抜群の安定感を誇ったマクラフランが初優勝
快晴で強い日差しが差し込む開幕戦の地セントピーターズバーグには、大勢の観客が集結し盛り上がりを見せた。気温26度、路面温度50度近いコンディションの中、決勝レースは100周で行われた。
ポールポジションはこのコースで過去9度ポールポジションを獲得しているウィル・パワーのタイムを上回ったスコット・マクラフラン。フル参戦2年目にして初のポールポジションを獲得した。2位にパワー、3位には前年ここでポールトゥウィンを果たしたコルトン・ハータが入った。
上位勢のほとんどがソフトコンパウンドであるレッドタイヤを装着する中、予選2番手のパワーがハードコンパウンドであるブラックタイヤを選択した。スタートはマクラフランが1コーナーをトップで通過、ブラックタイヤのパワーはハータと予選4位のリナス・ヴィーケイにパスされ4番手に後退。レッドタイヤ勢がアグレッシブに仕掛けていくも、波乱のないスタートとなった。
8周目、レッドタイヤを装着していたジャック・ハービーが早くもピットインし、ブラックタイヤに交換。これを皮切りにレッドタイヤ勢が続々とブラックタイヤに交換する。2022年のレッドタイヤは2021年に比べ柔らかいコンパウンドを採用している。これにより瞬発的なグリップ力は上がったが、その分タイヤの寿命が短くなっていたのだ。
ここセントピーターズバーグの高い路面温度に加え、コンパウンドの変更もあり、レッドタイヤ勢にとっては厳しい状況だったと言える。一方、ブラックタイヤでスタートしたパワーがヴィーケイをパスし3位浮上。続けてハータもパスして2位に上がる。
しかし、トップを走るマクラフランはピットに入らずレッドタイヤのまま走行。ペースもよく、後続との距離を拡げていく。そんな中、25周目にデヴィッド・マルーカスがターン3でクラッシュし、フルコースコーションに。各車一斉にピットインを行い、順位がシャッフルされ、トップはステイアウトした3台、1位のアレクサンダー・ロッシと2位のスコット・ディクソン、3位のパトリシオ・オワードで、実質トップのマクラフランは13番手となる。
33周目にレースがリスタート。各車ライバルたちと異なる戦略を取ったことにより、レース終盤まで順位がシャッフルされた状態だったが、全車最後のピットストップを終えた段階でもマクラフランはトップの座をキープしていた。そんなマクラフランに2位のアレックス・パロウが近づきレースは最終章へ。マクラフランより1周後にピットインしたパロウが燃費的に有利で、残り5周を切ったタイミングで差を1秒以内に詰めてきた。しかし、マクラフランは最後までトップを守り、インディカー初優勝を見事にポールトゥウインで飾った。2位にパロウ、3位にパワーが入った。
2021年は序盤で苦労したチームペンスキーとシボレーだが、2022年は初戦から強さを見せつけた。開幕戦の結果を見ると、ホンダとシボレーの力の差はかなり拮抗しているように見える。今シーズンも最後の最後までわからない展開が続きそうだ。
新チームでの初戦で12ポジションアップを果たした琢磨
デイルコインレーシングに移籍し、開幕戦に挑んだ佐藤琢磨はいきなり出鼻をくじかれることになった。予選日の午前中に行われたプラクティス走行2回目で、後ろからロマン・グロージャンに追突されてしまう。
このアクシデントで走行時間が奪われ、満足に練習走行をすることなく予選に挑むこととなってしまった。そんな中、予選でいいラップを刻んでいたが、前のマシンに行く手を塞がれる形となってしまい、結果22番手で予選を終えることになった。
決勝で追い上げなければいけない琢磨は、スタートでブラックタイヤを選択し、結果順位を大幅にあげることに成功。終盤10位走行中にマーカス・エリクソンにパスされるも、残り2周でクリスチャン・ルンガーをオーバーテイクし10位入賞、12台抜きを達成した。
このレースでインディカー参戦200戦目となった琢磨。新しい環境の中、アクシデントにも巻き込まれたが、持ち味の適応能力と高いコミュニケーション能力でチームと一体化し、見事な追い上げを見せてくれた。次戦ではさらなる好成績が期待できるはずだ。
2022インディカーシリーズ開幕戦 セントピーターズバーグ 結果
1位 3 S.マクラフラン(チーム・ペンスキー)01:51:27.3466
2位 10 A.パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)01:51:27.8561
3位 12 W.パワー(チーム・ペンスキー)01:51:29.8137
4位 26 C.ハータ(アンドレッティ・オートスポート)01:51:43.1908
5位 28 R.グロージャン(アンドレッティ・オートスポート)01:51:45.7991
6位 21 R.ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)01:51:47.9980
7位 15 G.レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)01:51:48.7647
8位 9 S.ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)01:51:49.3743
9位 8 M.エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)01:51:49.7140
10位 51 佐藤琢磨(デイル・コイン・ウィズ・RWR)01:51:50.6209