初参戦から17年、通算13回目の挑戦でマツダのロータリーエンジンが頂点に立つ
マツダのルマン24時間レースへの挑戦は、1970年にベルギーのプライベートチームに、ファクトリー仕様の10Aエンジンを提供するところから始まった。そして1974年には、マツダオート東京のディーラーチームが12Aエンジンを搭載した2シータースポーツカーで出場し、24時間走りきることの難しさを経験した。
そして5年後の1979年、マツダオート東京は、サバンナRX-7に13Bエンジンを搭載したマシンで再挑戦した。しかし、結果は悔しい予選落ち。この悔しさをバネにマツダは、1981年から毎年ルマン24時間レースに挑戦することになった。そしてマツダオート東京のルマンへの熱い思いが認められ、1983年にはマツダ傘下のファクトリーチーム「マツダスピード」に発展した。グループC2時代は3ローターエンジンで戦い、後に4ローターエンジンを搭載するレースカーを開発した。
これまで熱い戦いをルマンで繰り広げていたマツダだったが、1991年、レース規定の変更でロータリーエンジン搭載車が参加できる最後の年となった。最後の望みをかけて787Bが24時間全開で駆け抜けた。筋書きのないドラマの先に待っていたのは、歴史的快挙だった。
ロータリーエンジンがルマンに出場できる最後の年、1991年、マツダは2台の787Bを投入した。そのうちの1台、55号車にはフォルカー・バイドラー(ドイツ)、ジョニー・ハーバート(イギリス)、ベルトラン・ガショー(フランス)の3名がドライブした。
車両重量830kgの軽量ボディに最高出力700psを発生する4ローターエンジンを搭載する787Bは、序盤からトップグループで周回を重ねた。そしてレース終了の3時間前、ついに首位に浮上した。深夜にもかかわらず、歴史的瞬間を見るために多くの日本のファンが固唾を飲んでレースを見守った。1974年の初参戦から17年、通算13回目の挑戦でマツダのロータリーエンジンは、ついに世界の頂点に立ったのだ。
今から30年前に起こった、まるで映画のようなこのストーリーは、今でもルマンの歴史に残る一戦として語り継がれている。その栄光の30周年を記念して、マツダ車のオリジナルグッズなどを手がけるMZレーシングが 「マツダR26B 1/6スケール 優勝30周年記念モデル」を同社のメルマガに登録している読者のみに先行受注を開始した。
2018年、MZレーシングは「ロータリーエンジン50周年記念」としてR26Bエンジンを忠実に再現したモデルを限定100台で販売した。そして記念すべき年に当たる今年、2021年は、それをベースにした「ルマン優勝30周年記念」として、1/6スケールのR26B型4ローターエンジンモデルに、さらにリアリティを徹底追及したエキマニを加えたモデルを発売した。
このモデルを制作するにあたり、マツダからスペアパーツとして保管されていたR26Bエンジンのエキゾーストマニホールドとマフラーの実物を見ながら製作された。これにより、実車ではカウルやサイドポンツーンなどで遮られているので、ほとんど見ることができないエキマニ部分と、その取り回し、そしてインコネルの素材の質感などが忠実に再現されている。
また、「R26B 4ローターレーシングロータリーエンジン 1/6スケールモデル優勝30周年記念仕様(16万5000円)」に加え、「メイクアップ社製1/43 マツダ787Bモデルカーセット(17万9300円)」、2018年にエンジンモデルを購入した方でも楽しめる「R26B エキゾーストマニホールド&マフラー 1/6スケールモデル(4万1800円 税込)」などの3種類が用意される。いずれも日下エンジニアリングの完全ハンドメイドによる受注生産品となっている。