日本発のグローバルEVベンチャー「TERRA MOTORS(テラモーターズ)」が、分譲マンションなどに向けた画期的な充電サービス展開をスタートした。電気自動車の普及にとって最大のネックと言われた「集合住宅」へのインフラ拡大が、一気に進むかもしれない。

マンション管理組合への説明も含めて「ソリューション」化

「テラモーターズ」は、インドで電動3輪車のトップシェアを獲得するなど、環境負荷が少ない電動モビリティのプラットフォームづくりを世界中で展開している。2022年4月からは新たに、EV充電事業への参入を発表。新サービスとして「Terra Charge(テラチャージ)」をスタートさせることになった。

画像: コンパクトにまとめられた充電器本体。上部に、アプリと連動するQRコードがついている。

コンパクトにまとめられた充電器本体。上部に、アプリと連動するQRコードがついている。

テラチャージが行うのは、EVの充電設備の取り付け、メンテナンスだけではない。充電時間の設定や料金決済を行う専用アプリ、管理クラウドなど、ハードとソフト両面の運用についても一貫して担ってくれる。

さらにこのソリューションの最大の特徴と言えるのが、マンションをはじめとする設置が難しいとされてきた集合住宅向けにもハードルを下げることができそうな、サービスの提供を盛り込んでいることだろう。たとえば充電インフラの設置に必要な、マンション管理組合などへの説明まで含まれる。

マンション自体の資産価値を高める可能性も

理事会、管理組合、住民総会、特別決議などなど分譲マンションならでは合意形成に至るプロセスは非常に煩雑だし、運用時にもどうやって受益とコスト負担を厳密化するのか、といった課題がある。もちろん設置費用が高額になることも大問題だ。

テラチャージはそうした課題をソリューション化することで、既設のマンションでは充電器やその設置費用を無料化。充電器を利用した住民からの利用料の徴収もスマートフォンなどを介した専用アプリを使うことで、わかりやすく実施できる。

画像: スマートフォンの専用アプリを介して、充電施設の空き状況などを簡単に管理できるのは、導入のハードルを一気に下げてくれるはず。ちなみに1時間あたりの充電利用料は、150~200円を想定しているとのことだ。

スマートフォンの専用アプリを介して、充電施設の空き状況などを簡単に管理できるのは、導入のハードルを一気に下げてくれるはず。ちなみに1時間あたりの充電利用料は、150~200円を想定しているとのことだ。

おりしも2022年3月には経済産業省が、マンションでの充電器設置に欠かせない高圧受電設備導入に対して、補助金を支給する方針を固めている。出力によって最大400万円まで補助されるというから、かなりの大盤振る舞いだと言えそうだ。

画像: 自宅で駐車している間に、コンセントを指しておけば充電できてしまうのが電気自動車の最大の魅力。その恩恵を、マンションなどでも受けることができる。詳細はこちら。https://terramotors.co.jp/terra-charge/

自宅で駐車している間に、コンセントを指しておけば充電できてしまうのが電気自動車の最大の魅力。その恩恵を、マンションなどでも受けることができる。詳細はこちら。https://terramotors.co.jp/terra-charge/


マンション向けのEV充電サービスは、環境負荷低減につながるEVの普及拡大に寄与するだけでなく、マンション自体の資産価値も高めてくれる可能性がある。最近では、マンション駐車場にはじめから充電コンセントを設置する新築マンションも見られるようになった。

テラモーターズでは今後、宿泊施設やオフィスビルなどへのテラチャージの展開も検討している、とのこと。興味はあるけど充電インフラがない、という「環境問題」でBEVの購入をあきらめていた人にとっては、まさに朗報と言えそうだ。

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