ボンドカーの「特別」装備をリアルに再現
アストンマーティン ワークスが2020年に25台限定で復刻製造を行った「DB5 ゴールドフィンガー コンティニュエーション」の最後の1台がアストンマーティン青山ハウスで公開された。
1963年に発売されたDB5は、64年に映画「007/ゴールドフィンガー」にショーン・コネリー演じる主人公のジェームズ・ボンドが操る<ボンドカー>として登場し、アストンマーティンの名を世界的に広げることになったモデル。
そして2020年、DB5の最後のラインオフから55年を記念して、アストンマーティン ワークスが007シリーズの製作会社であるイーオン プロダクションズとの共同でボンドカーを復刻製造した。
その再現度は高く、フロントのマシンガン、回転式ナンバープレート、リアのスモーク噴霧器やオイル噴射装置、トランクリッドの格納式防弾板といったボンドカーならではの特殊装置も再現される。
子供のころミニカーで憧れた名車を、現代のスタンダードで復刻
今回、アストンマーティン ワークスのプレジデント、ポール・スパイアーズ氏にボンドカー復刻の経緯を聞くことができたのでその内容を一部紹介する。
「アストンマーティンは2007年にDB4やDB5を生産したニューポート・パグネル工場でのクルマの製造をやめてしまいましたが、そこで培った技術者のスキルを集めれば、昔のクルマを復刻させることができるという自信がありました。しかも作るならばクラシックなものをというのがこのプロジェクトのスタートです。これまでDB4 GTやGTザガートなどを復刻してきましたが、一番有名なのがこのDB5でしょう。私自身、子供の頃にミニカーを持っていましたし、大人になって本物を作る機会があり、自分へのご褒美だと思っています。
しかしこの有名なクルマを現在のスタンダードに合わせて作るというのはものすごく苦労しました。おそらく新車を作るほうが楽でしたね(笑)。エンジニアたちと試行錯誤を重ねてなんとか実現しました」。
そんな「DB5 ゴールドフィンガー コンティニュエーション」の価格は日本円にして約5億円!ポール氏はこのクルマを手に入れたら、博物館に飾るのではなく思いっきり走らせてほしいと話していた
が、このクルマは公道を走ることができないので、5億円のほかに走らせる場所も用意する必要がある。これぞ究極のコレクターズアイテムだ。(文:Motor Magazine編集部 中村圭吾/写真:永元秀和)