各国を代表するスポーツカーといっても過言ではないこの3台。直4、V6、V8とそれぞれ異なるパワートレーンを搭載し、デザインも異なるが、この日仏米が織りなすカッコ良い2ドアスポーツモデルの魅力を探っていこう。(Motor Magazine 2023年4月号より)

ダンスパートナーはアップテンポな峠道がお得意

そんな3車の走りのテイストは、ルックス同様に大きく異なる。よりスピード性能に特化したGT-Rを持つ日産にとって、GT-Rが「モビルスーツ」だとしたらフェアレディZは「ダンスパートナー」と開発担当者が語るこのモデルは、流麗で個性的なスタイリングとともにワインディングロードを右に左にとアップテンポで駆け抜けて行くシーンでの心地良さが印象に残る。

画像: ニッサン フェアレディZ バージョンST。ルーフからリアエンドに向かってなだらかに傾斜するファストバックスタイルが美しい。ルーフフィニッシャーは刀をモチーフにしているという。

ニッサン フェアレディZ バージョンST。ルーフからリアエンドに向かってなだらかに傾斜するファストバックスタイルが美しい。ルーフフィニッシャーは刀をモチーフにしているという。

ターボ付きエンジンが生み出す強大なトルクを2輪で路面へと伝達するためウエット路面ではまた印象が大きく異なってしまうのかも知れないが、取材を行った日は好天で路面は完全なドライ。こうしたシチュエーションではトラクション能力にもさしたる不満はなく、FRレイアウトがもたらすバランス感覚の良さが好印象。人とクルマの一体感もなかなか高い。

一方、そんな人とクルマの一体感という部分に着目をすれば、数あるスポーツモデルの中でも随一の存在と再認識させられたのがA110。ワインディングロードへと乗り入れた場面はもちろん、街乗りで交差点を曲がるシーンですらそうした印象を感じさせられるのだからこれは徹底している。

実際、このモデルの「軽さ」はスペック上でも圧倒的で、さらにミッドシップレイアウトだから回頭感に優れるのも理屈どおりという印象。まるで手足のように扱えるという印象がより加速されている点も軽快感の演出にひと役買っていると感じられた。

官能性こそ今ひとつだが、それでも乾いたサウンドを含めスポーツ派ドライバーを楽しませる術は十分。ストローク感こそとくに長いとは言えないものの路面オウトツにしっかり追従してくれるフットワークの仕上がりを含め、今回の3車中でもっともピュアなスポーツカーらしい適性を備えているA110だ。

圧倒的な存在感をもつ大排気量V8搭載のカマロ

そのようなフェアレディZやA110と比較を試みるまでもなく、完全に「我が道を行く」というキャラクターを感じさせるのがカマロ。

画像: シボレー カマロSS。アメリカンスポーツを代表するカマロ。デザインは先代のコンセプトをキープしつつより洗練されたものとなっている。

シボレー カマロSS。アメリカンスポーツを代表するカマロ。デザインは先代のコンセプトをキープしつつより洗練されたものとなっている。

6.2LのV8ユニットが放つフィーリングは、すでにアイドリング状態から圧倒的な存在感を発揮。レッドラインの6500rpmまで躊躇なく吹け切ってしまうどころか、5000rpm付近からは迫力に満ちたサウンドを聞かせてくれる。そして、あえて高回転域を使うまでもなく街乗りシーンの低回転域でも太くフラットなトルクを味わわせてくれるのだから、もはや過去のものとなりつつある﹁排気量拡大に勝るチューニングなし﹂とそんなフレーズを思い出さずにはいられない。

一方、高いフロントカウルや左コーナーでの見通しの悪さ、そして広い全幅などからどうにもクルマとの一体感は得にくく、それが場合によっては鈍重な印象に繋がってしまったことは否めない。

ピュアなスポーツカーのコルベットすら右ハンドル仕様が用意される時代、いつまでも「逆ハンドル」のままではやはり今以上にポピュラーな存在として迎えられるのは困難でありそう。少なくとも、今回のモデルを右ハンドルで乗ることができたならば、その印象はまたまったく違ったものになっていただろうとは想像ができる。

それにしても、SUV全盛という時代を迎えて今や少数派となりつつある2ドアのスポーツモデルには、「だからこそ」という捨てがたい魅力がたっぷりと詰まっている。今回乗った3台は、「3車3様」のキャラクターの持ち主でありながら、改めてそんなことを教えてくれるという点で共通する存在でもあったと言えるのだ。(文: 河村康彦/写真:佐藤正巳)

ニッサン フェアレディZ バージョンST主要諸元

●全長×全幅×全高:4380×1845×1315mm
●ホイールベース:2550mm
●車両重量:1620kg
●エンジン:V6DOHCツインターボ
●総排気量:2997cc
●最高出力:298kW(405ps)/6400rpm
●最大トルク:475Nm/1600-5600rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・62L
●WLTCモード燃費:10.2km/L
●タイヤサイズ:前255/40R19、後275/35R19
●車両価格(税込):646万2500円

アルピーヌ A110GTエッセンシャルパッケージ主要諸元

●全長×全幅×全高:4205×1800×1250mm
●ホイールベース:2420mm
●車両重量:1130kg
●エンジン:直4DOHターボ
●総排気量:1798cc
●最高出力:221kW(300ps)/6300rpm
●最大トルク:340Nm/2400rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:MR
●燃料・タンク容量:プレミアム・72L
●WLTCモード燃費:14.7km/L
●タイヤサイズ:前205/40R16、後235/40R18
●車両価格(税込):953万円

シボレー カマロSS主要諸元

●全長×全幅×全高:4780×1900×1340mm
●ホイールベース:2810mm
●車両重量:1710kg
●エンジン:V8OHV
●総排気量:6168cc
●最高出力:333kW(453ps)/5700rpm
●最大トルク:617Nm/4600rpm
●トランスミッション:10速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・72L
●WLTCモード燃費:-
●タイヤサイズ:前245/40R20、後275/35R20
●車両価格(税込):848万円

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