2022年8月28日、三重県鈴鹿サーキットで2022 AUTOBACS SUPER GT Round5「FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE」決勝が行われ、4号車グッドスマイル初音ミクAMG(谷口信輝/片岡龍也)が今季優勝し前戦富士の雪辱を果たした。

ベテランコンビがみせた復活劇

決勝当日は気温28度、路面温度は39度というコンディションの中行われた。ポールポジションスタートの10号車がホールショットをとり、予選5番手の4号車は順位をあげてきた55号車ARTA NSX GT3に5位の座を奪われるも、オープニングラップの最終シケインでアウト側からオーバーテイクし5位のポジションを奪い返す。4号車の前にはポイントランキングトップの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rが行く手を阻む。サクセスウエイトが12kmの4号車に対して56号車は100kmも加算されているが、56号車の藤波が巧みに片岡を抑え込んでいく。

画像: ポールポジションスタートの10号車がホールショットを決めトップで1コーナーへ。

ポールポジションスタートの10号車がホールショットを決めトップで1コーナーへ。

抑え込まれた4号車は16周目にピットインを敢行。上位勢の中では最も速いピットインとなり、アンダーカットを狙う。各車1回目のピットインを終えた時点で実質的に3位まで上がった4号車はトップの55号車と2位の2号車muta Racing GR86 GTとトップ争いを繰り広げ、32周目のヘアピンで4号車は2号車をパス。さらに、33周目のS字から逆バンクの侵入で55号車もかわしトップに浮上。4号車は早めに1回目のピットストップに行ったため、片岡は長いレースの後半を考慮し、セカンドスティントを引っ張る作戦に出た。

タイヤが厳しくなり予定より少し早めのピットストップになってしまった片岡だったが、ほぼルーティン通りの42周目に2回目のピットストップに入り、ドライバー交代と給油、タイヤ交換のフルサービスを行いコースに復帰する。

画像: ピットタイミングをずらしてきた10号車と、最後はコース上で決着をつける4号車。

ピットタイミングをずらしてきた10号車と、最後はコース上で決着をつける4号車。

谷口は2回のピットストップ義務を終えた中ではトップだが、55号車と接近戦を繰り広げながら周回。しかし45周目に244号車HACHI-ICHI GR Supraが130Rでクラッシュし、SC(セーフティカー)導入となった。50周目にレースが再開されると、終盤に向けてトップ争いは4号車を先頭に10号車と55号車によって展開される。しかし4号車の谷口は約2秒のマージンを保ちながらレースをリードしていく。

64周目のS字で55号車がマシンを止め、フル・コース・イエロー(FCY)が導入されるが、リスタート後も危なげなく走り切った4号車がトップチェッカーを受け見事優勝。2017年の開幕戦以来、5年半ぶりの優勝となった。

画像: タイヤだけでなく、すべてをマネジメントしたベテランの腕が光った優勝だった。

タイヤだけでなく、すべてをマネジメントしたベテランの腕が光った優勝だった。

2位に10号車TANAX GAINER GT-R、3位には30号車apr GR86 GTが入り、GR86にとって初のポディウム獲得となった。

第4戦富士の悪夢を乗り越えた優勝

第4戦富士では優勝が見えていた中、タイヤトラブルにより勝てるレースを落としてしまった4号車。しかしこれまで優勝できていなかった鈴鹿で公式練習の段階から良いペースを掴み、予選は5番手を獲得。決勝レースでもパフォーマンスが安定していた4号車だったが、実は各スティントの終盤にはタイヤに振動があり、不安を抱えながらのレースだったという。

画像: レース後の谷口(左)と片岡(中央)の顔は嬉しさよりも安堵した表情に見受けられた。

レース後の谷口(左)と片岡(中央)の顔は嬉しさよりも安堵した表情に見受けられた。

前戦富士のタイヤトラブルのこともあり、2スティント目も予定より早いタイミングでピットインし最終スティントの谷口に繋いだ。不安を抱えながらも後続とのマージンを保っていた片岡の力走によりトップのままコースに復帰した谷口だったが、タイヤを気にしながらの走行が続く。ピットストップ直後のアクシデントによりSCが出されたが、距離を詰められる代わりにタイヤを休ませることができたことはプラスだったと谷口は振り返った。

しかし残り周回が少なくなるにつれタイヤの振動が出てきたという4号車。谷口は細心の注意を払いながら丁寧にマシンをゴールまで運んだ。ともに3度のチャンピオンを獲得しているベテランコンビだが、未勝利の期間が5年以上続いた。長かったトンネルを抜けたGTきっての名コンビは、残り3戦もシリーズを盛り上げてくれるに違いない。(PHOTO:井上雅行)

2022年スーパーGT第5戦決勝 GT300結果

画像: 悔しいレースを乗り越え、念願の優勝を成し遂げた谷口・片岡組。

悔しいレースを乗り越え、念願の優勝を成し遂げた谷口・片岡組。

1位 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)72周
2位 10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき/塩津佑介)+3.407s
3位 30 apr GR86 GT(織戸学/平良響/上村優太)+19.822s
4位 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉本広樹/川合孝無汰)+23.221s
5位 6 Team LeMans Audi R8 LMS(片山義章/R.メルヒ・ムンタン)+26.681s
6位 65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原 朗)+26.991s
7位 20 シェイドレーシング GR86 GT(平中克幸/清水英志郎/山田真之亮)+28.613s
8位 2 muta Racing GR86 GT(加藤 寛規/堤優威)+35.271s
9位 87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月)+35.271s
10位 60 Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)+1L

2022年スーパーGT GT300 ドライバーズランキング

1位 56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/J・P・デ・オリベイラ)38
2位 10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき)31
3位 61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)29.5
4位 18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/太田格之進)26
5位 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)24
6位 7 Studie BMW M4(荒 聖治/近藤 翼)21
7位 11 GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石井京侍)20
8位 65 LEON PYRAMID AMG (蒲生尚弥/篠原拓朗)17
9位 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(川合孝汰)17
10位 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹)16

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