Black ─── ポスト・オピュレンスのダークサイドを象徴する漆黒の闇
ゴースト ブラック・バッジのダークサイドに惹かれた顧客のほとんどが、その深淵を象徴するかのような艶やかな「漆黒」のボディカラーを選ぶという。その背景にあるのが、ロールス・ロイスのデザイナーが名付けた「ポスト・オピュレンス」という美しさの概念だ。
それが特徴とするのはリダクション(削減・縮小)とサブスタンス(実質)・・・と言われても、すんなり理解するのは難しい。あえて意訳するなら「こだわりの素材を用いながらも華美ではなく、控えめでありながら知性を感じさせる」といったイメージだろうか。
実際には4万4000色ものカラーが選べるにも関わらず「ブラック」を名乗る理由は、それがもっとも、ロールス・ロイスというブランドに共鳴するユーザーたちが持つ新しい基準とその願望を、もっとも端的に反映しているからだという。
彼らの新しい基準とは、ダークな美学、主張するキャラクター、大胆なデザイン。その要望に応えるべく生まれた純粋無垢なブラックは、大きく分けてふたつの工程から生まれる。
1台あたり45kgもの塗料を霧状にしてホワイト・ボディに電着塗装したのち、オーブン内で乾燥
→2層のクリア・コートを施し、4名の職人たちによって手作業で磨き上げる。
しかしある意味、ロールス・ロイスにとってこの作業は、まだ前処理の段階と言えるかもしれない。実はその先に重要な工程が待っている。
「この深みのあるブラックは、お客さまの希望でハイ・コントラストな手塗りのコーチラインを描くための完璧なキャンバスとなります」
───ブラック・バッジ・ゴーストのプレスリリースより引用
Turchese ─── ブラック・バッジの鮮やかさを特徴づけるハイコントラスト
黒地に鮮烈な印象を刻むハイコントラストなコーチラインもまた、ブラック・バッジ・ゴーストの際立つ非凡性を物語る。英語で言うところの「ターコイズ」ブルー・・・正式にはイタリア語で「Turchese(トゥルケーゼ)」と呼ばれるカラーなのだそうだ。
華やかさとともに独特の深みを感じさせるこのブルーは、ブレーキキャリパーやインテリアのアクセントにも配されている。
ちなみにこのコーチラインはどのように描かれているのだろうか。もはやクルマの生産工程の一部とはとても思えないその作業風景は「The Prince and the Coachiline Painter」と題された記録映像に残されていた。
ゴースト ブラック・バッジでは、スピリット・オブ・エクスタシーやパンテオングリルまで、特殊なメッキ工程を使ってブラックに仕上げられている。この表面仕上げの最終的な厚みは、髪の毛の100分の1の太さに相当する1マイクロメートルだという。
BLACK BADGE GHOST ─── 最高にピュアでもっとも進化したゴースト
ブラック・バッジは単に、見た目で個性を主張しているだけではない。新型ファントムに始まったオールアルミ製スペースフレーム構造は、高いボディ剛性と柔軟性、拡張性を備える。それが4輪駆動システムや「ブラナー・サスペンション・システム」の採用を可能にした。容量を増したエアサスペンションは、快適な乗り心地とコーナリング時の安定した姿勢を、みごとに両立している。
伝統の6.75L V12ツインターボは、通常のゴーストよりも29psハイスペックな最高出力600psを実現、トルクも50Nm上乗せされた900Nmに達している。組み合わされるZF製8速AT、前後輪操舵システムなどの協調制御にも、手が加えられているようだ。
新型ブラック・バッジ・ゴーストは、11月17日(水)より国内における受注を開始し、納車は2022年の第1四半期から始まる予定だという。
■ロールス・ロイス ブラック・バッジ・ゴースト 主要諸元
・全⻑×全幅×全高:5545×2000×1570mm
・ホイールベース:3295mm
・トランク容量:500L
・乗車定員:4/5名
・⾞両重量(DIN) :2540kg(5⼈乗り)
・エンジン種類・排気量:V型12気筒・6.75L
・最⾼出⼒:441kW(600ps)/5250rpm
・最⼤トルク:900Nm/1700-4000rpm
・トランスミッション 8速AT
・駆動方式:4WD
・最⾼速度:250km/h(リミッター)
・0→100km/h加速:4.7秒
・車両価格:4349万円(税込)~