「運ぶ」を通じて、日本の産業基盤を支えた「働き者」たちに会える
日本の自動車業界には549万人の人たちが従事し、利用部門の方々は約半分の271万人となる。
物流という概念が登場した戦後から、マイカーブーム前のモビリティとして日本を支えたのはトラックやバンであり、以来現在にいたるまで自動車メーカーは耐久性や乗り心地などの改善を車両に施し続け、運び手が安心・安全に荷物を送り届け、ユーザーの笑顔につなげたいという想いに応えようとしてきた。
そして輸送業界では今、環境対応や雇用対策など様々な課題を抱えながらも、私たちの生活に欠かすことのできない「ユーザーに確実に荷物を届ける」というサービスに日々尽力している。
この企画展では、輸送車両にかけた自動車メーカーの想いと、いつも私たちの生活を支えている輸送に関わる方々に“感謝”を伝えることを目的としている。
水野式とBMWの深く熱い関係。働くクルマはドラマも満載
展示車の一例である水野式自動三輪車(タイトル写真)は、1925頃~1940年にかけて生産されていたモデル。現在は、トヨタ系列を中心にエンジン、トランスミッション部品などを提供している「水野鉄工所(本社:愛知県名古屋市)」が、創業期に開発に成功した自動三輪車だ。
オリジナルの内燃機をフロントに駆動、前輪で走行するFF方式は、当時としてはユニークな存在だった。昭和初期のピーク時には年間362台を生産するなど、自動車メーカーとしての地位を確立したモデルとして、同社の公式ホームページで詳解されている。
ちなみに当初は単気筒でスタートした「水野式内燃機」は、生産終了直前の最終モデルでは水平対向2気筒エンジンへと進化している。これは創業者水野忠一氏が無類のドイツ好きだったことから、BMWのR5に搭載された空冷4サイクル水平対向をモデルに設計したとのこと。働くクルマたちにも、さまざまなドラマがあって実に興味深い。
トヨタ博物館 企画展「トランスポーター」開催概要
●会期:2023年4月28日(金)~2023年7月17日(月・祝)
●場所:トヨタ博物館 文化館2階 企画展示室
●内容:戦前のオート三輪車から1990年代の特徴ある輸送車両13台を展示。
輸送車両にかけた自動車メーカーの想いと、輸送に関わる皆さまへの“感謝”。
●展示車両(年代順・同年のものは50音順):
①水野式自動三輪車(1937年)
②トヨタ トラック BM型 (代用燃料改造車) (1950年)
③トヨペット トラック SG型 (1953年)
④トヨペット マスターライン ライトバン RR17型 (1956年)
⑤スズキ スズライト SL型 (1957年)
⑥トヨペット スタウト RK35型 (1959年)
⑦ダットサン 1000トラック G222型 (1960年)
⑧ホンダ T360H AK250型 (1965年)
⑨マツダ T1500 TUB81型 (1965年)
⑩トヨタ ダイナ RK170型 (1967年)
⑪トヨタ ブリスカ GY10型 (1968年)
⑫トヨタ BUV タマラオ KF10型 (1977年)
⑬トヨタ デリボーイ T-KXC10V型 (1991年)