シャシ性能の高さが「さらなる贅沢」を求めさせてしまうのか・・・
さて、スポーティ派に注目のヴェルファイア専用2.4L直噴ターボエンジンだが、こちらもハイブリッドとは違う意味で、がっしりボディとの相性は抜群だ。ドライバーをその気にさせるリニアリティとパワー感を、存分に引き出してくれる。
アクセルレスポンスに優れ、2トンを優に超えるボディが想像以上に機敏に動く感覚は、なかなかに新鮮だ。回転が上がった時のやや乾いたエキゾーストノートも、ほどよい刺激になっている。
あえて注文をつけるとすれば、街乗りでもう少しトルクの厚みを感じさせてくれると、いかにも「直噴ターボらしい」ゆとりをもっと味わいつくせるような気がした。アクセルに対するツキとか排気音の音圧などに、もう少し色気が欲しいと思えたのだ。
もちろんそれはあくまで「贅沢な注文」なのだけれど、ボディまわりの質感が高いからこそ、余計にもうひと押し、パワートレーンにも上質感が欲しいと思ってしまうのかもしれない。あえて言うなら「シャシが勝っている」ように感じられたからだ。もっともそのあたりは、今後追加されることが決定しているPHEV仕様が担うことになるのかもしれないが。
正直、これまでのアルヴェルに対しては半分ジェラシーも込めて「上から目線で圧倒する存在感と豪華なおもてなしを、オーナーとしてパッセンジャーに楽しんでもらう」ために選ぶべきクルマだと思い込んでいた。
だが新型アルヴェルを運転していると、「大空間高級サルーン」としての普遍的価値を極めながらも、「ドライバーが操る」楽しさについても妥協することなくしっかり大切に育てていることがわかってくる。
かなうならこのクルマで仲間たちとドライブに出かける時には、皆で乗る席を交代しながら、じっくり走り続けてみたい。クルマという乗り物がもたらす「最高の移動時間」が果たしてどこまで深まり、広がりを見せてくれるのか、新型アルヴェルならきっとわかりやすく教えてくれることだろう。(写真:井上雅行)
トヨタ ヴェルファイア エグゼクティブラウンジ 4WD主要諸元
●全長×全幅×全高:4995×1850×1945mm
●ホイールベース:3000mm
●車両重量:2310kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター×2
●総排気量:2487cc
●最高出力:140kW(190ps)/6000rpm
●最大トルク:236Nm(24.1kgm)/4300−4500rpm
●モーター最高出力:134kW(182ps)+40kW(54ps)
●モーター最大トルク:270Nm(27.5kgm)+121Nm(12.3kgm)
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:4WD(E-Four)
●燃料・タンク容量:レギュラー・60L
●WLTCモード燃費:16.9km/L
●タイヤサイズ:225/55R19
●車両価格(税込):892万円
トヨタ ヴェルファイア Z Premier 2.4Lターボ/2WD主要諸元
●全長×全幅×全高:4995×1850×1945mm
●ホイールベース:3000mm
●車両重量:2180kg
●エンジン:直4 DOHC 直噴ターボ
●総排気量:2393cc
●最高出力:205kW(279ps)/6000rpm
●最大トルク:430Nm(43.8kgm)/1700−3600rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:2WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・75L
●WLTCモード燃費:16.9km/L
●タイヤサイズ:225/55R19
●車両価格(税込):655万円