メルセデスといえども環境問題は無視できない
そして、新型の3.5L V6直噴エンジンにはリーンバーン方式が採用されている。4000rpm以下で低負荷時には成層燃焼を行い、4000rpm以上で高負荷時には均質燃焼を行うのだが、4000rpm以下で中負荷時には、均質成層燃焼という中間モードも設けられ、きめ細やかな制御を行ってくれる。
いかにもメルセデスらしく直進安定性は高く、低偏平タイヤを履いていても乗り心地は悪くない。使い方として4ドアは必要だけど、普段はほとんど前席しか使用しないというのなら、CLSは格好のアイテムになりそうだ。さらに軽量化やフリクションの低減なども行われ、燃費を46%も改善させながら出力もトルクもアップしている。そのおかげで、エコカー減税にも適応している。
さて、CLSにはもうひとつ、63AMGというモンスターモデルもラインアップしている。こちらは5.5LのV8ツインターボエンジンを搭載。先代の6.3Lから5.5Lにダウンサイジングといわれてもピンとこないが、トランスミッションは7速のAMTと組み合わされアイドリングストップ機構も盛り込まれたことで、燃費は約59%も向上させたという。モンスターマシンといえども、環境を配慮しなければならない時代になったというわけだ。
しかし、さらに32psと100Nmもパワーアップすることができ、スピードリミッターも300km/hまで上限が引き上げられるAMGパフォーマンスパッケージも用意されている。経済的にもテクニック的にも余裕のあるAMGファンは、こちらを選択しては、いかがだろうか。
今回、短時間だが試乗したのは、このAMGパフォーマンスパッケージ装着車だった。そのハイパワーによる加速はハンパではなく、サスペンションは硬めだが乗り心地は悪くない。CLSのチョイ悪スタイルは、こちらのほうが似合っている気がした。
■メルセデス・ベンツ CLS350 ブルーエフィシェンシー 主要諸元
●全長×全幅×全高:4940×1881×1416mm
●ホイールベース:2875mm
●車両重量:1735kg
●エンジン種類:V6 DOHC
●排気量:3498cc
●最高出力:225kW<306ps>/6500rpm
●最大トルク:370Nm<37.7kgm>/3500-5250rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●JC08モード燃費:12.0km/L
●タイヤサイズ:255/40R18
●当時の車両価格(税込):930万円