クルマのあらゆる領域が試されるタフなコース
フランスGPが行われるポールリカール・サーキットは、フランス・マルセイユ近郊のル・カステレ村にある。1970年に設立されて、1990年までおよそ20年間にわたりフランスGPが行われたが、世界選手権の舞台から退いた後、テスト専用サーキットとして全面的に改修されて167通りものレイアウトを備える変幻自在のコースとなり、2018年から再びF1グランプリが行われることになった。
ポールリカールとは最初の所有者である酒造メーカーの創業者の名前に由来した名称で、地名にちなんで「ル・カステレ・サーキット」と呼ばれることもある。
F1グランプリで使用されるのは、1.8kmのミストラル・ストレートの途中にシケインを設けた全長5.842kmのレイアウト。新たにシケインこそ設けられたが、かつてF1グランプリで使われていた設立当初のコースレイアウトに近い。エンジン全開率は70%と高く、エンジンへの負荷が高いと言われるが、全体的には4本のストレートが低・中・高速コーナーでつながれたテクニカルなレイアウトで、クルマのあらゆる領域が試されるタフなコースとなっている。
第1セクターは低速のタイトコーナーとミドルストレートで構成されるが、ミストラル・ストレートと高速のシーニュを含む第2セクターではエンジンパワーとエアロ効率が、そして第3セクターでは中速域でのダウンフォースとクルマの敏捷性が求められるといった具合だ。
なお、ランオフエリアの赤と青の2つのカラーで彩られた部分は摩擦係数が高くなっており、コース外に飛び出たマシンを減速させるように設計されている。テストコースとして設計し直されたことをうかがわせるが、これは安全性には貢献するものの、タイヤの摩耗が大きいので注意が必要だ。
ポールリカールでのフランスGPは、2018年と2019年に行われたものの、2020年は新型コロナウイルス感染拡大のため中止になっているためデータは多くないが、2019年のグランプリではメルセデスのルイス・ハミルトンが圧勝している。
2019年は、ハミルトンは予選であっさりとポールポジションを獲得すると、レースでも好スタートを切って主導権を握り、唯一のタイヤ交換時にもポジションを譲ることなく、結局53周のすべてを先頭で走りきった。
【参考】2019年F1第8戦フランスGP決勝 結果
優勝 44 Lハミ.ルトン(メルセデスAMG)53周
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+18.056s
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+18.985s
4位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)+34.905s
5位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)+62.796s
6位 55 C.サインツJ(マクラーレン・ルノー)+95.462s
7位 7 K.キミ・ライコネン(アルファロメオ)+1周
8位 27 N.ヒュルケンベルグ(ルノー)+1周
9位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+1周
10位 10 P.ガスリー(レッドブル・ホンダ)+1周
タイヤを供給するピレリは「この時期のポールリカールは非常に暑くなる可能性があります。今回は真ん中の3つの硬さのコンパウンドが選択されましたが、ポールリカールは、トラクションやブレーキングではなく横方向の力も加わるバランスが取れたコースで、この3つの硬さのコンパウンドはトラックのさまざまな特性に適しています。これは2019年のタイヤセットと同じです。2019年のグランプリでは、ハミルトンがミディアムタイヤからハードタイヤへのワンストップで勝利をあげました。ほとんどのドライバーがワンストッパーでしたが、詳細にみるといくつかの異なる戦略がとられています。今年のグランプリもワンストップが主流となるでしょう」と分析している。
さて2021年はどんなレースとなるのか。第7戦フランスGPは6月18日11時30分(日本時間18時30分)から始まるフリー走行で開幕する。
2021年F1第7戦フランスGP タイムスケジュール
フリー走行1回目:6月18日11時30分~12時30分(日本時間18時30分~19時30分)
フリー走行2回目:6月18日15時~16時(日本時間22時~23時)
フリー走行3回目:6月19日12時~13時(日本時間19時~20時)
予選:6月19日15時~16時(日本時間22時~23時)
決勝:6月20日15時~(日本時間22時~)