2020年9月16日、フェアレディZ プロトタイプが公開オンラインミーティングでお披露目されてから早1カ月。翌17日から日産横浜本社近くにあるNISSANパビリオンにて展示され、多くの来場者を集め、これと同時にファンによるSNSで大きな盛り上がりを見せた。そして10月11日の日曜日、今度は屋外イベントにてその姿を現した。あいにくの霧雨混じる天気ではあったが、屋外でのお披露目は初めて。その模様を、開発陣の声と共に紹介しよう。
画像: この日のために、全国から抽選で選ばれた歴代Zとオーナーが集結。数十台の歴代Zが、Zプロトを囲んだ。

この日のために、全国から抽選で選ばれた歴代Zとオーナーが集結。数十台の歴代Zが、Zプロトを囲んだ。

開発者によるトークセッションに観客がどよめく

東京・渋谷区にある代官山蔦屋書店にて毎月1回、クルマ好きが愛車と共に集まるモーニングクルーズというミーティングイベントがある。この主催者が日産自動車に出展を依頼して、今回の屋外展示イベントの開催となった。

当日は日曜日の早朝7時から10時までという短い時間にもかかわらず、全国から抽選で選ばれた数十台の歴代Zが集結し、オーナーやファンが屋外でのアンベールを待ち受けた。折からの台風の影響で前日の夕方まで開催を危ぶまれたが、霧雨の降るなか7時にベールが外された。

画像: ベールを纏ったシルエット(写真左)は「まさにS30だね」とS30.JPというクラブの会長も呟いた。そして霧雨が舞う中、待望のアンベール(写真右)。世界にたった1台しかないプロトタイプを、悪天候の元でお披露目するのは世界初?

ベールを纏ったシルエット(写真左)は「まさにS30だね」とS30.JPというクラブの会長も呟いた。そして霧雨が舞う中、待望のアンベール(写真右)。世界にたった1台しかないプロトタイプを、悪天候の元でお披露目するのは世界初?

その冒頭、日産自動車デザイン本部エグゼクティブ・デザイン・ダイレクターの田井 悟氏と商品企画本部のチーフ・プロダクト・オフィサーの田村宏志氏によるトークセッションが設けられた。

田村氏が「ここ数年、Zカークラブの皆さんからは、『(次の)Zはどうなっているんだ? 』と聞かれてきましたが、こうしてお披露目できました。台風の影響で天気は悪いけど、私の心は晴れ晴れ。プロトと言っても、ほぼこのカタチのまま出します!」と語ると、大きなどよめきが起こった。

そして、司会の女性から「Zプロトが若い人の間で、なかでもSNSで大きな話題になっていること」について聞かれると、田井氏は「想定内ですね。私は中学生の息子がいますが、ゲームの中でS30を持っている。若い人の間に『Z像』ができていると思う。欲しいと言う人は大勢いるんじゃないかな」と述べた。

「Zプロトのここを見て欲しい! というのはどこですか?」という問いに、「部分ではなく全体を、本物(実物)を見て欲しい。発表以来、『写真と実物は違う』という声をよくいただいた。実物を見ると、今日のような曇り空でもくっきりと見えるデザインだと分かります」と答えた。

さらに、Zプロトの気に入っている部分を聞かれて田井氏が「街中でクルマに乗っていて、Zのうしろに並んだときに『いいな』と思えるようなデザインにしました」と語ると、田村氏も「クルマは後ろから見たときの印象が大事。それも座ったときの目線で。リアのデザインは、何回もやり直してもらいました」と述べた。

画像: ファストバックのスポーツカーの魅力を決定づけるのは、リア斜めからのビュー。いわゆる「バックシャン」のフォルムだと思う。その意味で、このZプロトの端正なリアクオーターからテールへのラインは、大きな魅力を放っている。

ファストバックのスポーツカーの魅力を決定づけるのは、リア斜めからのビュー。いわゆる「バックシャン」のフォルムだと思う。その意味で、このZプロトの端正なリアクオーターからテールへのラインは、大きな魅力を放っている。

市販型の次期フェアレディZ、発売時期は2021年末か

そして、気になる発売時期について聞かれると「(R35)GT-Rのプロトタイプが発表されてから発売までどれぐらい時間がかかったか、がひとつの参考になると思う」と示唆した。これに関して、筆者の推測を述べると、登場はおそらく2021年11月末か12月頭。

画像: イベント当日に、お忍びで一瞬だけ参加した内田社長兼CEO。帰り間際に「若いときにZ32に乗られていましたが、今度のZ買いますか?」の質問に、「やっぱり買わなきゃね。でも、他にも一杯あるからなぁ」との返答。さらに「A to Z、全部ですか(笑)?」と突っ込むと、苦笑しながら無言で去っていった。

イベント当日に、お忍びで一瞬だけ参加した内田社長兼CEO。帰り間際に「若いときにZ32に乗られていましたが、今度のZ買いますか?」の質問に、「やっぱり買わなきゃね。でも、他にも一杯あるからなぁ」との返答。さらに「A to Z、全部ですか(笑)?」と突っ込むと、苦笑しながら無言で去っていった。

その理由は、5月28日に行われた日産の2019年度決算をオンライン記者会見で明かされた事業構造改革計画「Nissan Next」にて、内田社長兼CEOは「18カ月以内で12車種を投入する」とアナウンスしたことによる。この会見で流された「Nissan Next:From A to Z」という動画にその12車種が現れ、そのなかにZプロトのシルエットもあったのだ。2020年6月から18カ月をカウントすると2021年11月だ。

「GT-Rプロトの発表から発売まで」の発言から思い返してみると、GT-Rプロトは2005年10月の東京モーターショーで公開、そして2007年10月の東京モーターショーで発表された。2年の期間があるが、今回のZプロトの仕上がり具合や田村氏による「ほぼこのカタチのまま出します!」の発言を見ると、そこまでの時間は掛からないだろうと推察できる(もちろん、開発の現場は大変なのだろうが)。

いずれにしろ発売は1年以上も先。今後も次期型Z関連のイベントは随時催されると思われる。その根拠は、9月16日に関係者が漏らした「(発売時期とか)言っちゃうと、この先に言うことがなくなってしまう」(連載 第1回を参照)に拠る。また、今回の取材で判明した次期型Zの現時点での新情報については、次回お届けしよう。(文:森田浩一郎)

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