カタロニアはタイヤに厳しいサーキット
今季3戦を終えて、レッドブル・ホンダとメルセデス、とくにマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンの対決の図式が鮮明になってきている。その差はごくわずかで、コースとの相性、ちょっとしたミス、マシンセッティングや戦略の違いで勝敗が決まるような状況だ。
そんな中で問題になっているのが、今季、厳しくとられているトラックリミット。コース外を使ってのタイム短縮やオーバーテイクをチェックするもので、予選の場合はタイム抹消、レース中の場合はペナルティや順位の復活などの処置がとられる。しかし、その判定は微妙で、違反がとられたり、とられなかったりという場面が出てきている。
ポルトガルGPでは、フェルスタッペンが予選Q3で最速ラップが抹消され、決勝レースでもファステストラップが取り消されるなど、リザルトに大きな影響を与える事態となっている。
では、スペインGPでの戦いはどうなるのか。ひとつのポイントは、昨年(2020年)の8月開催から5月開催に戻ること。気温が昨年ほどには上がらないと予想され、それがレース展開に大きく影響しそうだ。
スペインGPの舞台となるカタロニア・サーキットは、長いストレートと高速・中速・低速コーナーが複雑に組み合わされたテクニカルコース。さらにアップダウンもあり、マシンの総合力が問われる設定だ。エアロダイナミクスが重要視される一方で、タイヤに厳しいサーキットでもある。
不安定な風も悩ましく、コース幅が狭く空力特性がシビアなためオーバーテイクが難しく、予選順位、スタートでの攻防がレースの勝敗を分ける大きなポイントとなる。
コースはスタートラインから下り坂の1コーナーまでの距離が690mと長く、まずはスタートダッシュが重要となるが、その後、第3コーナーや第9コーナーなど強烈なGフォースを伴う超高速コーナーが続く一方で、セクター3は一転テクニカルな低速セクションとなる。なお、今年、安全性を向上させるために第10コーナーの形状が変更されている。
昨年はハミルトンがポールポジションからスタートで無難に首位に立つと、完璧なタイヤマネージメントを披露して好ラップタイムを刻み続け、2度のタイヤ交換も十分なマージンを持って遂行。最後まで危なげない走りでトップチェッカーに飛び込んだ。一方、フェルスタッペンは奇数列の3番グリッドを活かす好ダッシュで順位を上げると、タイヤ戦略を駆使して追いすがるボッタスを最後まで抑え続けて2位の座を守り切っている。
【参考】2020年 F1第6戦スペインGP 決勝 結果
優勝 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)66周
2位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) +24.177s
3位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG) +44.752s
4位 18 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス)+1周
5位 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)+1周
6位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+1周
7位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)+1周
8位 23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)+1周
9位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+1周
10位4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+1周
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12位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ) +1周
タイヤを供給するピレリは「昨年のスペインGPは8月に開催されましたが、今年は例年どおりの5月に戻ります。気候は昨年よりも涼しくなるはずですが、第3コーナーは左タイヤに大きな負荷がかかりますし、第9コーナーもタイヤに厳しいため、タイヤは最も硬い3種類のコンパウンドが選択されました。このコースではワンストップ戦略は難しく、昨年メルセデスのルイス・ハミルトンはソフト→ミディアム→ミディアムの2ストップで優勝しました。それでもワンストップは不可能ではなく、セルジオ・ペレスはソフト→ミディアムのワンストップで5位に入賞、バルテリ・ボッタスは3ストップで表彰台に上がりました。また、バルセロナは追い越しが難しいコースとして有名ですが、長い下り坂のストレートエンドでは可能性がありますし、今年はサポートレースが多くあるので、路面はグランプリを通して改善されていくはずです」と分析している。
さて、レッドブル・ホンダとメルセデスの戦いはどうなるのか、どんなレース展開になるのか。第4戦スペインGPは5月7日11時30分(日本時間18時30分)から始まるフリー走行で開幕する。
2021年F1第4戦スペインGP タイムスケジュール
フリー走行1回目:5月7日11時30分〜12時30分(日本時間18時30分〜19時30分)
フリー走行2回目:5月7日15時〜16時(日本時間22時〜23時)
フリー走行3回目:5月8日12時〜13時(日本時間19時〜20時)
予選:5月8日15時〜16時(日本時間22時〜23時)
決勝:5月9日15時〜(日本時間22時〜)