メルセデスAMG勢はミディアムタイヤでポール争いを展開
土曜日のアルガルベは晴天に恵まれ気温は21度まで上がったが、フリー走行3回目のセッション終了直前にコース脇の排水溝の蓋が外れるトラブルがあり、予選は開始時間がいきなり30分遅れるというアクシデントから始まった。
その予選は、風の影響に加え、タイヤが温まりにくく、コンディションが読みにくい状況となったが、そんな中でもメルセデスAMGの2台がポール争いを展開。Q3最後のアタックでハミルトンがトップに立つと、バルテリ・ボッタスがこれを0.180秒上回る1分16秒754をマークして逆転。しかし、最後にもう1度アタックしたハミルトンが再び0.102秒上回り、ポールポジションを奪い取った。
ポールを狙っていたレッドブル・ホンダのフェルスタッペンは、風に苦しみ、Q3ではQ1のタイムも更新できず、惜しい3番手に終わった。それでも2番手のボッタスとの差はわずか0.150秒差しかなかった。
驚いたのはポール争いを繰り広げる中で、メルセデスAMGの2台が最後のアタックにミディアムタイヤを装着したこと。彼らにとって、ミディアムタイヤのほうがソフトタイヤよりも速いと判断したということだ。
予選のポイントはもうひとつ、フェルスタッペンがソフトタイヤでの決勝スタートを選択したのに対し、メルセデスAMG2台と予選4番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)がミディアムタイヤでスタートすることになったこと。タイヤが温まりにくく、1コーナーまでの距離の長いアルガルベサーキットで、この判断がどう出るか興味深い。オーバーテイクは簡単ではなさそうで、オープニングラップの攻防は見所となりそうだ。
ホンダのパワーユニット勢は、アルボンが6番手、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーは9番手と3台がトップ10入り。ダニール・クビアトはQ3進出ならず13番手からのスタートとなった。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、決勝レースに向けて「予選は、レッドブルのフェルスタッペン選手が3番手、チームメートのアルボン選手が6番手を獲得と、決勝に向けて悪くない結果となりました。アルファタウリのガスリー選手は午前のセッションから好調な走りを見せ、Q1を4番手、Q2を7番手で通過しましたが、残念ながらQ3では風の影響を受けてタイムアップできず、9番手からのレーススタートとなりました。金曜日のフリー走行でマシンから火が出て車両に大きなダメージを負ったガスリー選手でしたが、チームとホンダのクルーがマシンを夜通しの作業で懸命に修復してくれました。それに応えるようにガスリー選手が素晴らしい走りをしてくれたことを大変うれしく思っています。クビアト選手は13番手でQ2敗退という結果でしたが、4台ともに明日の決勝に向けてポイント獲得を狙えるポジションからのスタートとなります。いいレースができるよう、明日に向けてここからさらなる準備を進めます」とコメント。ドライバーは次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン
「予選の結果には満足しています。Q3ではいいタイムが出せましたし、3番手はいいスターティングポジションだと思います。コースは新しく舗装されていて、最適なタイヤを選ぶのが難しかったです。どこのチームも同じだと思いますが、トライ&エラーで調整をしました。メルセデスのすぐ後ろで走れているのでチャンスがあると思います。スタートが重要になると思います。僕はソフトタイヤでまわりの他のマシンはミディアムタイヤですが、タイヤがどう作用するかは誰にも分かりません。決勝では自分たちのやり方でプッシュします。タイヤに関して予測不能な部分がレースを面白くするかもしれません。風や雨があると、さらにレースの展開は分からなくなりますが、どんなコンディションでも、いい位置についてメルセデスといい勝負をしたいです」
アレクサンダー・アルボン
「もっと上のポジションでフィニッシュできればよかったのですが、それでも6番グリッドはまずまずだと思います。自分の走りにはそれなりに満足していますが、新たに舗装された路面や風の影響で少し通常とは違うコンディションだったので、タイヤ選択が非常に難しい状態でした。Q3では他のライバルとは少し違った戦略を取り、1回目をミディアムタイヤでアタックしましたが、もう一度アタックできていればもっとタイムは上がったと思っています。最後のアタックにはソフトタイヤを選択しましたが、ミディアムタイヤと比較してパフォーマンスの出し方が全く異なりドライビングスタイルを変える必要があったので、多少走りのリズムに影響した部分がありました。日曜日の天気予報は雨混じりになるようなので、いろいろなことが起こりうると思います。1コーナーまでの距離は長いですし、ここではまだどのマシンもきちんとしたロングランを行っていないので、走りながら最適なバランスを探り、チャンスを逃さないようにしていきたいと思います」
ピエール・ガスリー
「フリー走行でのトラブルの後、チームが素晴らしい働きでマシンを準備してくれました。ほとんど寝る時間もない状態でシャシを組み立て、問題なく走るようにしてくれて、感謝しています。レースウイークをとおして調子がよく、フリー走行3回目ではいい位置で走れたただけに、予選の結果は少し残念に思っています。風がない時にはマシンはとてもよく機能していますが、風が強いとドライブが難しくなってしまいます。Q2とQ3がちょうどそんな状態でした。9番手という結果には満足していますが、もう少し上にいけたと思っています。初めてのサーキットではなにが起こるかわかりません。数少ないチャンスを掴むことができれば、面白い決勝になると思います」
ダニール・クビアト
「難しい予選でした。バランスがあまりよくない上に風の影響も受けやすかったので、自信を持ってプッシュすることができませんでした。少しプッシュするたびにラインを外れてしまうので、今日の走り以上はできませんでした。これだけ難しいコンディションはここのところあまりなかったのですが、決勝は混戦になると思うので、僕達にも入賞するチャンスがあると思います」
タイヤを供給するピレリは「土曜日の天候は穏やかで、気温は20度を超えましたが、突風がドライバーを悩ませました。 ただ、日曜日は雨の可能性もあります。サーキットの新しい舗装は非常に滑らかでグリップが低いですが、レースを通してどんどん良くなってくるはずです。決勝ではミディアムタイヤがどんな走りを見せるか楽しみです。タイヤを適切な温度に保つことが不可欠です。またフリー走行で途中中断があったためロングランができなかったので、タイヤ間のタイム差、摩耗、劣化のレベルを明確に特定するのは難しく、最適なレース戦略を予測することは困難です。さらに、アップダウンの激しいこのコースでは突風に注意する必要があり、簡単なサーキットとはとても言えません。明日は予測不可能なレースになるでしょう」と分析している。
第12戦ポルトガルGP決勝は10月25日日本時間22時10分(現地13時10分)に始まる。
2020年F1第12戦ポルトガルGP 予選結果
PP 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG) 1:16.652
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) 1:16.754
3位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 1:16.904
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ) 1:17.090
5位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス) 1:17.223
6位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) 1:17.437
7位 C.サインツ (マクラーレン・ルノー)1:17.520
8位 4 L.ノリス (マクラーレン・ルノー) 1:17.525
9位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)1:17.803
10位 3 D.リカルド(ルノー) 1:26.223 ノータイム
13位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ)