量:3456cc
●エンジン最高出力:262ps/6000rpm
●エンジン最大トルク:335Nm/4600rpm
●モーター最高出力:前 167ps/後 68ps
●モーター最大トルク:前 335Nm/後 139Nm
●システム最高出力:313ps
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:電気式4WD
●燃費(WLTCモード):14.7km/L
●車両価格(税込):796万円

レクサス NX300 “Fスポーツ” 主要諸元

●全長×全幅×全高:4640×1845×1645mm
●ホイールベース:2660mm
●車両重量:1800kg
●エンジン形式:直4 DOHCターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:238ps/4800−5600rpm
●最大トルク:350Nm/1650−4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●燃費(WLTCモード):11.2km/L
●車両価格(税込):548万3000円

レクサス UX250h “バージョンL” 主要諸元

●全長×全幅×全高:4495×1840×1540mm
●ホイールベース:2640mm
●車両重量:1580kg
●パワートレーン:直4 DOHC+1モーター
●排気量:1986cc
●エンジン最高出力:146ps/6000rpm
●エンジン最大トルク:188Nm/4400rpm
●モーター最高出力:109ps
●モーター最大トルク:202Nm
●システム最高出力:184ps
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:FF
●燃費(WLTCモード):22.8km/L
●車両価格(税込):518万4259円

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