高速道ではあくまで滑らか山岳路では存外にパワフル
一見、高速クルージングは得意そうには見えないクルマだ。けれどもこれが決して悪くない。否、むしろ腰下がはっきりと落ち着いているように感じることができるため、GTとしての性能は想像以上に優れている。
だからこそ、東京まですべての行程を高速道路上で過ごすのではなく、時間的には随分と遠まわりになる下道の、しかもワインディングロードが続くルートを選ぼうという気にもなったのだ。実は以前に京都まで同じ個体に乗って帰った時、山道でも存外に楽しめた経験があったからでもあった。
松本インターチェンジで高速を降りて、霧ヶ峰高原を目指す。途中、大型SUVではちょっと辛いはずの峠越えのワインディングロードが延々と続くが、それも難なくこなす。それどころか直4エンジンと電気モーターによる走りは存外にパワフルで、街中や高速での洗練された走りとは好対照だと思ったほどだ。言ってみれば走りの二刀流である。
エンジンとモーターをミックスした走りは、ハイスピードなカントリーロードでも十分に力強く、その上、身のこなしも決して悪くないのだから驚くほかない。非ハイブリッドのグレードよりも約200kgも重いはずなのに、それほどの重量差があったとは微塵も感じさせない。それどころかフロアの重さが背の高い車体の動きにかえって落ち着きを与えている。ドライバーは重さを不利に感じることなく安心してドライブを楽しむことができた。
優しい顔つきでもやるときはやる。インパクトの瞬間には顔も身体も引き締まる。ボルボ XC90はSUV界の頼れるメジャープレイヤーであった。(文:西川 淳/写真:赤松 孝)
ボルボ XC90 ラインナップ
・B5 AWD モメンタム(2L直4 DOHCターボ+電気モーター):834万円
・B6 AWD インスクリプション(2L直4 DOHCターボ+電動スーパーチャージャー+電気モーター):1004万円
・B6 AWD Rデザイン(2L直4 DOHCターボ+電動スーパーチャージャー+電気モーター):1004万円
・リチャージ プラグインハイブリッド T8 AWD(2L直4 DOHCターボ+電動スーパーチャージャー+電気モーター):1139万円
ボルボ XC90 リチャージ プラグインハイブリッド T8 AWD インスクリプション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4950×1960×1760mm
●ホイールベース:2985mm
●車両重量:2370kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+スーパーチャージャー+モーター
●総排気量:1968cc
●最高出力:233kW(318ps)/6000rpm
●最大トルク:400Nm/2200-5400rpm
●モーター最高出力:前34kW/2500rpm、後65kW/7000rpm
●モーター最大トルク:前160Nm/0-2500rpm、後240Nm/0-3000rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●WLTCモード燃費:12.8km/L
●タイヤサイズ:275/40R21
●車両価格(税込):1139万円