2021年10月24日(日本時間10月25日)に行われたF1第17戦アメリカGPで、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが優勝を飾った。結果的にはポールトゥフィニッシュとなったが、その内容は序盤に先行を許す苦しい展開からの、ファイナルラップまでもつれるギリギリの戦いだった。

チーム戦略でトップの座を奪い取ることに成功

ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンだったが、スタート直後のターン1でルイス・ハミルトン(メルセデス)に先行を許す苦しい展開に。そこでチームは戦略を変更して、序盤の10周目にピットインを行って新品のハードタイヤに交換、ペースを上げてアンダーカットをしかける。

さらに3番手を走っていたチームメイトのセルジオ・ペレスも12周目にタイヤを交換。ここでペレスがミディアムタイヤに交換したことから、ハミルトンもタイヤ交換に入らざるをえず、フェルスタッペンが首位奪還に成功する。

画像: 序盤、ルイス・ハミルトン(メルセデス)に先行を許す苦しい展開となったが、そこから見事な戦略を見せた。

序盤、ルイス・ハミルトン(メルセデス)に先行を許す苦しい展開となったが、そこから見事な戦略を見せた。

それでもレース中盤にハミルトンが差を詰めてくるが、チームはここでもアグレッシブな戦略を選択。実はこの時、ハミルトンがアンダーカットできる範囲内のタイム差にいたのだが、レッドブル・ホンダはこれを防ぐべく、フェルスタッペンを29周目に2度目のピットインをさせ、再びハードタイヤに交換する。コース上でのポジションを重視し、ここから27周、最後まで走り切る作戦だ。

これに対してハミルトンはステイアウトしてタイヤ交換を遅らせて、37周目にようやくピットイン。フェルスタッペンより8周フレッシュなハードタイヤで、最後に勝負をかける作戦に出た。

ハミルトンはタイヤ交換後からファステストラップを記録しながら差を詰め始めるものの、フェルスタッペンもタイヤをうまくマネージメントして対応。最終ラップに入った時点でふたりの差は1秒を切っていたが、最後にペースを一段上げたフェルスタッペンが1.3秒差で逃げ切った。

フェルスタッペンは優勝により25ポイントを獲得、ハミルトンは2位の18ポイントにファステストラップの1ポイントを加算される。これによりドライバーズチャンピオンシップで、フェルスタッペンのリード上乗せは6ポイント。つまり、シーズン残り5戦で2位のハミルトンとの差は12ポイントとなった。

フェルスタッペンはレース後、「レース中ずっとプレッシャーがあり、ルイス(ハミルトン)がどれほどの速さで追いついてくるのか分かりませんでした。僕のスタートは問題なかったと思いますが、ルイスがそれ以上によかったです。そこで、ターン1でリードを失ってからはアグレッシブな戦略を採り、最初のスティントで早めにピットインをしました。第2スティントでは、僕らがアンダーカットされてしまうタイム差にいたので、それに対応しました。この暑さの中で、最後のスティントは非常に長くなりましたが、コース上でのポジションを重視しました。最後の2周はタイヤがかなり厳しく、グリップがあまり残っていませんでした。ただ、最後2周に入る際に、前方にハースのマシンがいてDRSを使うことができたので、最後まで順位を守り切れました。今日はチーム一丸となってすべてを出し切りました。ペレスと一緒に表彰台に上がれて最高の気分です」とコメントしている。

なお、コンストラクターズポイントでも、ペレスが3位に入ったためレッドブル・ホンダは40ポイントを獲得。首位のメルセデスとの差を23ポイントに縮めた。

レッドブルレーシングにとって、今回が通算200回目の表彰台。ホンダにとっては1991年以来30年ぶりのアメリカGP制覇であり、奇しくも1965年のメキシコGPでホンダRA272がF1初勝利を挙げた10月24日という記念日での優勝となった。また「Acura」のロゴをまとっての勝利と合わせ、ホンダにとって記録と記憶に残るレースになった。

画像: レッドブル・ホンダの2台が1-3フィニッシュ。チームを代表してホンダの山本雅史F1マネージングディクターが表彰台にあがった。

レッドブル・ホンダの2台が1-3フィニッシュ。チームを代表してホンダの山本雅史F1マネージングディクターが表彰台にあがった。

タイヤを供給するピレリは「気温が高く、攻撃的な路面はタイヤの摩耗が激しく、カルロス・サインツと角田裕毅を除いて、すべてのドライバーがミディアムタイヤでレースを開始し、メインのレースタイヤとしてハードを使いました。予想通り、3ストップは2人だけで、ほかはすべて2ストップ戦略でした。チャンピオン争いを繰り広げるマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンは、レース前にまったく同じタイヤ割り当てを残していましたが、使用方法が少し異なり、フェルスタッペンが積極的な早めのタイヤ交換でポジションを挽回する一方、ハミルトンは最後にフレッシュなタイヤを残す戦略をとりました 。 その結果、素晴らしい戦略的バトルが行われ、スリル満点のフィナーレとなりました。ともにタイヤを完璧に管理し、見応えのあるレースになりました」と分析している。

画像: アメリカGPのタイヤ戦略。フェルスタッペンは29周目にハードタイヤに交換。ここから27周、ほぼレース半分の距離をタイヤをマネージメントしながら走り切った。

アメリカGPのタイヤ戦略。フェルスタッペンは29周目にハードタイヤに交換。ここから27周、ほぼレース半分の距離をタイヤをマネージメントしながら走り切った。

次戦は2週間後、日本時間の11月8日(月)AM4時に決勝が予定されているメキシコGP。ホンダ有利と言われているGPで、ペレスの母国GPでもある。

2021年F1第17戦アメリカGP決勝 結果

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)56周
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+1.333s
3位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+42.223s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +52.246s
5位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)+76.854s
6位 77 V.ボッタス(メルセデス)+80.128s
7位 55 C.サインツ(フェラーリ)+83.545s
8位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+84.395s
9位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+1周
10位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)+1周
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リタイア 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

2021年F1ドライバーズランキング(第17戦終了時)

1位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)287.5
2位 L.ハミルトン(メルセデス)275.5
3位 V.ボッタス(メルセデス)185
4位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)150
5位 L.ノリス(マクラーレン・メル セデス)149
6位 C.ルクレール(フェラーリ)128
7位 C.サインツ(フェラーリ)122.5
8位 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)105
9位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)74
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14位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)20

2021年コンストラクターズランキング(第17戦終了時)

1位 メルセデス 460.5
2位 レッドブル・ホンダ 437.5
3位 マクラーレン・メルセデス 254
4位 フェラーリ 250.5
5位 アルピーヌ・ルノー 104
6位 アルファタウリ・ホンダ 94

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