2022年9月18日、宮城県にあるスポーツランド菅生で2022 AUTOBACS SUPER GT Round6 SUGO GT 300km RACEの決勝が行われ、2号車muta Racing GR86 GT(加藤寛規/堤優威)が初優勝を飾った。2位に11号車GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍)、3位には10号車TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき)が入った。

作戦がハマり予選14位から逆転優勝

雨絡みの難しいレースとなった菅生ラウンド。予選14番手からスタートした2号車muta Racing GR86 GTはスタートドライバーを担当した加藤寛規のロングスティントが大幅に順位を上げることになった。

画像: スタート直後からSCが出る波乱の展開となった。

スタート直後からSCが出る波乱の展開となった。

レースはスタート直後から後続車両の接触事故が発生しいきなりSCが導入される展開に。4周目にレースがリスタートすると、2号車は11位を争う後方集団での走りを強いられることになる。そんな中、10周目を過ぎたあたりから雨が降り始め、雨足が強くなると各チーム続々とタイヤ交換のためにピットイン。2号車もピットインしレインタイヤに交換しコースに復帰する。

雨の中、ドライタイヤのまま走り続ける車両も多く、コースオフやスピンするマシンが続出する影響もあり2号車は着実に順位を上げていく。タイヤの影響でタイムが上がらないマシンもコース上でかわした2号車は上位勢のルーティンのピットに入ったこともあり36周目についにトップに浮上する。

各車ルーティンのピットストップではウェットタイヤを装着する中、2号車を駆る加藤は規定周回ギリギリまでピットストップをひっぱり、コースが乾くのを待った。そして雨が収まり、コース上が乾いてきた49周目にようやくピットイン。ドライバー交代、給油を行い、タイヤはウェットからドライタイヤを装着しコースに復帰。早めにルーティンのピットストップを行っていたライバル勢はスリックタイヤに交換しなければならない。

そんな中ピットストップを引っ張った2号車はピットストップ1回分を節約することができ、大量リードを得ることができた。

画像: 加藤が築いたリードをしっかり保ったまま堤がトップチェッカーを受けた。

加藤が築いたリードをしっかり保ったまま堤がトップチェッカーを受けた。

レース最終盤には再び雨が降り出すが、加藤からバトンを託された堤優威は安定したラップを刻み続けトップでチャッカーを受けた。チームとしては昨年の茂木以来、加藤・堤コンビニとしては初の優勝であり、GR86 GTにとってもGT300クラスで初優勝となった。2位に11号車GAINER TANAX GT-R、3位に10号車TANAX GAINER GT-Rが続いた。

優勝を後押ししたタイヤとブレーキ

雨を味方にし、後方スタートから見事優勝を果たした2号車。とはいえ、第2スティントでウェットタイヤでのハイペースで周回を重ねることができたことが勝因と言える。このウェットでの快走の裏には適切なタイヤ選択があったという。

チーフエンジニアの渡邉氏によると、「ハード」のウェットを選択したという。ブリヂストンタイヤの「ハード」ウェットタイヤは、ウェットからドライに移行する路面にドンピシャリ合った。雨が止んでも摩耗が少なく引っ張れるハードコンパウンドのウエットタイヤを選択したことが、ロングスティントを可能にし、ピットストップを節約することができたのだ。また、ADVICSと開発したブレーキのABS制御も大きな後押しになったという。

天候が勝敗を左右したレースだったが、2号車の純粋なスピードと作戦、タイヤ選択、そして開発を続けてきたブレーキなど優勝に必要な要素を揃えたチームは価値に相応しい、ある種当然の結果だったのかもしれない。今回の優勝でサクセスウエイトが増えるが、次戦からウエイトが半減し、最終はウエイトなしのレースとなる。

画像: 新コンビでの初優勝を果たした加藤(左)と堤(右)。ほっとした様子で取材対応をする加藤の表情が印象的だ。

新コンビでの初優勝を果たした加藤(左)と堤(右)。ほっとした様子で取材対応をする加藤の表情が印象的だ。

速さをもって優勝を掴んだ2号車。レース終了後の記者会見では加藤・堤とも残り2戦で2回とも表彰台を目指すと意思表明した。そしてその顔には喜び、そして優勝したことに対する安堵の表情が印象的だった。(写真提供:GTA)

2022年スーパーGT第6戦決勝 GT300結果

画像: 1番ウェイトが厳しいレースで優勝した2号車。残り2戦はウエイトが軽くなるため、連続表彰台獲得にも期待がかかる。

1番ウェイトが厳しいレースで優勝した2号車。残り2戦はウエイトが軽くなるため、連続表彰台獲得にも期待がかかる。

1位 2 muta Racing GR86 GT(加藤 寛規/堤優威)79周
2位 11 GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石井京侍)+1L
3位 10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき/塩津佑介)+1L
4位 56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/J・P・デ・オリベイラ)+1L
5位 7 Studie BMW M4(荒 聖治/アウグスト・ファルフス)+1L
6位 65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原 朗)+1L
7位 55 ARTA NSX GT3(武藤英紀/木村偉織)+1L
8位 61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)+1L
9位 96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)+1L
10位 25 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)+1L

2022年スーパーGT GT300 ドライバーズランキング

1位 56 リアライズ 日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/J・P・デ・オリベイラ)46
2位 10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき)42
3位 11 GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石井京侍)35
4位 61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)33.5
5位 7 Studie BMW M4(荒 聖治)27
6位 18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/太田格之進)26
7位 2 muta Racing GR86 GT(加藤 寛規/堤優威)24.5
8位 4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)24
9位 65 LEON PYRAMID AMG (蒲生尚弥/篠原拓朗)22
10位 7 Studie BMW M4(近藤 翼)21

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