AMG独自開発のスポーツカーがフルモデルチェンジされ2世代目となった。新しいコンセプトにより高性能でありながら高い実用性も兼ね備えた新型メルセデスAMG GT 63クーペに試乗した。(Motor Magazine 2024年1月号より)

AMG GTが第2世代へ

2014年にポルシェ911の牙城を崩そうと登場したAMG GTは最重要市場のアメリカの22年の販売台数を見ると7419台の911に対し、2968台とニューカマーとしては善戦している。そこへ新たなコンセプトを持った第2世代が誕生した。

画像: 最高出力585ps、最大トルク800Nmを発生する4L V8ツインターボエンジンを搭載する。

最高出力585ps、最大トルク800Nmを発生する4L V8ツインターボエンジンを搭載する。

新型メルセデスAMG GT 63 4マティック+クーペのもっとも大きな変化は、プラットフォームにSLシリーズと共通のMSA(モジュール スポーツ アーキテクチャー)を採用したことだ。ボディは約18cm延長され2+2に、そしてトランスアクスルをやめて4WDを可能にしたことである。これまでの挑戦的なスポーツラインがエレガントなラインを持つことになった。

搭載される最高出力585ps、最大トルク800Nmを発生する4L V8ツインターボエンジン(M178)と9速ATの組み合わせは変わらないが、0→100km/h加速が3.2秒、最高速度は315km/hと発表されている。

キャビンに入り、スポーツシートに身を任せると正面にはSLシリーズと同じデジタルコクピット、そしてダッシュボード中央には11.9インチのタッチスクリーンが目に入る。

まず感じたのは、快適性の向上だった

画像: フルデジタルのインストルメントクラスター。ダッシュボード中央には11.9インチの大型タッチスクリーンを備える。

フルデジタルのインストルメントクラスター。ダッシュボード中央には11.9インチの大型タッチスクリーンを備える。

スターターボタンを押すとキャビン内に少し演出過剰な人工スポーツカー的なサウンドが広がる。

巧みなエンジンチューンで加速フィールは以前にも増して逞しい。一般道路ではホイールベースの延長やロールスタビライザー、そしてアクティブエンジンマウントなどの快適装備もあって快適性の向上がまず感じられた。さらに山間部に入ると最大2.5度までの操舵角度を持ったリアステアリングシステムのお陰でタイトなコーナーでもサイズを感じさせないコーナリング性能を発揮した。

旧型のスポーツ一本やりからツーリングGTへと実用性と洗練性を与えられ、間口の広まった新型AMG GT 63はこれまで買い物リストに入っていなかったユーザーを獲得する可能性は十分にある。価格はドイツで18万8704ユーロ(約3056万円)からで、デリバリーは2024年初頭からと発表されている。(文:木村好宏)

画像: エレガントさとスポーティさを兼ね備えたスタイリング。

エレガントさとスポーティさを兼ね備えたスタイリング。

メルセデスAMG GT 63 4マティック+クーペ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4728×1984×1354mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1970kg
●エンジン:V8ツインターボ
●総排気量:3982cc
●最高出力:430kW(585ps)/5500-6500rpm
●最大トルク:800Nm/2500-4500rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●WLTCモード燃費:7.0km/L
●0→100km/h加速:3.2秒
●タイヤサイズ:前295/35ZR20、後305/35ZR20

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