早めのスタッドレス交換で安心のウインタードライブを
暑かった夏も終わり、季節は一気に秋へと移ってきた。この時期、雪がそれほど降らない、いわゆる非降雪地域の人にスタッドレスタイヤ(以下、スタッドレス)の話をしてもピンとこないかもしれないが、逆に降雪地域に住んでいるなら「もうそろそろかなぁ・・・」という人が多いことだろう。
というのも、雪が降ってしまってからスタッドレスを求めてショップに駆け込んでもすでに手遅れで、交換作業には長時間待たされることになる。では、いつスタッドレスに履き替えればいいのか。それはまさに「今」だ。すでに北海道では例年より早く初雪が降りそうとのことで、北国ではもう待ったなしの状態となった。
スタッドレスのゴムは数年で硬くなり氷上性能がダウンする。摩耗してなくても4~5年で買い換えた方がいい。安全面を最優先するべく、ある程度は消耗品と割り切って、早めに履き替えたい。最近ではオールシーズンタイヤのラインナップも拡充してきたが、これらはたまに雪が降ることもある非降雪地域向け。アイスバーンには向かないのでご注意を。
ここでは、各タイヤメーカーの乗用車用最新スタッドレスを紹介している。タイヤショップでは従来品も併売していることが多いが、やはり氷上性能では最新モデルが優れており、安心感は高い(文:Motor Magazine編集部 加藤英昭)
BRIDGESTONE BLIZZAK VRX3(ブリヂストン ブリザック VRX3)
曲がる、止まるは、新たな次元へ
ブリヂストンのスタッドレスタイヤを支える独自技術である発泡ゴムを、新たな発想でさらに進化させた「フレキシブル発泡ゴム」と、氷面上の水の流れをコントロールする新トレッドパタン技術を採用することで、従来品対比で氷上でのブレーキ性能を20%向上させているのがポイント。また、トレッド変形を抑制・接地圧を均一化することで、摩耗ライフを17%向上させている。さらにゴムの硬化を抑制する「ロングステイブルポリマー」を配合して、効きと持ちも向上させている。
YOKOHAMA iceGUARD 7(ヨコハマ アイスガード セブン)
「氷に効く・永く効く・雪に効く」を高次元でバランス
ヨコハマスタッドレスタイヤ史上最大の接地面積と溝エッジ量を実現した専用パターンを開発。接地面積の拡大とブロック剛性の向上に寄与するほか、「ウルトラ吸水ゴム」の相乗効果によって氷上制動性能を従来品比で14%レベルアップ。また溝エッジ量を増大させ、氷上性能と背反する雪上制動性能も3%の向上を実現している。実績のある「オレンジオイルS」がゴムのしなやかさを維持する劣化抑制効果を発揮して永く効く。
DUNLOP WINTER MAXX 03(ダンロップ ウインターマックス03)
氷上の水膜を超速で除去し強力グリップを発揮
新技術の「ナノオウトツゴム」を採用してダンロップ史上最高の氷上性能を実現。従来品比で氷上ブレーキ性能が22%アップ、氷上コーナリング性能も11%向上している。ナノオウトツゴムは微細な突起部分がいち早く水膜に到達することで除水スピードが速まり密着時間を増加し氷上性能を向上。また、ゴムのしなやかさを長期にわたって保つ「液状ファルネセンゴム」の採用により、その高い氷上性能を長期間維持している。
FALKEN ESPIA W-ACE(ファルケン エスピア ダブルエース)
先進的なトレッドパターンで氷上性能向上
方向性を持った先進的なトレッドパターン「ラッセルパターン」を採用。また、サイプを自在に配置した「タテヨコサイプ」や、高密度シリカと軟化剤を絶妙に配合した新開発の「アイスホールドゴム」などを採用して、従来品比で氷上ブレーキ性能を7%、氷上コーナリング性能を4%、ウエットブレーキ性能を13%向上させている。ちなみに製品名の「ESPIA」は、ドイツ語で氷を意味する「Eis」と理想郷「Utopia」を組み合わせて作られた。
TOYO TIRES OBSERVE GIZ2(トーヨータイヤ オブザーブ ギズ2)
変わらない安心感で路面環境に対応したスタッドレス
地球温暖化時代の日本の降雪期に求められる性能を追求。ウエット性能を高めて冬道での路面変化に対応するとともに、ゴムの経年変化による氷上での摩擦力低下を抑制。新コンパウンド「吸着クルミゴム」を採用し、氷の表面にできるミクロ単位の水膜を瞬時に吸水するとともに、柔らかさを保ったゴムがアイス路面へしなやかに密着する。さらに、20年以上培ってきた独自の鬼クルミ殻を配合。氷上グレーキ性能は従来品比8%向上する。
GOODYEAR ICE NAVI 8(グッドイヤー アイスナビ8)
新パターンとコンパウンドで氷上性能と燃費性能向上
アイスナビシリーズでは初の左右非対称パターンを採用。雪上や氷上の冬性能だけでなく、ライフ性能や新たな軟化剤の使用による柔軟性の持続をも高次元でバランスをとったグッドイヤーのプレミアムスタッドレスタイヤとなる。具体的には、エッジ成分増加とコンパウンドの改良で氷上ブレーキ性能は従来品比で8%向上させている。また、左右非対称パターンの採用して接地圧を最適化し、氷上コーナリング性能を同5%向上している。
MICHELIN X-ICE SNOW(ミシュラン エックスアイス スノー)
アイス性能と雪上性能をともに向上
日本の冬季路面をあらゆる角度から分析し、想定されるすべての路面環境下において高いレベルの性能を発揮できる新スタッドレス。剛性の高いポリマーベースの材質をコンパウンドに配合し、ベースコンパウンドとの摩耗差により微小なオウトツを生成することでエッジ効果と水膜を破って接地するアイスグリップ性能を向上。一方雪上では雪踏み効果を発揮し、摩耗しても接地面のオウトツは再生され続けるため高いグリップ力が長く続く。
CONTINENTAL North Contact NC6(コンチネンタル ノースコンタクト NC6)
低温下でもゴムを柔軟に保ち高性能を維持
高充填率を誇るシリカベースの低温耐性に優れたゴムと、独自の柔軟剤「耐寒性ソフトジェル」を均一にミックスしたハイテク低温ソフトコンパウンドを採用。冬の極寒~低温環境でも優れた弾性を維持し、路面のオウトツにもしっかり密着し、氷上制動性能を高めている。また、独自の左右非対称パターンを採用。トレッド面には、ゲッコー(ヤモリ)の足の裏のように、多数の溝とサイプを配置し、強力な総合グリップ力を発揮してくれる。