「明日からトラックリミットを厳しく審議します」って、いったい?
このところ、よく耳にする「トラックリミット」という言葉。これは、コース外走行を厳しく制限するルールのことで、コース外を走行することでアドバンテージを得たり、ポジションを得たりした場合、予選の場合はタイム抹消、決勝レースではタイム加算あるいは順位を戻すなどのペナルティが科せられる。
当たり前のことだけど、できるだけ速く走りたいドライバーはトラックぎりぎりを走るため、その一線を超えがち。ところが、突然レースコントロールが「明日からトラックリミットを厳しく審査します」と言い出したから大変。
トラックリミットは「白線を4輪が越えた場合」というのが原則だけど、あるコーナーは少しくらいOKだったり、コースをはみ出たか否かの判定がコーナーごとに異なったりするなど、一貫性に欠けることから混乱することもある。
ちなみにゼブラゾーン(縁石)は、白線の外側に配置されているため走路として認められていない。つまり、タイトル写真のように4輪がゼブラゾーンに乗っている場合、ペナルティを科される可能性が高いのだ。
DRS
DRS(Drag Reduction System=空気抵抗低減システム)は走行中にリアウイングの角度を意図的に変更することで空気抵抗を減らすアクティブ・エアロデバイスのこと。「追いつくことはできても、現在のF1マシンではオーバーテイクは難しい」という批判を受けて登場したシステムだ。DRS検知地点において先行マシンとのタイム差が1秒以内だった場合にのみ、規定区間内で使用できる。
その作動コントロールはF1とFOM(F1を運営するFormula One Management)が厳格に行うのだが、ときにトラブルも発生する。また、今年2021年のブラジルGPの予選では、ハミルトンがDRS違反(規定以上に開いていた)により降格ペナルティを受けた。
なお、予選では前車とのタイム差に関係なく、規定区間内で使用することができる。
パルクフェルメ
フランス語で「Parc ferme=車両保管場所」という意味。マシンに対する不正防止のため一時的に保管されることで、このエリアに入ったら一切の作業どころか、触れることさえ許されない。ところが、今年2021年ブラジルGPの予選終了後、パルクフェルメでハミルトンのマシンに触れてしまったことで、フェルスタッペンが5万ユーロ(約650万円!)の罰金ペナルティを受けている。手痛い・・・どころではない出費である。
バーチャルセーフティカー
Virtual Safety Car(VSC)。コース上に何らかの危険があるが、セーフティカーを出動させるほどの危険度はない、危険解消にそれほど時間がかからない、と判断された場合に発動される。ドライバーはセーフティカーが導入されたと想定して、決められた速度域内で安全にコースを走行しなければならない。セーフティカー発動時のように周回遅れの順位入れ替えは行わない。ダブルイエローフラッグとの違いは、一部区間の減速ではなく全区間での即時減速ということ。
チームメイトが有利になるように、故意に速度を極端に落として後続を抑えるというドライビングも見られて問題になることもある。
スチュワード
「Steward」、レース審査員のこと。インシデント(出来事)の調査を行い、ペナルティの有無や裁定を判断し、レースを正しくコントロールするレフリーというべき存在。ただ、ペナルティがレース結果に与える影響は大きく、ペナルティの判断、多寡が物議を醸し、かえってレースを複雑にすることもある。
今年2021年イギリスGPでは、スタート直後の接触アクシデントの原因を作ったとしてペナルティを受けたハミルトンがその後挽回して優勝、被害者のフェルスタッペンがリタイアに追い込まれるという事件も起きた。また最終戦アブダビでは、セーフティカー明けの再スタートの手順が優勝争いに大きな影響を与えるということも起きた。