個性的なデザインで人気を集めるシトロエンC3エアクロスSUVがマイナーチェンジ。内外装のインパクトに磨きをかけて、さらに魅力的なクルマになった。(Motor Magazine 2022年3月号より)

見た目だけでなく、突き詰められた利便性の高さ

最近、シトロエンが元気だ。中でも売れ筋のC3エアクロスSUVが、このほどアップデートされて持ち前の個性がより増強され、中身もさらに充実した。

画像: スイッチの位置や操作感を向上させたインテリア。 7インチタッチスクリーンは直感的な操作が可能。

スイッチの位置や操作感を向上させたインテリア。 7インチタッチスクリーンは直感的な操作が可能。

よくぞ、こういうデザインが思いつくものだと感心せずにいられないほど凝った内外装は、目にするひとつひとつの部位に存在感がある。巧みにコーディネートされたシートとダッシュボードの素材感なども、とくに高級なものを用いているわけではないが、よい雰囲気を醸し出している。

厚みを増したシートの着座感は上々で、長時間の運転でも疲れ知らず。コンソールまわりは見た目にも面白く、より使いやすくなった。広大なガラスルーフは固定式ではなく、前半分を開けることもできる。

外見から想像するよりも後席の居住性はまずまずで、リクライニングだけでなくスライドができるのも重宝しそう。荷室も外見からイメージするよりもかなり広い。

一見すると奇抜なクルマに感じるが、実はデザインだけでなく利便性も突き詰められていて、クルマとして実に真摯に作り込まれていることも看て取れる。

しなやかで落ち着きのあるフラットライド感が心地よい

130psを発生する1.2L直列3気筒ターボエンジンの動力性能は必要十分。ATは8速ではないが、6速でも不満はない。

画像: ウインドウ部のブラックとホワイトのルーフによって、ボディの高さを感じさせない躍動感を演出する。

ウインドウ部のブラックとホワイトのルーフによって、ボディの高さを感じさせない躍動感を演出する。

足まわりの変更は伝えられていないが、走ってみると路面のザラザラを拾いにくくなったように感じる。たっぷりとストローク感があり、ふわっとした中にも適度にダンピングを効かせた独特の走り味は、このクルマに乗る大きな醍醐味のひとつ。よく動きながらも無駄な動きは即座に収束させるフラットライド感が心地よい。

同門の208やDS3には新世代のCMPを採用するのに対し、こちらはPF1と呼ぶ旧来のプラットフォームの改良版であり、それゆえ最新のADASには対応できなかったり、走りでは操舵フィールの正確性もだいぶ違ったりするわけだが、シトロエンにはこちらのほうが似合うように思える。

ますます人気の高まるコンパクトSUVの中でも、ひときわ異彩を放つ1台だ。(文:岡本幸一郎/写真:村西一海)

シトロエン C3 エアクロス SUV シャインパッケージ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4160×1765×1630mm
●ホイールベース:2605mm
●車両重量:1320kg
●エンジン:直3DOHCターボ
●総排気量:1199cc
●最高出力:96kW(130ps)/5500rpm
●最大トルク:230Nm/1750m
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・45L
●WLTCモード燃費:16.7km/L
●タイヤサイズ:215/50R17
●車両価格(税込):328万6000円

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