市販開始前のGR86に接近遭遇。それはコンプリートカーとしての個性を全身にまとったプロトタイプだった。その足もとを飾るのは、まさに「The BBS」と呼びたくなるスポーティなメッシュホイール「RE-V7」だ。(Motor Magazine2021年9月号より

SARDが手がけたGR86用エアロ。サーキット志向のアイテムだ

GR86が、思い切りドレッシーに進化というと、なんだかとても気の早い話のように思われるかもしれない。なにしろ2021年7月15日現在、内外装デザインが先行してお披露目されているとはいえ、市販型の正式発表の日付は、まだ明らかにされていない。

そんな「期待のニュースポーツカー」をいち早くカスタマイズしてしまったのは、トヨタ系アフターパーツを得意とするSARDである。スーパーGT選手権など、レースの世界でも有力コンストラクターとして知られる同社が、いわゆる「86」を手掛けるのはこれが2度目。

2013年に、初代トヨタ/スバルBRZ用として、オリジナルのエアロアイテム「GT1パフォーマンスエアロ」や各種機能パーツをリリース、その圧倒的存在感と優れたパフォーマンスは、高い評価を受けた。

新しいGR86用「GT1」は、そんな初代GT1のデザインモチーフを受け継ぎつつ、より低重心でワイドなフォルムが生むド迫力と、サーキットランにも似合う高い空力性能を兼ね備えた、コンプリートカーのプロトタイプだ。

画像: 丸型のテールランプはスポーツカーらしさをより強調する。リアのウイングは自然な装着感にこだわった設計だ。

丸型のテールランプはスポーツカーらしさをより強調する。リアのウイングは自然な装着感にこだわった設計だ。

圧倒的軽さと高い剛性を兼ね備えたBBSの新作

完成度の高いエアロはもちろんだが、その足もとを飾る「BBS」との抜群のコーディネートに目を奪われた。SARD GR86 GT1が履いているのは、しなやかな広がりを見せるY字スポークを7セット組み合わせたBBSの最新鍛造1ピースホイール「RE-V7」。装着サイズは18インチ×8.5J +45、9mmワイド化されたフェンダーに合わせて10mmのペーサーが装着されている。

このRE-V7は、もともとスーパーGTマシンが履いていたデザインを市販用にアレンジしたものだけに、ストリートはもちろんサーキットでも一際目立つ存在感を生み出す個性の持ち主。だからこそ、SARD GR86 GT1のコンペティティブなフォルムにもしっかりマッチしているのだろう。

細身のスポークは見るからに軽そうだが、サイド部分の無駄な「肉」がさらにそぎ落とされていることにも注目して欲しい。デザイン性や軽量化にこだわりながらももちろん、鍛造1ピースならではの高い剛性と優れた靭性を実現。結果、しなやかでコシのあるフットワークをサポートしてくれる。

レースシーンでTGR TEAM SARDを率いて戦いながら、このマシンの開発を統括してきた近藤尚史氏いわく、RE-V7の「大人っぽいカッコよさ」は、新しいGR86カスタマイズの目線にぴったりフィットする、と言う。

「欧州ではカスタマイズ=コンプリートというスタイルが一般的です。私たちは日本でも、そうしたトレンドが今後定着していくと考え、レーシングフィールドで培ってきたSARDらしさを武器に、大人も楽しめる付加価値としてのコンプリートモデルとしてGT1を訴求していくつもりです」

現状はプロトタイプということでマフラーや足まわりなど、細かい仕様はすべてが試作品ではある。だが、純正モデルとはまったく違った目線で「カッコよさ」を追求するSARD GR86 GT1にはたぶん、BBS RE-V7の強烈な個性こそが、もっとも似合うことだろう。(文:Motor Magazine編集部 神原 久/写真:永元秀和)

画像: 装着されたRE-V7の型番は「020」。18インチ×8.5J +45 5H PCDは100となる。GT1仕様はフェンダーに合わせスペーサーを装着しているが、純正のGR86なら、ちょうどいい具合の「ツライチ」が実現されるという。

装着されたRE-V7の型番は「020」。18インチ×8.5J +45 5H PCDは100となる。GT1仕様はフェンダーに合わせスペーサーを装着しているが、純正のGR86なら、ちょうどいい具合の「ツライチ」が実現されるという。

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