ロマン・デュマ【ポルシェ ワークスドライバー】は、その任務に戸惑っていた
「すべてのダカールチームは、ラリーの前にヨーロッパでマシンをテストするためにここに来る」と、ポルシェのワークスドライバーであるロマン・デュマは語る。つまりは、そんなタフなレースが繰り広げられるような環境で、新しいポルシェ911を運転することに始めは戸惑っていたわけだ。
「すべてのダカールチームは、ラリーの前にヨーロッパでマシンをテストするためにここに来る」と、ポルシェのワークスドライバーであるロマン・デュマは語る。つまりは、そんなタフなレースが繰り広げられるような環境で、新しいポルシェ911を運転することに始めは戸惑っていたわけだ。
50万km以上に及ぶ過酷な実装テストの場のひとつとして選ばれたのは、南フランスのシャトー・ド・ラストゥールのテストトラック。ここはもともと、典型的なラリーマシンのハンドリングをテストし、サスペンションを微調整するために使用される。だがそんなデュマの戸惑いは、ドライブをこなしているうちにやがて、賞賛の念に変わったという。
「激しいジャンプでさえ、堅牢な設計とゆとりある地上高のおかげで、なんら問題はないよ。ドリフト状態でのコントロール性も圧倒的に優れている。911というスポーツカーがオンロードで自在に操ることができることはわかっていた。けれど、ここまでルーズなコンディションでのパフォーマンスの高さには、本当に驚いたね」
ヴァルター・ロール【レジェンドドライバー】は雪の上でのハンドリングに感動
2度の世界ラリーチャンピオンに輝いたヴァルター・ロールがハンドルを握ったのは、スウェーデンのアルジェプログにある広大なテスト場だった。最初は戸惑っていたというデュマとは対照的に、ロールにとってそこはまさに「ホーム」。だから、911ダカールをそこで攻め込むテストにはさぞかし、心躍らせていたに違いない。
凍った湖の厚い氷の上には、圧雪状態の雪面が「理想的」なアイスロードを作り出している。摩擦係数はもちろん低く、トラクションの制御やハンドルに対するフィードバックの純度が高くなければ、文字どおり「楽しむ」ことなどできはしない。
だがポルシェのブランドアンバサダーを務めるロールは、そこで熱心に語ったという。「運転するのが信じられないほど楽しい」と。
「911ダカールは、非常に雄弁だったよ。すべてがとても正確かつ穏やかに機能してくれる。このクルマのハンドルを握ったオーナーは、自分で実際に運転するまでは、この車でできることのすべてを信じることはできないだろうけれど、ね」