「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「スズキ アルトラパン」だ。

インテリアカラーは、可愛らしいアイボリー/ぬくもり感のブラウン/アクティブなブラックと3色が用意されており、これはスズキとしてはかなりの冒険だったという。

また今回、使い勝手の面でも感心したことが多かった。乗降性では、フロントドア開口部が大きく、適正な着座位置で腰の移動がスムーズになっている。66度という開口角度は、開け閉めにちょうどいい角度を突き詰めた結果だという。リアドアは80度まで開き、幅広いステップで子供でも安全に乗り降りできそうだ。

まずはノンターボ+CVTで街中へと走り出してみる。発進からすでに、小さな驚きを感じた。60km/hくらいまでの加減速を繰り返すと、エンジン回転の上昇はなめらかで、アクセルオフでも不快な前のめり感がない。強めに踏み込むと、ほぼタイムラグなしで力強く加速してくれ、しかもしっかりとした一体感がある。

コーナリングでは適度なロールがありながら、手応えのあるステアフィールとともに、狙ったラインを描いていけるブレのなさが気持ち良い。そこから直線に戻る際に、ステアリングの振り戻しがやや大きめなのが気にはなったが、スタビライザーが付いていないとは思えない、フラット感あふれる乗り味だ。

想定外に好印象だったノンターボだが、ターボ+CVTでは20〜40km/hあたりの力強さや、高速域からの加速感や静粛性がさらにプラスされている。直線基調のボディのおかげもあって、視界や見切りも良く、取り回しもしやすい。乗り心地も軽自動車のトップレベルにあるといえる。女性にはもちろろん、男性にも強くオススメしたい1台だ。

画像: ターボ、ノンターボとも走りは快活。走り好きの男性が乗っても、それなりに楽しむことができるだろう。

ターボ、ノンターボとも走りは快活。走り好きの男性が乗っても、それなりに楽しむことができるだろう。

■スズキ アルトラパン X 主要諸元

●全長×全幅×全高:3395×1475×1510mm
●ホイールベース:2400mm
●車両重量:800kg
●エンジン種類:直3DOHC
●排気量:658cc
●最高出力:40kW<54ps>/6500rpm
●最大トルク:63Nm<6.4kgm>/3500rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:24.5km/L
●タイヤ:155/65R14
●当時の車両価格<税込み>:122万2200円

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