アウディは2033年には内燃機関車をカタログから外すと声明を出したが、まだ11年も先。つまりガソリンエンジンを搭載するクルマはまだまだ生き延びるわけだ。とくにスポーツモデルは次期型登場前に尖ったバリエーションが登場するのが常だ。(Motor Magazine2022年12月号より)

8速ATのリファインで加速性能が向上

「アウディスポーツ社」が2017 年にリリースしたRS4アバントそしてRS5クーペもモデル末期を迎え、過去の例と同じく2種類のスペシャルモデル「RSコンペティション」そして「RSコンペティション プラス」が発表された。その試乗会が、スペインのアスカリサーキットで開催された。

画像: RS4。「ブラック プラス オプティカルパッケージ」装着車は、エンブレムやロゴがブラック仕上げとなるほか、ドアミラーハウジングなどがカーボン仕様となり、よりスポーティ感が強くなる。

RS4。「ブラック プラス オプティカルパッケージ」装着車は、エンブレムやロゴがブラック仕上げとなるほか、ドアミラーハウジングなどがカーボン仕様となり、よりスポーティ感が強くなる。

RS4アバントに組み込まれたコンペティションパッケージの内容は、ブラック プラス オプティカルパッケージでエクステリアを化粧直し、内装はアルカンターラ&レザートリム、赤いステッチ入
り3点式シートベルトを装備。

性能面ではリミッターを解除して最高速度を290km/hまでアップ、RSスポーツエキゾーストシステムの装着で8㎏軽量化、さらに20インチタイヤ&ホイールが装備されている。

一方、RS5のコンペティションパッケージ プラスは前述のコンペティションパッケージに加え
て、RSスポーツシャシ プロ(アジャスタブル ダンパー採用で10㎜ローダウン)、モディファイド
スポーツディファレンシャル、ダイナミックステアリングなどが加わる。

両モデルともV6ツインターボエンジンを搭載するが、動力性能は、0→ 100km/h加速はアバントが4.1秒から3.9秒、RS5は3.9秒から3.8秒、最高速度は従来モデルの280km/hから290km/hと向上した。この加速性能の向上はリファインされた8速ATが、そして最高速度のアップは新たにRSコンペティション用に開発されたピレリ Pゼロ コルサを採用した結果だ。

足まわりは絶妙なセッティング。変速は素早く制動力も十分

このパッケージによりグレードアップしたアウディの最新「アバント」はクローズドコースでどん
な挙動を示すのだろうか?パドックに並んだ試乗車から選んだのはRS4アバントの「ブラック プラス オプティカルパッケージ」装着車。黒いエンブレムなどを備え、ちょっと強面(こわもて)な印象である。

画像: こちらはRS5の「コンペティション パッケージ プラス」装着車。

こちらはRS5の「コンペティション パッケージ プラス」装着車。

最初の3周はペースカーが先導し、その後の3周は間隔を置いてのフリー走行である。もちろん追い越しは禁止。ドライブモードはレースを、そしてESP はスポーツモードを選択する。全長5.4㎞、26のコーナーを持つテクニカルなコースである。

スターターボタンを押し、アクセルペダルを踏み込むとバリバリバリっとかなり豪快なサウンドが響き渡る。10㎜ローダウンしたスポーツシャシは確かに硬く、路面からダイレクトなフィードバックがある。しかしダンパーはしっかりと効いているので強い直接的な衝撃は伝わってこない。
 
8速ATはマニュアルモードでは、レッドゾーンの直前でパドルでのシフトアップが要求される。シフトフィールはDCT に劣らないダイレクト感でトルコンATとは思えない。基本的なハンドリングはアウディRS特有のキビキビした、しかも安定した特性だが、サーキットではアグレッシブな面が見えた。

たとえばスポーツデファレンシャルが介入するコーナリング特性はニュートラルで、コーナーの立ち上がりで、後輪駆動車のようリアから押し出される感覚がある。また100km/hからのフルブレーキングで制動距離が10mも短縮された高性能スポーツブレーキも申し分ない。合計6周はさまざまなドライブロジックを楽しむ間もなく終わってしまった。

RS4アバント、そしてRS5クーペに用意されるこのコンペティションパッケージそしてコンペティション プラスはベースモデルにそれぞれ7875 ユーロ(約115万円:ドイツでの税19%込み)、1万1875 ユーロ(約174万円:同じく税込)の追加料金が要求される。日本での販売や価格についてはこのイベントでは発表されなかった。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)

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