2021年5月2日、2021年F1第3戦ポルトガルGPの決勝が行われ、予選でポールポジションを逃したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、メルセデスのバルテリ・ボッタスを攻略したものの、ルイス・ハミルトンには及ばず2位に終わった。4位に入ったチームメイトのセルジオ・ペレスとともに、レッドブル・ホンダの戦いを振り返ってみよう。

序盤でボッタスをかわせなかったことが勝敗の分かれ目

レースはフロントロウからスタートしたメルセデスの2台(ボッタスとハミルトン)をフェルスタッペンが追う展開となったが、キミ・ライコネン(アルファロメオ)のアクシデントで出たセーフティカー明けの再スタートで抜群のスタートを見せたフェルスタッペンが、ハミルトンをかわして2番手に浮上する。

だが、この勢いのまま首位のボッタスをかわせなかったことが勝敗の分かれ目となった。フェルスタッペンは、10周目の終わりにオーバーステアの症状が出てボッタスのDRS圏内から外れた一瞬のスキをつかれ、ハミルトンにパスされて、再び3番手にドロップ。ハミルトンがそのまま首位に躍り出たため、ボッタスを追走する形になった。

ハミルトンにパスされた後のフェルスタッペンは、3速ギアの不調も抱えてペースが上がらず、最速ラップを記録しながら逃げるハミルトンに離されてしまう。

しかし、先手を打ったタイヤ交換時のアウトラップでスパートして、1週遅れてタイヤ交換したボッタスをかわして2番手に再浮上。ハミルトンに届かなかったものの、そのままの順位をキープして2位でフィニッシュした。

ただ、最終ラップのファステストラップがトラックリミット違反で取り消されるなど、本人にとっては納得いかない結果に。レース後のフェルスタッペンは「今日は勝てるだけのペースがなくてルイスに行かれてしまった」と悔しさをあらわにした。

今季2勝目をあげたハミルトンは、「スタートも良くなくて、再スタートでもやられた。でもマックスがどこかでミスしたみたいで抜き返せて、そのあとはタイヤが生きている間にバルテリを抜きたかったので早めに動いた。タフなレースでパーフェクトな展開じゃなかったけど、改善点を洗い出して次に臨みたい」とコメントしている。

画像: 予選4番手からスタートしたセルジオ・ペレスは決勝でやや出遅れ、途中で作戦を変更。メルセデスにプレッシャーをかけたが4位に終わった。

予選4番手からスタートしたセルジオ・ペレスは決勝でやや出遅れ、途中で作戦を変更。メルセデスにプレッシャーをかけたが4位に終わった。

フェルスタッペンのチームメイト、セルジオ・ペレスは2列目4番グリッドからスタートしたが、スタートでカルロス・サインツ(フェラーリ)の後方5番手にポジションを落とし、リスタートですぐにサインツをパスしたものの、今度はランド・ノリス(マクラーレン)に先行され、再び5番手にドロップ。ノリスをパスしたときには上位3台から大きく離されていた。

そこでレッドブル・ホンダは2台で戦略を分けることにし、ペレスは51周にわたってミディアムタイヤを持たせて、ハミルトンにパスを許した直後にピットインしてソフトタイヤに交換。ミディアム51周→ソフト15周という変則的な戦法でメルセデス勢を牽制。意味のある4位入賞を果たした。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターはポルトガルGPを終えて「今日はレッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手が予選結果から1つポジションを上げて2位表彰台、ペレス選手はグリッドポジションを維持して4位を獲得しました。特に、フェルスタッペン選手は、昨日の予選Q3でのアタックがトラックリミットと判定されてポールポジションを逃したことも影響しての2位ですので、もちろん勝ちたかったというのが本音ですが、シーズン初戦から確実に表彰台でフィニッシュしてポイントを獲得できていることは、今後のチャンピオンシップ争いを考慮すると大きな意味があったと思っています」とコメントしている。

メルセデスとは僅差、シーズンを通して激しい戦いが続いていく

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

「このコースは僕らのマシンに合っているとは言えず、全体的にグリップが不足し、ペースもライバルに及ばないレースウイークでした。それでも昨年よりもマシンは向上していて、メルセデスの1台には先行できましたが、2台とも倒すには十分ではなかったですね。とはいえ、2位という結果は上々で、今シーズンはコース特性によって僕らが強かったり、メルセデスが上を行ったりするのだろうと思います。今日のレースは妥当な結果でしたし、安定してプッシュできたのはいいことです。ただ、ファステストラップが、馬鹿げたトラックリミットで取り消されるのは残念ですね(笑)。グラベルを設置すべきです」

画像: 予選3位、決勝では2位表彰台を獲得したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。

予選3位、決勝では2位表彰台を獲得したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。

セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

「今日は忙しない展開になりました。ランド(ノリス)にはリスタート後の4コーナーでオーバーテイクされてしまいましたが、全輪がコースの外に出ていたように見え、その後ポジションを戻してくれるだろうと思ったため、あまり激しくディフェンスしませんでした。ただ、最終的にはそのような形にはなりませんでした。僕の判断ミスでしたし、そのせいでランドの後ろでしばらく抑えられてしまう形になり、レースを失ってしまった部分があったと思います。彼を抜いたときのペースはよかったのですが、その時点で前のマシンとは大きな差がついてしまっていました。その後は他のマシンと少し違うことをしようと考え、セーフティカー出動を待つためにできるだけタイヤ交換を引き延ばしたのですが、結果としては4位が最大限の結果だったと感じています。メルセデスとは僅差ですし、シーズンを通して激しい戦いが続いていくと考えています。サーキットごとに彼らの方が速い場所と僕たちの方が速い場所があると想定していますが、どのレースも集中して努力を続けていきます」

画像: 優勝争いにはからめなかったが、見せ場を作ったセルジオ・ペレス。さまざまな戦略に対応するポテンシャルを持っている。

優勝争いにはからめなかったが、見せ場を作ったセルジオ・ペレス。さまざまな戦略に対応するポテンシャルを持っている。

タイヤを供給するピレリは「気温は前日よりも暖かく、気温22度、路面温度40度まで達したため、レースではハードコンパウンドに重点が移りました。完璧なレースを展開したハミルトンも重要な後半のスティントでハードタイヤを使用しています。そんな中、ランス・ストロールがソフトタイヤで39周、セルジオ・ペレスが予選Q2で使ったミディアムタイヤで51周走ったことは注目です。これは次戦のスペインGPでも参考になるでしょう」と分析している。

画像: ポルトガルGPでの各ドライバーのタイヤ戦略。トップ3は牽制し合いながら、同じようなタイヤ戦略となった。

ポルトガルGPでの各ドライバーのタイヤ戦略。トップ3は牽制し合いながら、同じようなタイヤ戦略となった。

第4戦スペインGPは5月7日にバルセロナのカタルニア・サーキットで開幕、5月9日に決勝レースが行われる。

2021年F1第3戦ポルトガルGP決勝 結果

1位 44 L.ハミルトン(メルセデス)66周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+29.148s
3位 77V.ボッタス(メルセデス)+33.530s
4位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+39.735s
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+51.369s
6位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+55.781s
7位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+63.749s
8位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+64.808s
9位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)+75.349s
10位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+76.463s
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15位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+1周

2021年F1ドライバーズランキング(第3戦終了時)

1位 L.ハミルトン(メルセデス)69
2位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)61
3位 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)37
4位 V.ボッタス(メルセデス)32
5位 C.ルクレール(フェラーリ)28
6位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)22
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10位 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)7
13位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)2

2021年コンストラクターズランキング(第3戦終了時)

1位 メルセデス 101
2位 レッドブル・ホンダ 83
3位 マクラーレン・メルセデス 53
4位 フェラーリ 42
5位アルピーヌ・ルノー 13
6位 アルファタウリ・ホンダ 9

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