京都機械工具(KTC)は日本の“ものづくり”を支えている企業である。創業は1950年、つまり2020年に70周年を迎えている。ここではそんなKTCの70年を振り返る。(Motor Magazine2021年2月号より)

二重京丸の通称で親しまれた工具

1950年8月2日。齋藤喜一、山崎宗次郎、宇城正行、藤田栄一の4人がをひとつに集め、京都 東寺の五重塔が遠望できる場所に「京都機械工具」は誕生している。

当時は、京都の「京」と円形にデザインした「工」で囲ったロゴで「二重丸京」の通称で親しまれていたという。そして10年後、設立当初の想い“お互いに誠実でたゆまず前進し 軽くて強くて使いよい工具を創り 社会に貢献しよう”を社是とし、“信用誠実 協調 創造 実行”を社訓とした。

画像: 創業当時は“京”を円形にデザインした“工”で囲んだロゴで「二重丸京」で親しまれた。

創業当時は“京”を円形にデザインした“工”で囲んだロゴで「二重丸京」で親しまれた。

時代は1960年代。マイカーブームが訪れ、モータリゼーションが進んだ。そしてKTCは、さらなる合理化と生産性の向上を進めた。その結果、創業16年目にして作業工具業界のトップとなったのである。   

画像: 創業当時の作業風景。当時が京都 東寺の五重塔が遠望できる場所に工場があった。

創業当時の作業風景。当時が京都 東寺の五重塔が遠望できる場所に工場があった。

1980年。KTCは創業30周年をむかえ、株式を上場。そして1982年には、当時の最高級工具セット、「デラックスツール」を3000セット限定で発売する。その後、90年代に入ると、鏡のように磨き抜かれた高級工具「ミラーツール」を1994年に、1995年には、「より強靱で、より使いやすく、より美しい」をコンセプトにプロメカニックが誇りを持てる「ミラーネプロス」を投入した。

デジタル工具のトップランナーに

2000年に入ると、汎用工具の全面的な見直しを開始、他の追従を許さない圧倒的な差別化が図れる製品「21世紀バージョンツール」を2002年に投入、2003年にはお客様の声をダイレクトに聞き、ものづくりに対する熱い想いを伝えるため「KTCものづくり技術館」をオープンした。

画像: 2002年にリリースした「21世紀バージョンツール」。他の追従を許さない圧倒的な差別化が図れる製品である。

2002年にリリースした「21世紀バージョンツール」。他の追従を許さない圧倒的な差別化が図れる製品である。

デジタルツールへの挑戦も積極的に行った。2005年には誰もが自在にトルク管理ができる「デジラチェ」、2011年には「デジラチェ メモルク」を発売。また2012年にネプロスの原点である「使いよさ」を追求し空転トルクの軽さや音にまでこだわり小判型ヘッドとしては世界最多ギア数を誇るネプロス9.5sqラチェットハンドルNBR390を発売した。

画像: 2003年にオープンした「KTCものづくり技術館」。この中に、タイトル写真にあるように工具がディスプレイされている。

2003年にオープンした「KTCものづくり技術館」。この中に、タイトル写真にあるように工具がディスプレイされている。

2015年には「ものづくり技術館 匠工房」を開設、2018年には工具や測定具にセンシング要素を取り込み、測定データをデバイスに送信できるシステム「TRASAS(トレサス)」シリーズ、その自動車向け「TRASASfor AUTO」シリーズを発表、そして2020年8月2日、創立70周年を迎えた。

最後に、70周年記念サイトにある田中 滋社長の言葉を引用したい。「KTCは愚直なまでに正直企業です。これからも日々進化する工具メーカーKTCにぜひご期待いただきたいと思います。そのために、全社員がチャレンジ精神を忘れず、変化を恐れず皆様をもっともっとHAPPYにすることをお誓いいたします」(文:千葉知充/写真:京都機械工具)

画像: 「KTCものづくり技術館」の壁一面にディスプレイされた多くの工具には圧倒される。KTCの製品数は1万2000点以上あり、これはほんの一部である。

「KTCものづくり技術館」の壁一面にディスプレイされた多くの工具には圧倒される。KTCの製品数は1万2000点以上あり、これはほんの一部である。

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