2022年1月27日、西湘バイパスは全線開通から50周年を迎える。首都圏在住の人以外は、あまり走ったことがない道路かもしれないが、この50年で経済波及効果は約3兆2000億円に達するという。

開通以来、累計で約6億7000万台の車両が利用

画像: 1967年、西湘バイパス 酒匂IC~国府津仮出入口開通時の風景(画像出典:小田原市HP)。

1967年、西湘バイパス 酒匂IC~国府津仮出入口開通時の風景(画像出典:小田原市HP)。

西湘バイパスは、一般国道1号のバイパス道路として運用されている。神奈川県大磯町東町から小田原市風祭まで、総延長は20.8km。そのうち大磯東インターチェンジ(IC)から西湘二宮ICまでの約6.3kmは無料区間で、西湘二宮ICから箱根口IC(または石橋IC)までの約14.5kmは有料区間(普通車は270円)となる。

1964年に建設省(現・国土交通省)により着工され、1966年に大磯東IC〜大磯西ICが開通したのを皮切りに開通区間が少しずつ延長され、1972年に全線が開通した。最近では年間およそ1500万台の車両が利用し、累計利用台数は50年間で約6億7000万台に達する(いずれも有料区間)。

画像: 1965年、酒匂(さかわ)川の架橋工事風景(画像出典:小田原市HP)。

1965年、酒匂(さかわ)川の架橋工事風景(画像出典:小田原市HP)。

西湘バイパスの開通による効果は、さまざまなものがある。

まず、国道1号のバイパス道路としての役割だ。大磯町〜箱根町への所要時間は国道1号を利用すると約61分かかるところを、西湘バイパスを利用すれば約19分と、およそ7割も短縮できる。円滑で快適な東西移動に寄与しており、しかも通勤・通学や買い物・通院など日常的に利用されており、地域の生活に根ざした道路となっている。

画像: 西湘バイパスと国道1号との位置関係。

西湘バイパスと国道1号との位置関係。

もちろん、観光道路としての効果も高い。東名高速道路や小田原厚木道路など、周辺の高規格道路との接続でネットワークが充実し、首都圏から箱根・伊豆方面への温泉地へのアクセスは向上した。また、西湘バイパスの沿線には、海水浴場や公園、漁港など観光施設が多い。直近15年間では観光客数が約200万人も増加するなど、地域観光振興にも貢献している。

そのほか、沿線の地域産業である「かまぼこ」「ひもの」といった水産加工品の生産地と消費地の橋渡しに貢献したり、周辺の開発が進むことで人口も50年で1.2倍に増加するなど、地域振興を後押ししてきた。

こうした西湘バイパスの経済波及効果は、1972年の全線開通から50年間で、約3.2兆円(神奈川県:2.0兆円、静岡県:0.6兆円、そのほか関東北信越:0.6兆円)に達するという。

安全・安心な移動を支えるために、さまざまな取り組みも

そんな西湘バイパスだが、海岸沿いに整備されているため、越波や高波の影響を受けやすく、近年では2009年9月の台風9号や2019年10月の台風19号で、路面の陥没や西湘パーキングエリア(PA)の損壊など、大規模な被災が発生している。

そのため現在、西湘PA(下り)は被害を軽減するための工事が行われている。さらにAIを用いた越波リモート監視システムなどの実証実験も開始し、安全・安心な高速道路の提供を目指している。

画像: 災害復旧工事完成後の西湘PA(下り)のイメージ。

災害復旧工事完成後の西湘PA(下り)のイメージ。

なお、NEXCO中日本では、西湘バイパスの歴史や整備効果、利用者のエピソードなどを紹介するパネル展を、大磯町や小田原市などで開催する。また、新たなイベントも検討中とのことなので、詳細はNEXCO中日本のホームページを参照されたい。(写真と資料:NEXCO中日本)

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