2023年7月16日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦が静岡県の富士スピードウェイで開催され、リアム・ローソン(TEAM MUGEN)が今季3勝目を挙げた。牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が2位、3位には宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)が入った。(文:河村大志/写真提供:日本レースプロモーション)

牧野任祐が2019年以来のポールポジション獲得!僚友の太田も3番グリッド

画像: デビュー戦以来、自身2度目のポールポジション獲得となった牧野。

デビュー戦以来、自身2度目のポールポジション獲得となった牧野。

全9戦で行われる2023年シーズンも今大会を入れてわずか4戦。25ポイント差に4名が犇めくチャンピオン争いは、宮田が75ポイントで首位、ランキング2位のローソンが63ポイント、ランキング3位の野尻智紀(TEAM MUGEN)が58ポイント、そしてランキング4位の坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)が50ポイントの並びとなっている。

第6戦富士ではドライバー変更があった。まず、笹原右京がジュリアーノ・アレジに代わってTOM'Sから残り全てのレースに参戦。シートを失っていた笹原が、今年移籍したトヨタで結果を残すことができるのだろうか。

画像: 今大会からジュリアーノ・アレジに代わり36号車のステアリングを握ることになった笹原。

今大会からジュリアーノ・アレジに代わり36号車のステアリングを握ることになった笹原。

そしてこれまで予選では好成績を残すも、決勝ではミスやトラブルにより苦戦を強いられていた大湯都史樹が今大会を欠場する事態となった。トレーニングの一環で行っていたスカッシュをしていた際に転倒、鎖骨を骨折したという。

大湯自身はマシンに乗るつもりで富士に現れたが、ドクターストップがかかり断念。代役としてDOCOMO TEAM DANDELION RACINGやB-Max Racing Teamのテストをこなし、第4戦オートポリスではTEAM MUGENのドライブを担当した大津弘樹が抜擢された。

来期のレギュラーシート獲得に向けても、笹原と大津にとって今大会は重要なレースとなるだろう。

画像: テストを含めステアリングを握るチームはなんと4チーム目となる大津。

テストを含めステアリングを握るチームはなんと4チーム目となる大津。

今大会で速さを見せたのは地元トヨタ勢ではなくホンダ勢だった。中でも速さを見せたのはフリー走行からトップタイムをマークしていた牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だった。

予選Q1 Aグループではランキング2位のローソンがグループトップでQ2に進出。代役参戦の大津はフリー走行で満足に走れなかったにも関わらず、同グループを2位で通過してみせた。フリー走行トップの牧野はグループ4位でQ2に進出を決めている。

続いて行われた予選Q1のBグループで気を吐いたのが、牧野の僚友ルーキーの太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だった。開幕前テストを怪我で欠場したこともありシーズン前半は下位に沈んでいたが、ホンダ勢好調の勢いに乗り見事トップタイムを叩き出した。

ポールポジションが決定する予選Q2、ローソンが1分22秒242の暫定トップタイムでポールを決めたかと思われたが、牧野がローソンのタイムを更新する1分22秒063を記録し逆転でポールポジションを獲得してみせた。デビュー戦でポールポジションを獲得して以来、4年間手にすることができなかった最速の称号を掴んだ牧野。自身2度目のポールだったが、本人は冷静で、その目は翌日の決勝を見据えていた。

初のポールポジション、そして3ポイント加算が消えてしまったローソンだが、予選で2位に入り2ポイント獲得。3番手には牧野のチームメイトであり、自己ベストグリッドを更新した太田が入り、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGが2台揃って予選トップ3に食い込んでみせた。一方、タイトルを争う宮田は5番手、野尻は7番手、そして坪井は11番手と出遅れる結果となった。

画像: 今季初のポールポジションを喜ぶ牧野と村岡代表。

今季初のポールポジションを喜ぶ牧野と村岡代表。

2023年 スーパーフォーミュラ 第6戦 予選結果(Q2)

1. 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 1’22.063
2. リアム・ローソン(TEAM MUGEN) 1’22.242
3. 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’22.331
4. 佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING) 1’22.428
5. 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)1’22.457
6. 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)1’22.570
7. 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’22.571
8. 山下健太(KONDO RACING)1’22.725
9. 大津弘樹(TGM Grand Prix)1’22.862
10. 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)1’22.889
11. 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING) 1’22.892
12. 福住仁嶺(ThreeBond Racing) 1’31.654

ローソンが今季3勝目!ランキング首位宮田との差はわずか「1」

画像: ポールポジションスタートの牧野がホールショット。ローソンはポジションキープで勝機を伺う。

ポールポジションスタートの牧野がホールショット。ローソンはポジションキープで勝機を伺う。

曇り空の影響か、気温25度、路面温度31度と、暑さが弱まった決勝日。41周で行われた決勝レースは、開幕戦デビューウィンを飾った思い出の地でローソンが素晴らしい走りを見せた。

順当なスタートを切った2番グリッドのローソンは、1コーナーでトップの牧野に接近するが、無理することなくポジションをキープ。レース序盤からOTS(オーバーテイクシステム)を使用しながらリードを築く牧野に対し、ローソンは自身のペースを守りながらも牧野に離される事なくレースを進めていく。

ピットウインドウがオープンする10周目に、3番手につけていた佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)、5番手走行の宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)らがいち早くピットイン。この動きに反応したローソンが翌周にピットイン。佐藤、宮田のアンダーカットを防いだローソンは、トップを走る牧野に対してアンダーカットを仕掛けるべくアウトラップを攻める。対する牧野はこれを阻止すべくOTSを使ってプッシュし翌週にピットイン。牧野は何とかトップでコースに復帰するも交換直後のタイヤでは、タイヤが温まっているローソンを防ぎきれない。してやったりのローソンは、ターン2でトップに浮上し、見事アンダーカットを成功させた。

ローソンのピットイン後の暫定トップを走行していた山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)や、20番グリッドからスタートした平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)など4台がタイヤ交換を行わずステイアウトしていたが、平川を最後に30周目には全てのマシンがピット義務を消化。これにより、ローソンがトップに立ち、チェッカーを目指すことになる。

2番手の牧野に約3秒差をつけレースをコントロールするローソンに対し、ピットストップを遅らせた平川は残り周回をフレッシュなタイヤでハイペースを刻む。ファステストラップを更新しながら、山本、太田を立て続けにオーバーテイクし、ファイナルラップの最終コーナーでは4位を走っていた佐藤も攻略。平川は何と16ポジションアップの4位でチェッカーを受ける激走を見せた。

牧野、そしてチャンピオンを争う宮田の動きを見据えたローソンが、隙を与えない完璧な走りでトップチェッカー。他車がアウトラップで苦労する中、ローソンは勝負所を見極め、アウトラップでも見事な走りを披露。アンダーカットを成功させ、今季3勝目を挙げた。

画像: SF初優勝を記録した思い出の地で再びトップチェッカーを受けたローソン。

SF初優勝を記録した思い出の地で再びトップチェッカーを受けたローソン。

2位には予選からポジションを落としてしまい悔しい結果となった牧野、3位にはランキングトップの宮田が入り表彰台を獲得。宮田とローソンのポイント差はわずか1ポイントに詰まってしまったが、苦しい中でもポディウムフィニッシュしたことにより、ランキング首位の座は宮田が死守している。

残り3戦を残すのみとなった2023年シーズン。ランキングトップの宮田が86点、2位のローソンは85点、3位野尻61点、4位坪井50点となっている。チャンピオン争いにおいて重要なレースとなる今大会だが、前戦までの4人の争いから宮田とローソンのチャンピオン争いという図式になりつつある。

2023年 スーパーフォーミュラ第6戦 決勝リザルト

画像: ローソン優勝、宮田が3位に入り、両者のポイント差はわずか「1」となった。

ローソン優勝、宮田が3位に入り、両者のポイント差はわずか「1」となった。

1. リアム・ローソン(TEAM MUGEN)41周
2. 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
3. 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)
4. 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
5. 佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)
6. 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
7. 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)
8. 野尻智紀(TEAM MUGEN)
9. 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)
10. 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)

2023年 スーパーフォーミュラ ドライバーズランキング(第6戦終了時点)

1. 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S) 86
2. リアム・ローソン(TEAM MUGEN) 85
3. 野尻智紀(TEAM MUGEN)  61
4. 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)  50
5.牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)37
6. 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)  36
7. 山下健太(KONDO RACING)   28
8. 佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING) 17
9. 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)14
10. 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)12

2023年 スーパーフォーミュラ チームランキング(第6戦終了時点)

1. TEAM MUGEN 133
2. VANTELIN TEAM TOM’S 83
3. P.MU/CERUMO・INGING 53
4. DOCOMO TEAM DANDELION RACING 39
5. ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 36
6. KONDO RACING 33
7. TCS NAKAJIMA RACING 31
8. Team KCMG 15
9. docomo business ROOKIE 10
10. TGM Grand Prix 9
11. ThreeBond Racing 8

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