2021年7月17日(日本時間18日)、F1史上初めてとなるスプリント予選が第10戦イギリスGPで行われ、2番グリッドからスタートしたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがトップでチェッカーを受けて4戦連続のポールポジションを獲得した。その後ろ2-3番手にはメルセデス勢が続き、決勝レースは「3強」の様相となっている。

フェルスタッペンが見事なスタートを決めて圧倒

今シーズン試験的に3戦で導入されることになったスプリント予選は、日曜の決勝レースのスターティンググリッドを100kmのスプリントレースの結果により決定するもので、今回初めてイギリスGPで実施されることになった。

スプリント予選ではスタートタイヤを自由に選択できるが、イギリスGPではほとんどのドライバーがミディアムタイヤを選択する中、3番手スタートのバルテリ・ボッタス(メルセデス)はスタートダッシュでアドバンテージがあるソフトタイヤを装着し2番手のフェルスタッペンにプレッシャーをかける。このほか、ソフトタイヤを選択したのはアルピーヌの2台と、キミ・ライコネン(アルファロメオ)のみだった。

画像: スプリント予選のスタート。見事なダッシュを決めたフェルスタッペンが抜け出す。

スプリント予選のスタート。見事なダッシュを決めたフェルスタッペンが抜け出す。

そのスプリント予選のスタートでは、フェルスタッペンが見事なスタートを決めて首位に浮上。ルイス・ハミルトン(メルセデス)の前に出てリードを奪うと、ファステストラップを更新しながら少しずつ引き離していく。そしてタイヤをマネージメントしながら、最後まで攻め続けてトップでチェッカーフラッグを受けた。これでフェルスタッペンはポールポジションとチャンピオンシップポイント3点を獲得した。

画像: スタートダッシュから逃げ切ったフェルスタッペンだが、単調なレースにはならず、最後までハードにプッシュすることになった。

スタートダッシュから逃げ切ったフェルスタッペンだが、単調なレースにはならず、最後までハードにプッシュすることになった。

スプリント予選を終えて、フェルスタッペンは「今日はとても楽しいセッションでした。3ポイントを獲得できたことはもちろんうれしいですし、このレースの結果によってポールポジションも獲得できたというのはおかしな気分ですが、もらえるものはもらっておきます! このコースは追い抜きが難しいのですが、いいスタートが決まり、1周目はルイス(ハミルトン)といい戦いができました。そこからは自分たちのペースで進めようとしましたが、結果的にはお互い最後までハードにプッシュすることになりました。その辺りは、タイヤにブリスターが出てうまくマネージしなければならなかったことからも、見て取れるかと思います。燃料搭載が少ない状態でレースをスタートすると、高速コーナーでもマシンをハードにプッシュすることができるので、一周ごとにタイヤに負担がかかっていきます。決勝レースに向けてマシンのセッティングを変更することはできませんが、今日の結果からメルセデスとは僅差であることも分かりました。僕らはコーナーでは速いのですが、彼らはストレートが速いので、エキサイティングなバトルになるはずです。みんながイギリス人ドライバーを応援するために集まっていることは分かっていますが、応援してくれる姿を見るのは最高の気分です」とコメントしている。

フェルスタッペン以外のホンダ勢は中盤グリッド以降からのスタート

一方、5番グリッドからスタートしたレッドブル・ホンダのセルジオ・ペレスはスタートで7番手に順位を落とした後、ランド・ノリス(マクラーレン)をパスすべくプレッシャーをかけ続けたが、高速セクションで乱気流の影響もあってスピン。順位を19番手まで下げ、タイヤにフラットスポットを作ってしまったことから、残り1周時点でリタイアとなった。振動によるマシンへのダメージが決勝に影響を与えることを懸念し、またこの状態でそれ以上走っても順位を上げられないと判断した。

12番グリッドからスタートしたピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)は順位をキープして12位でフィニッシュ。角田裕毅が16番グリッドからポジションアップを狙ったが、スタートでソフトタイヤのキミ・ライコネン(アルファロメオ)に先行された後、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)を抜いて予選と同じ16番手でフィニッシュとなった。

なお、スプリント予選終了後、9位でフィニッシュしたジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)に3グリッド降格ペナルティが科され、ガスリーは11番グリッドから決勝スタートすることになった。

スプリント予選終了後、角田裕毅は「今日のパフォーマンスにはがっかりしています。満足いくポジションでフィニッシュできず、決勝も同じグリッドからスタートすることになりました。予選前のフリー走行が1回という今週末のフォーマットは、ルーキーにとって非常に厳しいのですが、ファンの皆さんが楽しんでくれていればと思います。レースウイークを通じてマシンパフォーマンスで悩んでいるので、今夜もデータを見直し、レースに向けて理解を深めていきます」とコメントしている。

画像: スタート時と同じ16番手のままフィニッシュとなった角田裕毅。今週末のフォーマットにとまどいながら、決勝に挑む。

スタート時と同じ16番手のままフィニッシュとなった角田裕毅。今週末のフォーマットにとまどいながら、決勝に挑む。

また、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「フェルスタッペン選手が4戦連続のポールポジションとなりましたが、決勝レースではフェルスタッペン選手のすぐ後ろにメルセデスの2台がいますし、他のマシンは中盤グリッド以降からのスタートとホンダ勢にとっては難しい戦いになることが予想されます。今日のスプリント予選からは、多くの学びがありました。レースに向けてそれらを十分活用できるようにデータを解析して本番に臨みます」と語っている。

一方、タイヤを供給するピレリは「スプリント予選でフェルスタッペンがミディアムタイヤを使用して優勝したように、ミディアムタイヤはシルバーストンの速いコーナーと重い負荷にうまく対処しました。イギリスGP決勝のポイントは、どのドライバーもスタートタイヤを自由に選択できるため、理論的に最も速い戦略をとることができることです。その最良の選択は、ミディアムからハード、あるいはソフトからハードの1ストップとなるでしょう。スタートを重視すればソフトという選択もありますが、ミディアムから始めるとピットストップのタイミングに柔軟性が生まれタイヤマネージメントも楽になります。いずれにしても決勝では気温がさらに高くなると予想されるため、タイヤマネージメントが重要になります」と分析している。

第10戦イギリスGPの決勝レースは日本時間7月18日23時(現地時間15時)に開始される。なお、決勝レースのスタートタイヤは自由に選択できるが、車両保管となっているためマシンセッティングの変更は行うことはできない。

2021年F1第10戦イギリスGPスプリント予選 結果

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)17周
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+1.430s
3位 77 V.ボッタス(メルセデス)+7.052s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+11.278s
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+24.111s
6位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)+30.959s
7位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+43.527s
8位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス) +44.439s
9位 63 G.ラッセル(ウイリアムズ・メルセデス) +46.652s
10位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+47.395s
・・・・・・・・・・
12位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+48.763s
16位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+53.567s
20位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)リタイア

2021年F1第10戦イギリスGP決勝スターティンググリッド

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)
3位 77 V.ボッタス(メルセデス)
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)
6位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)
7位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)
8位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)
9位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)
10位 55 C.サインツ(フェラーリ)
・・・・・・・・・・
11位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+48.763s
16位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+53.567s
20位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)リタイア

This article is a sponsored article by
''.