トヨタハイブリッドシステムの「良さ」を際立たせる強靭ボディ見出し
さて、いよいよテストドライブに繰り出そう。今回の試乗会では、新型アルファード/ヴェルファイアのパワートレーンラインナップをほぼ一式、短時間ではあるが体感することができた。
アルヴェルともに2.5L直4ハイブリッド(システム最高出力250ps)のエグゼクティブラウンジを用意。ヴェルファイアでは、FF仕様と4WD(E-Four)を乗り比べることができた。
ほかに、アルファードにのみ設定されている2.5Lの直4自然吸気ユニット(182ps)×CVT(Z 4WD)、ヴェルファイアの同じく2.4L直4ながら直噴ターボを備えたハイパフォーマンス仕様(279ps)×Direct Shift-8AT(ZプレミアFF)を試乗。ラインナップの中ではお手軽仕様ともっともスポーティな仕様となる。
まずはヴェルファイア・ハイブリッドモデルのハンドルを握ったのだが、新調された「ブレない身体」との相性が抜群に良いことに驚かされた。とくに高効率でスマートな制御を見せるハイブリッドシステムは、遮音性、振動などで進化した快適性という新型のバリューをわかりやすく実感させてくれる。とくに街中をEVモードで走る時は、さまざまな意味での静粛性の高さが際立っていた。
高速道路に入って80km/hほどで流していると、さらに頑健なシャシ、フットワーク系の洗練ぶりを味わうことができる。ヴェルファイアはフロントパフォーマンスブレースや19インチの大径タイヤを標準装備する走り重視の仕様になっているのだが、不快な硬さが気になる場面はほとんどなかった。
あらゆる速度域で、操舵に対する動きは素直、しかも身のこなしが洗練されている美点のほうが、圧倒的に印象に残る。車線変更ひとつとっても、非常にスムーズ&ナチュラルだ。タイヤから伝わってくる接地感も豊かで直進時に妙なストレスを感じることはない。
洗練された、という意味ではE-Fourと頑健ボディとのマッチングも良好だ。街乗り領域から細かく後輪の駆動力に加えられた制御が、ある意味、2WD以上によどみのないすっきり感のあるハンドリングを生み出している。
一方、比較的ソフト路線となるアルファードのハイブリッドモデルの方はといえば、ほどよく緩めな感じがかなり好ましい。最上級のエグゼクティブ ラウンジでもタイヤは17インチで、ヴェルファイアに比べるとさまざまな意味で挙動は大きめ。それでも全体的な走りの質感や安定感、安心感は確実に従来型からグレードアップを果たしている。
ほどよく残った「ミニバンらしい」味付けは、従来車に乗っている現役オーナーにもなじみやすいかもしれない。各部が引き締められたヴェルファイアとは別の意味で、リラックスできる世界観が魅力だ。ヴェルファイアの場合は挙動や乗り心地にセダン感覚が強く、高い目線との違和感を覚える場面もあったが、アルファードは終始のんびりお気楽に操ることができる。
4WDで559万8000円、FFなら540万円とかなりリーズナブルな価格設定となる2.5Lガソリンモデルも、非常にバリューに優れているように思えた。パワー感も質感も他のパワートレーンに比べるとやや控えめではあるものの、18インチタイヤのおかげもあってか、全体的にバランスの良い走りを楽しむことができた。