月額定額でサービスを利用するサブスクリプション(サブスク)。映画や音楽、そして書籍など、何かしらのサービスを使っている方がほとんどかと思います。
そして、その波は自動車業界にも押し寄せています。「クルマのサブスク」と謳い、月々定額でクルマを利用できるサービスに、次々と大手も参入し始めています。
ところで、月々定額でクルマを利用するサービスとしては「カーリース」が昔からあります。では、両者に違いはあるのでしょうか?
この記事では「カーリースとサブスクは同じもの?それとも違うもの?」という疑問に答えつつ、サービスの概要や注意点についてもお伝えします。
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カーリースとサブスクは違うものなのか?
まずは「カーリース」とサブスクは違うものなのか?という点から整理してみましょう。
結論、カーリースもサブスクも基本的には同じ内容のサービスです。「月額費用を支払い、クルマを使う」という点については何ら変わりはありません。
では、どうして「クルマのサブスク」のような呼び方が生まれたのかというと、これは普及戦略によるものだと考えられます。
「リース」と聞くと、どちらかというと法人向けサービスを連想する方もいるでしょう。事実、一昔前まではカーリースといえば、法人向けサービスであったかと思います。
ここで注目すべきが、現在各社力を入れ始めているのが「個人向け」のカーリースであるという点です。これまでリースと無縁だった個人の方々にも興味を持ってもらえるよう、今ではすっかり馴染みのある「サブスク」という言葉で、マーケティング活動を行っているものと考えられます。
ですので、基本的には「クルマのサブスク=カーリース」と捉えていただいて問題ありません。
クルマのサブスクの注意点3つ
上記のように、クルマのサブスクとは実態的にはカーリースです。なので、一般的に我々が認知している「サブスク」とは異なる面もあるため、サービス内容を十分理解しておく必要があります。
ここからは、クルマのサブスクの注意点についてお伝えします。
- いつでも解約できるわけではない
- 支払い総額を考えると購入の方が合理的
- クルマの価値を保つ必要がある
1.いつでも解約できるわけではない
最初に声を大にしてお伝えしたいのが、クルマのサブスクことカーリースは、いつでも解約できるわけではないということです。むしろ、契約満期までは原則中途解約不可というのが、カーリースの基本的なルールです。
これは、カーリースのそもそものサービスの仕組みに関係しており、カーリースは契約者の代わりにクルマを購入し、貸し出すという仕組みを取っています。つまり、車両本体代金が回収できなければ赤字になる仕組みということです(厳密には違いますが、わかりやすく例えています)。
よって「クルマのサブスク=いつでもやめられるサービス」ではないということは十分肝に銘じていただければと思います。
2.支払い総額を考えると購入の方が合理的
サブスクである以上、毎月決まった出費となります。よって、支払い総額を購入と比べると、どうしても購入の方が合理的になりがちです。特に一括でクルマを購入する場合は、ほとんどの場合において購入の方が安く収まるでしょう。
問題はローン購入と比べた場合ですが、この場合は金利によります。これはシミュレーションしないとなんとも言えないところですが、ローンで買ったクルマを乗り潰した場合は、確実に購入の方が支払い総額は安くなるはずです。
反面、クルマのサブスクは初期費用0円でクルマに乗り出せることも可能なサービスですから、一長一短です。ただし、支払い総額の観点で考えると、クルマのサブスクは不利な面を持っていることは覚えておきましょう。
3.クルマの価値を保つ必要がある
カーリースは、あくまでクルマの貸し出しであり、返却が前提です。よって、返却時にクルマの状態を大きく損ねてはいけません。
具体的には、カーリースは最初に「残価」というものを設定し、「これより価値を下回らせてはいけませんよ」という約束をします。例えば、30%の残価を設定したとすると、100万円のクルマであれば30万円の価値は残しておく必要があるということです。
クルマの価値は様々なことで決まります。破損があればもちろんマイナスですし、過走行もマイナスです。また、良かれと思って行うカスタムやチューニングも、業界ではマイナスになることがほとんどです(万人受けするとは限らないためです)。
よって、利用期間中は大きく「走行距離制限」と「カスタム制限」がかかります。そして、返却時に破損等がある場合は原状回復義務として修理費用などを請求されることになることがほとんどです。
この辺はご自身でクルマを持つことと大きく異なる点なので、十分に理解しておく必要があるでしょう。
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クルマのサブスクのメリット5つ
先に注意点からお話ししてしまったので、気分を削がれた方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっと待ってください。クルマのサブスク自体は、使い方によってはとても便利なサービスです。
ここからは、月々定額で使えるサブスクサービスだからこそのメリットをお伝えします。
- 初期費用0円でクルマに乗り出せる
- 車検や税金、メンテナンス費用がコミコミ
- 期間中の手続き関連は全てサポートに丸投げできる
- 「わ」ナンバーでない
- 経費計上できる
1.初期費用0円でクルマに乗り出せる
カーリースことクルマのサブスクの最大のメリットの一つが、初期費用0円でクルマに乗り出せることです。
クルマを購入する際は、車両本体代金がかかることは当然わかると思いますが、それ以外にも「登録諸費用」がかかります。具体的には、自賠責保険料、重量税、販売手数料などで構成されており、軽自動車クラスの購入でも、10万円前後かかるのが一般的です。
つまり、たとえフルローンでクルマを買ったとしても、約10万円以上の手出しは必要になるということです。
一方、カーリースはこれらの費用は全て月額料金に含まれているので、初期費用を完全に0円にすることも可能です(注:頭金の有無は各社により異なります)。
よって、まだ十分に購入資金が貯まっていない方や、貯蓄を切り崩したく無い人に、たいへん人気のあるサービスです。
2.車検や税金、メンテナンス費用がコミコミ
「サブスク」と謳う以上、月々定額であることはユーザーも期待するところでしょう。
ところで、クルマを維持する上では様々な出費が必要です。例えば、定期的にやってくる車検や税金の支払い、そしてオイル交換や消耗品交換など、最低限必要なメンテナンスにもお金をかけなければいけません。
これらの支払いが発生する月は、いつも以上に出費が多くなり、特に税金や車検は数万円単位の出費となるので、大きな負担に感じる方がほとんどかと思います。
ところが、多くの個人向けカーリースはこれらを月額費用に含めているので、「車検があるから」「税金を支払う月だから」「オイル交換をするから」などというタイミングでも、別途支払いが発生しません。その月も、支払いは定額です。
このように、月々定額でクルマを持て、支出の見通しが非常に立てやすいのがカーリースの魅力です。
3.期間中の手続き関連は全てサポートに丸投げできる
先の車検や税金の支払いとも関連しますが、これらの支払いは通常自分で行う必要がありますが、これらの支払い手続きも全てサポートが行なってくれます。
また、任意保険をリース会社が用意している保険にしている場合は、更新手続き等もリース会社が全て行なってくれるのが一般的です。
要するに、期間中発生する面倒な手続きも、全てリース会社に任せられるということです。
さらに、車検や点検時期が近づくと、リース会社からお知らせが来る形になっているので、基本的にはリース会社の指示に従っていれば問題なくクルマを維持できる仕組みになっています。
4.「わ」ナンバーでない
気にする人は気にする「わ」ナンバーですが、一般的にカーリースで手配するクルマは「わ」ナンバーではありません。ですから、周囲に借りているクルマであるということは、見た目では判断がつかないということです。
5.経費計上できる
また、クルマのサブスクサービスは経費計上も可能です。例えば、個人で運送業を始めようと思い、カーリースを検討し始めた人などには耳寄りな情報でしょう。
購入の場合は耐用年数に応じて減価償却で経費計上する形になりますが、リースの場合は契約期間中ずっと経費計上が可能です。
また、先にお伝えしているように、初期費用0円でクルマに乗り出せること、面倒な手続きは全てサポートに任せられること、そして一般的な消耗品交換は月額費用に含まれていることなどを考えると、個人事業主にとっては心強いサービス内容になっているかと思います。
クルマのサブスクに向いている人
最後に、クルマのサブスクが向いている人について紹介します。
1.貯蓄を切り崩したく無い人
本記事内で何度かお伝えしている通り、クルマのサブスクは初期費用0円でクルマに乗り出せるサービスです。
よって「どうしてもクルマが必要なのだけれど、貯蓄を切り崩したくない」という場合は有力な選択肢になるかと思います。
2.法人や個人事業主の方
クルマのサブスクは経費計上できる上、毎月定額かつ、面倒な手続きは全てサポート任せにできます。要するに、クルマの維持に関して注意力を割かれることはほとんどないということです。
本業に集中できるサービスであるが故、法人や個人事業主にはとても相性が良いサービスかと思われます。
3.短期でクルマを乗り換えたい人
最後に、よく言われるのが「短期でクルマを乗り換えたい人」です。
これは、乗り換え時の手続きが非常に楽ということに着目した意見です。自分のクルマの場合、購入商談を行い、下取りにするか売却にするか検討し、そして売却なら査定をとって・・・といった、ある程度の手間を覚悟しておく必要があります。
一方で、クルマのサブスクであれば返却して次のクルマを選ぶだけですので、乗り換えが非常に楽です。
ただし、カーリースの短期契約は月額費用が高くなりがちな上、購入と違って売却資金を購入資金に充てるということはできません。
個人的には一長一短があると思いますので、よく考えて契約することをおすすめします。
クルマのサブスクとリースの違いでよくある質問
Q.クルマを購入するのとサブスクやリースを利用するのとではどちらが得ですか。
A.クルマを長く乗り続けるのであれば購入したほうが得になることが殆どです。3年から5年という短期間であれば、クルマにかけるコストはサブスクやリースのほうが安いですが、長くなるほどサブスクやリースのほうがトータルの出費は高くなるでしょう。
Q.サブスクやリースは残クレやローンと何が違うのですか。
A.月々一定の金額を支払うので同じように感じますが、サブスクやリースは、クルマを使用するときに発生するメンテナンス費用なども月々の支払額に含まれています。しかし残クレやローンは、クルマの購入費のみを月々支払っているので、クルマを手に入れた後のメンテナンス費用は実費で支払います。
まとめ
サブスクもリースも基本的に同じで、月々定額料金を支払ってクルマを借りるサービスです。
ただし、一般的に普及しているサブスクサービスと違い、いつでも解約できるサービスでは無いことには十分注意が必要です。
とはいえ、初期費用0円でクルマに乗り出せること、車検や税金、メンテナンス費用がコミコミであることなど、魅力がたっぷりのサービスでもあります。
この先、新しいクルマの持ち方として、どんどん普及が進む予感です。気になる方は各カーリース会社の公式サイトなどを覗いてみると、より具体的なサービス内容がわかると思います。
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文・伊藤フミヒト / 小泉嘉史