刻々と変化する路面状況に対応
トーヨータイヤのスタッドレスタイヤは、以前から「吸水・密着・ひっかき」の3つの性能にこだわってコンパウンド開発を行ってきた。オブザーブギズ2は、その中でも「密着」にクローズアップ。NEOゲルという低温でもゴムを柔らかく保つ素材を配合し、路面への密着性を増すと同時に、経年変化で硬くなりにくいという性能も、合わせて手に入れている。
これに加え、路面の水膜を瞬時に吸収するNEO吸水カーボニックセルや、氷より硬くアスファルトより柔らかいという絶妙な硬度を持つ鬼クルミの殻も健在。さらにシリカを増量し、グリップポリマーという同じくゴムを柔らかく密着させる成分も混ぜ合わさることで、ウエットグリップ性能も引き上げている。
これらのおかげで、性能データ的には、アイス路面での制動性能が従来品比で8%短縮とのこと。実際の体感的には初期制動力が強くて、結果的に短く止まるように感じられた。
停止時の感触は、従来品は引っかかって止まる感じが強かったのに比べ、ギズ2は接地性が高まった感覚があり、吸水・密着・ひっかきの効果をバランス良くフル活用しながらタイヤ全体で止まろうとする印象を受けた。一方、乗り心地がとっても良くなったので、同乗者にも好評だと思う。
スノー性能はデータ的にほぼ変わらないというもので、発進性能はさほど変わらない。しかし縦方向のトラクション性能が上がったことでスピードを乗せやすく、またスピードを上げたときの安心感が高まっていた。コーナリングでも姿勢の収まりの良さが相乗効果となってコントロール性も高い。さらに乗り味の滑らかさが際立ち、全体的に1ランク上の高級なタイヤを履いたようなイメージが伝わってきた。
またウエット性能に関しては、従来品に比べて制動距離で18%短縮とのこと。これはドライバーにとってありがたい。
まとめると、走る曲がる止まる際に、引っ掛かり感をしっかり伝えることで、ドライバーに安心感を与えていた先代に比べ、新型は全体的に収まりが良くマイルドで、不安を与えないという感じだ。
気温や路面温度が高めで、シャーベット路面やウエット路面の状態が多い最近の冬道、つまり水分が多く刻々と変化する路面で、常に安心感を持って走れるというのは、きっと多くのユーザーに喜ばれるだろう。(文:竹岡 圭/写真:トーヨータイヤ)