雨に洗われた山々の緑が眩しい信濃路を、ボルボSUVのフラッグシップXC90リチャージ プラグインハイブリッド T8 AWD インスクリプションで走った。優雅に、時にパワフルに。自然と一体になるプレミアムな時間。こんどは家族や友人たちと一緒に走ってみたい。(Motor Magazine2021年9月号より)

市街地ではモーター主導のまったりした乗り味を堪能

長野駅前からXC90のリチャージで走り出した。リチャージという名前はボルボの充電可能なモデル、つまりPHEVやBEVに添えられるサブネームである。

XC90に関して言えば、従来から存在していたツインエンジンと称するT8と変わるところはない。ターボ&スーパーチャージャーを二丁掛けした2L 直4 DOHCエンジンをフロントに搭載。これに前後ひとつずつ電気モーターを組み合わせた。リアの駆動はモーターのみ、つまりフロントのパワーユニットとはつながっていない。なので、その出力は65kWと大きめだ(フロントは34kW)。

通常のモデルならプロペラシャフトが通る位置を利用して配置されたリチウムイオンバッテリーの容量はおよそ12kWh。電気モーターのみでの航続可能距離はカタログスペックで約40kmというから、現実的には30km前後をこなすと考えておけばいい。つまり、自宅ガレージで充電可能であれば、街中での買い物や送迎でガソリンを消費することはほとんどない。

将来的にみてどのタイミングでBEVが主流になるのか、それはまだわからない。国家の電力事情やバッテリーの進化、充電インフラの整備、そして地域の経済成長戦略によって左右されるからだ。

未来の話はともかく、日本人のライフスタイルには今しばらくPHEVがもっともスマートでリーズナブルな選択肢であることは間違いない。市中での短距離移動は電気モーターで、郊外~長距離はガソリン+電気モーターというのが何かと合理的というものだろう。

画像: 過給器の二丁掛けだが圧縮比は10.3と高め。エンジン本体で出力を稼ぐタイプと言える。

過給器の二丁掛けだが圧縮比は10.3と高め。エンジン本体で出力を稼ぐタイプと言える。

XC90リチャージでの出発は朝早かったけれども、静々と市街地を走り出した。その静けさは、まったりとした乗り味と相まって、かの英国製超高級ブランドを思い出させるほど。スーパーカー好きの筆者でさえ、街中では静かなクルマがいいと思う時代である。社会におけるさまざまなノイズの抑制要求は想像以上に高くなってきたと思っておいた方がいいだろう。

朝の通勤ラッシュで少し混み合った長野の市中から上信越道のインターチェンジへと向かうまでの間は、電気だけでしっかり走ってくれた。帰りの分も十分にありそうだ。

まずは松本を目指す。そこからいったん高速道路を降りて、高原のワインディングロードを楽しんでみようという魂胆だ。右足を強く踏み込むと直4エンジンがかかる。ショックはなく、さほど煩くはない。少しでも電気自動車として走行可能なモデルは、その静かさを十分に体感できるよう、防音対策に優れていることも多い。XC90のように大型の上級SUVともなれば、なおさら念入りに行われているということだろう。

画像: ロングツーリングで真価を発揮する圧倒的な乗り心地の良さと疲れの少なさ、しかもタフな動力性能はまさに「二刀流」。(ビーナスライン経由で霧ヶ峰高原を目指す)

ロングツーリングで真価を発揮する圧倒的な乗り心地の良さと疲れの少なさ、しかもタフな動力性能はまさに「二刀流」。(ビーナスライン経由で霧ヶ峰高原を目指す)

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