2021年10月17日、栃木県ツインリンクもてぎで開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権 第6戦で、ポールポジションからスタートした大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)がウエットコンディションの荒れたレースで初優勝を飾った。また5位に入賞した野尻智紀(TEAM MUGEN)が最終戦を待たずにシリーズチャンピオンを獲得した。(写真提供:JRP)

冷静な走りでポジションをキープ

午前中に大雨に見舞われた決勝日、レーススタート時に雨は上がっているものの、路面は完全なウエット状態。これにより全車ウエットタイヤでのスタートとなる。ただし35周で争われる決勝レースの周回をこなせばこなすほど路面は徐々に乾いていき、ドライタイヤへの交換タイミングによってレースが大きく動くと予想された。

自身初のポールポジションからスタートした大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)は、1コーナー進入時に2番手スタートの山本尚貴(TSC NAKAJINA RACING)にイン側から並ばれる。しかし路面状態が良いアウト側に位置する大津が、ここで冷静にトップを守り切る。レコードラインを外すと滑りやすいためその後2台の順位変動はないものの、2番手の山本は付かず離れずとミラーに映る距離を保ちながら大津にプレッシャーをかけ続ける。

路面が乾き始めた11周目、早目にドライへと履き替えたS・フェネストラズ(KONDO RACING)がコースアウト。これによりSC(セーフティ・カー)導入となり、大津をはじめ多くのマシンがピットインしドライタイヤへ交換する。一方ここでピットインせずコースにステイアウトしたのが2番手の山本、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、平川亮(carenex TEAM IMPUL)らで、この3台が暫定的にトップ3を形成する。

画像: スタート直後、2番手の山本尚貴がポールスタート大津弘樹のインを差し一瞬前にでる

スタート直後、2番手の山本尚貴がポールスタート大津弘樹のインを差し一瞬前にでる

画像: レース中盤、スリックタイヤ交換組のトップを走る大津弘樹

レース中盤、スリックタイヤ交換組のトップを走る大津弘樹

オーバーテイクを許さずトップチェッカー

13周目のリスタート直後こそドライタイヤ装着組に差を広げた上位3台だが、そのアドバンテージは長く続かず15・16周目に続々とドライへ交換することになる。これにより再び大津がトップに立ち、以下は阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)、牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)、関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)そして5番手に野尻智紀(TEAM MUGEN)。

レースはその後中位グループ以下でクラッシュが多発し、さらに2度もSCを導入される。3度目のリスタートとなった25周目、残り11周のスプリントレースが再開される。2番手阪口はOTS(オーバーテイクシステム:1レースに200秒間だけ使用できるエンジンパワーアップ装置)を使ってトップの大津に迫るが、大津も同じくOTSを使用しこれを防御。また牧野と関口の3位争いもポジションを入れ替えながら、最終的に牧野がこれを死守する。

最後はすっかり乾ききったコースでベストラップを更新する走りを見せ、2位以下を振り切った大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)が35周のトップチェッカーを受けた。自身初となる国内トップフォーミュラの優勝を、ポール・トゥ・ウィンという最高の形で飾ることとなった。

画像: Red Bullの期待に応え。見事スーパーフォーミュラで勝利を挙げた大津弘樹

Red Bullの期待に応え。見事スーパーフォーミュラで勝利を挙げた大津弘樹

画像: 2位の阪口晴南(左)、3位の牧野任祐(右)も初勝利が欲しかったに違いない

2位の阪口晴南(左)、3位の牧野任祐(右)も初勝利が欲しかったに違いない

スーパーフォーミュラ第6戦 決勝結果

1位 大津弘樹 Red Bull MUGEN Team Goh
2位 阪口晴南 P.MU/CERUMO・INGING
3位 牧野任祐 DOCOMO TEAM DANDELION RACING
4位 関口雄飛 carenex TEAM IMPUL
5位 野尻智紀 TEAM MUGEN
6位 松下信治 B-Max Racing Team
7位 中嶋一貴 Kuo VANTELIN TEAM TOM'S
8位 山下健太 KONDO RACING
9位 宮田莉朋 Kuo VANTELIN TEAM TOM'S
10位 小林可夢偉 KCMG
11位 大嶋和也 NTT Communications ROOKIE
12位 福住仁嶺 DOCOMO TEAM DANDELION RACING
13位 サッシャ・フェネストラズ KONDO RACING
14位 大湯都史樹 TCS NAKAJIMA RACING

最終戦を待たずにシリーズチャンピオン

そして、全7戦で争われる2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権は、最終戦を残した第6戦でシリーズチャンピオンが決定した。このレースで5位に入賞した野尻智紀(TEAM MUGEN)が有効ポイント80ptとなり、2位の関口(有効ポイント47.5pt)に圧倒的な差を付けタイトルを獲得した。なお、第7戦(最終戦)は10月30・31日に鈴鹿サーキットで開催される。

画像: 我慢のレースを走り切ってチャンピオンを獲得

我慢のレースを走り切ってチャンピオンを獲得

画像: トップフォーミュラに参戦し苦節8年、やっと手にしたタイトルだ

トップフォーミュラに参戦し苦節8年、やっと手にしたタイトルだ

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