2023年4月15日(現地時間)、ステランティスグループのイタリアンブランド「ランチア(Lancia)」が、新しいスポーツモデルのコンセプトカー「Pu+Ra HPE」を公開した。このモデルはランチアの新しい時代、新しい方向性を示すものと注目される。

ランチアは電動化モデル専売のプレミアムブランドへ

1923年にイタリア・トリノで誕生したランチアは、スポーツカーブランドとして高い評価を得るとともにラリーをはじめとしたモータースポーツで活躍したが、経営悪化でフィアット傘下に入り、長くフィアットの高級車ブランドと位置づけられていた。

画像: 伝説の名車「ストラトス」を連想させるリアビュー。新しいランチアのロゴを配される。

伝説の名車「ストラトス」を連想させるリアビュー。新しいランチアのロゴを配される。

しかしその後、FCA時代にはクライスラーの欧州進出の際にブランド名として使われたかと思えば、一転してイタリア国内専用ブランドとなるなど迷走。2019年にFCAがPSAグループと経営統合してステランティスグループが誕生すると、ランチアは再びプレミアムブランドとしてグループの一翼を担うことになった。

こうして、ランチアは今後、電動化モデル専売のプレミアムブランドとして再起を図ることになった。その新時代の到来を告げることになるのが、今回公開されたコンセプトカー「Pu+Ra HPE」というわけだ。

「Pu+Ra」はブランドの新しいデザイン言語を指し、「HPE」は「High Performance Electric」の略で、環境に優しく、刺激的で進化した車であることを表しているという。また同時に、「HPE」は1970 年代にランチア ベータに初めて使用され、スポーティさと実用性の象徴となった「HPE=High Performance Estate」にもつながるものとなっている。

「Pu+Ra HPE」のパワートレーンに関して詳細は明らかになっていないが、新しいプラットフォームを使ったブランド初の100%電気自動車であり、充電時間は10分強で、航続距離は700km以上、エネルギー消費量は100kmあたり10kWh未満を目指すとアナウンスされている。

高級家具業界のリーダーであるCassinaと協業

空気力学、持続可能性に基づいて合理化されたデザインはアウレリアやフラミニアを思い起こさせるもので、1970年代のベータHPEやストラトスを彷彿とさせる部分もある。

画像: 円形デザインはラウンドテーブル、センターコンソール、さらにはダッシュボードにも表現されている。

円形デザインはラウンドテーブル、センターコンソール、さらにはダッシュボードにも表現されている。

大きな窓は自然光を取り入れて、インテリアの「ホームフィーリング」のコンセプトにつながる。「ホーム フィーリング」とは、イタリアの家からインスピレーションを得た居心地の良い室内環境のことで、インテリアについては高級家具業界のリーダーであるカッシーナ(Cassina)と共同で開発したという。

ボディカラーの「プログレッシブ グリーン」は、ブランドの未来を見据えた「プログレッシブ」と、持続可能性の「グリーン」をイメージして誕生した色で、最新の顔料を使用した液体金属が生成された温かみのある青みがかった緑色となっている。

コンセプトカー「Pu+Ra HPE」が市販されることはないが、そのテクノロジーやコンセプト、デザインは、2024年にハイブリッドバージョンとEVバージョンの両方で登場する予定の新型「イプシロン」、2028年登場と言われる新型「デルタ」に引き継がれるはずだ。

ランチアブランドのルカ・ナポリターノCEOは「ランチアは Pu+Ra HPEを発表します。これはブランドを電動モビリティの時代に導き、次の10年間のブランドビジョンとなるモデルです。新しいイプシロンをはじめ、私たちの未来の車はこのPu+Ra HPE にインスパイアされるでしょう」と語っている。

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