「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、NISMO(ニスモ)が手がけた日産 エルグランド NISMO Sチューンだ。

ライトチューンでも効果は絶大だった

画像: 高速での直進安定性も高く、乗り心地は少し硬いがショックの吸収などがうまく、不快には感じられない。

高速での直進安定性も高く、乗り心地は少し硬いがショックの吸収などがうまく、不快には感じられない。

しかも、乗り心地がさほど悪化していない。街乗りではやや硬さを感じるが、路面の凹凸でなかなか揺れが収まらないノーマルに比べて、1回の入力をスッと収めてしまう足まわりは、むしろ逆に「乗り心地が良い」とさえ感じる。案外、クルマ酔いも少なくなるかもしれない。

直線路を高速で巡航している時も、より安定感に優れていることが感じられる。横風の影響を最小限に収めて突き進んでいく優れた直進性は、エアロパーツの効果もありそうだが、ステアリングの操舵感も希薄にならず、ドッシリとした感覚を与えてくれる。この仕上がりは、足まわりが優れているからこそ。さすがは、走りにうるさいニスモが仕上げただけのことはある。

そしてシャシ系の仕上げとして、ブレーキにも抜かりないチューニングが施されている。独自開発のノンアスベスト材を採用したブレーキパッドは、踏力に対しリニアに減速する感覚。わずかな踏力で効きすぎてしまうノーマルに比べれば、かなり扱いやすい。

一方、パワーユニットに対するチューニングはマフラーのみだが、エンジン回転が高まっていく時のエキゾーストノートはより澄んだものに変わっている。感覚的にもスロットルに対するエンジンのツキがよく感じられ、洗練されたフィーリングが楽しめる。

ニスモ Sチューンのエルグランドは、非常に優れたトータルバランスを手に入れることができる。その乗り味は、ノーマルとは明らかに違う。これまでにもスポーツモデルのニスモ仕様には何度か試乗したが、そこで感じられた以上の差が、はっきりとした進化として体感できる。

ニスモ Sチューンのパーツはディーラーでも取り付けられる、いわゆるライトチューンだが、本当に優れモノだ。このニスモSチューンこそ、真のエルグランド「ハイウェイスター」であり、「キング・オブ・ミニバン」の称号にふさわしいと思わせてくれた。

画像: Sチューン スポーツマフラーはステンレス製。デュアルタイプのテールエンドで、高回転域のサウンドは心地良い。

Sチューン スポーツマフラーはステンレス製。デュアルタイプのテールエンドで、高回転域のサウンドは心地良い。

■エルグランド 350ハイウェイスター プレミアム(ベース車両) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4915×1850×1815mm
●ホイールベース:3000mm
●車両重量:2020kg
●エンジン種類:V6 DOHC
●排気量:3498cc
●最高出力:206kW<280ps>/6400rpm
●最大トルク:344Nm<35.1kgm>/4400rpm
●トランスミッション:エクストロニックCVT(6速マニュアルモード付き)
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:9.4km/L
●タイヤ:225/55R18
●当時の車両価格(税込):435万7500円

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