ホンダは10戦連続表彰台を獲得中
ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)のF1最多勝利記録更新がこのグランプリの話題の中心となるだろうが、ホンダ勢も虎視眈々と優勝を狙っている。
ホンダのパワーユニット勢は好調で、ここまで10戦連続で表彰台を獲得、レッドブル・ホンダとメルセデスAMGとの差も確実に小さくなっており、ドライバーは手応えを感じているようだ。
そんな中で、ポルトガルGPのポイントはやはり「初めてのサーキット」ということだろう。全F1チームにとって金曜日が初めての本格走行で、サーキットの特性を理解し、セットアップの最適化を進める上で非常に重要であわただしい一日になる。
チームはサーキットに入る前に入念なシミュレーションを行いマシンを仕上げてくるが、フリー走行は実際にそれがどこまでコースに合っているのかを確認し、微調整を加える重要な時間となる。とくに風向きや温度、路面に対する調整がポイントになる。また、ライバルの動向も気になるところで、セクションごとのタイムを分析しながら、決勝のスタートグリッド(つまり予選)を重視するか、決勝セッティングを重視するかという判断もすることになる。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、グランプリ開幕を前に「第12戦ポルトガルGPが行われるアルガルベサーキットは、第9戦のムジェロサーキットと同じくF1初開催となるサーキットです。当然、過去の走行データがありませんので、シミュレーションを元にチームとともに入念な準備を重ねてきました。同じく現行のハイブリッドレギュレーションでの初走行となったムジェロやニュルブルクリンクでの経験も生かしながら、さらににセットアップの最適化を進めていきます。ここ数戦、レッドブル、アルファタウリの2チームともにいい走りを見せていますので、今週末も是非その勢いを維持していきたいと思っています。私自身としては、ポルトガルでのグランプリはエストリルサーキットで行われた1990年以来になります。その際にはセナ選手が2位、ベルガー選手が4位でした。今回もそれに負けないような結果を残せるよう、チーム一丸となって挑みます」とコメント。各ドライバーを次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「今年初めにGTマシンでポルティマオ(アルガルベ)を走りましたが、素晴らしいコースです。2日間の滞在で、ほとんど雨でしたが、走っていて楽しく、ウエットは特によかったです。高低差に富んでおり、レイアウトもとても面白いです。テクニカルな部分はあるものの、おおむね高速サーキットと言え、F1マシンで走るのがとても楽しみです。すべてのドライバーにとって初めての環境であり、それが変化をもたらして面白さが増すので、未知のサーキットでのレースは好きです」
「ニュルブルクリンクはいいレースウイークとなり、マシンも一歩前進することができたと思います。メルセデスに近づけたことはとてもいいことですし、新たな初開催のコースとなるので、僕らがどのくらいやれるのか楽しみです」
アレクサンダー・アルボン
「ポルティマオではF3時代にポールポジションと表彰台を獲得しており、いい思い出があります。さまざまな特性を併せ持つ素晴らしいコースで、流れるような走りができます。もっとも印象的なのは1周を通して続くアップダウンだと思います。暑さもあって体力的には厳しくなりますが、バンプが多く進入がブラインドになるコーナーがいくつもあるので走っていて楽しいトラックです」
「急勾配で先が全く見えず、まるでマシンが離陸するような感じを受けたと思えば、すぐに下り坂になり、さらにその先は上り坂のブラインドコーナーと続きます。ブレーキングして、ターンインしていくと自分がどこに向かうのか分からなくなる感覚の中で、いきなり右側にコーナーが現れ、そこからまた急降下するといった感じです。強烈な印象のサーキットで、ムジェロでもそうだったように、初開催のコースは楽しく、面白さも増すのでいいことだと思います。どのチームがサーキットに適応できるかは、走ってみるまで分かりません」
「新たなサーキットでの開催は、経験の浅いドライバーにとってチャンスだと思います。僕らはジュニアカテゴリーの頃から未経験のサーキットで走ることに慣れています。みんな同じ条件でフリー走行に入っていけますし、レースをより面白くすると思います」
ピエール・ガスリー
「ニュルブルクリンクでの6位はとてもうれしい結果でした。土曜まではそこまで相性のいいサーキットだと感じていなかっただけに、喜びもひとしおでした。チームとしてみんなで取り組んできたことに自信を感じましたし、僕らはレースごとにどうすればマシンの力を引き出すことができるか、理解が深まっています。これまでの進み方に満足できており、結果がついてきているのもうれしいです。また、チームができることすべてに取り組んでくれているのも喜ばしいことです。この勢いで次のレースに臨みます。
「これまでポルティマオには行ったことがありませんが、2日間のシミュレーターでイモラと合わせて準備をしました。イモラでは少しだけ走ったことがあるだけで、どちらのコースもよく知りませんが、エキサイティングになるはずです。僕にとって新しい場所でのレースは面白く感じられるので、ムジェロでのF1初開催や、F1マシンで初めて走るニュルブルクリンクも楽しむことができました。ポルティマオもとても面白いコースのように思います。高低差が大きく、普段見られないようなコーナーもありますが、かなり昔にテストを行ったチームがいるものの、F1のレースでは全く使われていません。フリー走行からきちんと仕事をするためにも、事前の準備が重要です。どうなるか楽しみです。現状、予選で少し苦戦しても日曜のレースでは力強く、ポイント争いができています。ニュルブルクリンクはかなり寒かったのですが、今回は暖かくなりそうで、普段のコンディションが戻ってくることも楽しみです」
ダニール・クビアト
「ニュルブルクリンクでのレースは、不運にも12周目にアルボン選手にヒットされたことでうまくいきませんでしたが、これもレースです。彼はペナルティを受けましたが、僕のレースも、そのときにマシンに負ったダメージで苦しいものになりました。それまではポイントを目指して戦っていましたし、予選でのラップも満足のいくものでした。しかし、自分ではどうることもできない事であり、すべてにおいてハードワークを続けていくのみです」
「そして、新たな戦いへと進んでいきます。エンジニアと掘り下げながら取り組んでおり、毎週末のこうしたアプローチ方法に満足しています。マシンの理解はかなり進んでいるので、よくなっていくと思います。ここ数戦はいい感じで、ポイントを逃したのは前回だけです」
「ポルティマオには行ったことがなく、全く新しい経験ですが、ほとんどのドライバーが同じはずなので、面白いチャレンジになります。しばらく前にシミュレーターでアルガルベサーキットを何周かしましたが、あまり覚えていません。金曜と土曜のフリー走行で懸命に取り組み、できる限り学びを進める必要があります。新鮮な感覚です! かなり変わったレイアウトで、高低差が激しいので、普段とは違う部分が出てくるはずです。この時期の天候としては暖かく、気温は20℃前半になりそうなので、ニュルブルクリンクでの厳しい天候よりもだいぶいいはずです」
【参考】2020年F1第11戦アイフェルGP 決勝 結果
優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 60周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+4.470s
3位 3 D.リカルド(ルノー)+14.613s
4位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+16.070s
5位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+21.905s
6位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+22.766 s
7位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +30.814s
8位 27 N.ヒュルケンベルグ(レーシングポイント・メルセデス) +32.5966s
9位 8 R.グロージャン(ハース・フェラーリ) +39.081s
10位 99 A.ジョビナッティ(アルファロメオ・フェラーリ) +40.035s
15位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)+55.588 s
23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)リタイア
【参考】F1ドライバーズランキング(第11戦終了時)
1位 L.ハミルトン(メルセデスAMG)230
2位 V.ボッタス(メルセデスAMG)161
3位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)147
4位 D.リカルド(ルノー)78
5位 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)68
6位 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)65
7位 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)64
【参考】F1コンストラクターズランキング(第11戦終了時)
1位 メルセデスAMG 391
2位 レッドブル・ホンダ 211
3位 レーシングポイント・メルセデス120
4位 マクラーレン・ルノー 116
5位 ルノー 1146位 フェラーリ 80
7位 アルファタウリ・ホンダ 67
第12戦ポルトガルGPは10月23日、日本時間19時(現地11時)から始まるフリー走行で開幕、予選は10月24日、日本時間22時(14時)、決勝は10月25日、日本時間22時10分(13時10分)に開始される。