ミニの国際ラリー初優勝は女性ドライバーによってもたらされた
パット・モス氏のことをご存知だろうか。パット・モス氏は女性ラリーストの先駆的存在で、1960年代に国際ラリーで大活躍したドライバー。本名 Patiricia Ann Moss、F1の歴史的名ドライバーのスターリング・モス氏の妹であることでもよく知られている。
パット・モス氏は1962年5月、クラシックミニクーパーを駆り、国際ラリー「チューリップラリー」で優勝。英国の女性ドライバーが、男性によって支配されてきた領域で革新的な第一歩を示したのは60年も前のことだった。そしてこれがクラシックミニの国際ラリー初優勝でもあった。
また、コドライバーを務めたアン・ウイズダム氏は「世界初のプロ女性コドライバー」と言われており、このチューリップラリー制覇はふたりの女性によって成し遂げられたものだった。
その後、モス氏はイタリアで開催されたセストリエーレラリーで優勝するなど、国際大会でたびたび表彰台を獲得し、ヨーロッパのレディースラリーチャンピオンを5回獲得。ふたりは7年の間、ラリー界で大きな成功を収めることになる。
またミニは、1962年のチューリップラリー優勝の後、1964年、1965年、1967年にモンテカルロラリーを制覇。ミニもまたチューリップラリー制覇をきっかけにして、モータースポーツの世界で並外れた才能を示していく。
今回発表された「MINI 3ドア/5ドア パット・モス エディション」は、モス氏の1962年チューリップラリー優勝を讃えるべくモディファイされたモデルで、MINI 3ドア/5ドアのクーパーSまたはジョンクーパーワークスをベースとなる。
水平に配された印象的なホワイトボンネットストライプには優勝したミニクーパーの登録番号「737ABL」の文字が立体的に描かれ、フロントエプロンにはラリー優勝後にモス氏がボンネットに書いたサインが飾られる。
また、フロントサイドパネルやサイドシルには、1962年チューリップラリーのルート「Noordwijk - Monte Carlo - Noordwijk」、走行距離「2500km」、車両名「MINI COOPER」、ゼッケン「104」、MINIのスローガン「born to compete」を示す文字が描かれ、その歴史を今に伝える。
ちなみに、ラリーはオランダのノルドワイク市をスタート、モンテカルロを経由して、再びノルドワイク市に戻る2500kmに及ぶルートで行われた。
ボディカラーはペッパーホワイトとミッドナイトブラックメタリックの2色が用意され、チリレッドからメルティングシルバー、ジェットブラックへと続くグラデーションが美しいマルチトーンルーフに、レッドのドアミラーが組み合わされている。
さらにインテリアでも、モス氏のサインやチューリップのグラフィック、ふたりのイニシャルをかたどったモチーフをあちこちに見つけることができる。
「MINI 3ドア/5ドア パット・モス エディション」はイギリス・オックスフォード工場で生産され、2022年5月から世界市場で販売が開始される予定だが、日本販売台数、価格など、詳細はまだアナウンスされていない。