メルセデス伝統のオープンスポーツカー
「SL」は、1954年に初代が誕生して以来、オープンスポーツカーの最高峰に位置づけられてきた伝説のモデル。初代は1952年にル・マン24時間耐久を制した「300SL」として登場、SL(Sport Leicht=軽量スポーツカー」の名前が示すとおり、軽量でスポーティなスポーツカーとして進化してきた。
現行型は日本で2022年10月に登場した7代目で、ハイパフォーマンスカーを扱うメルセデスAMGが開発を担当したことから「メルセデスAMG SL」と呼ばれることになった。量産車で世界初採用の電動排気ターボ搭載の2L直4エンジンに9速ATを組み合わせ、足まわりには新開発のAMGライドコントロールサスペンションを装備。ソフトトップルーフを採用したこと、4代目以来となる2+2レイアウトを採用していることも話題となった。
また、直4ターボエンジンを搭載の「SL 43」で登場した後、2023年4月には4L V8ツインターボ搭載の「SL 63 4マティック+」を追加設定している。
AMGが独自開発したプラグインハイブリッドシステムを搭載
今回ドイツ本国で発表された「SL63 S Eパフォーマンス」は、4L V8ツインターボエンジンに高性能プラグインハイブリッド(PHEV)システムを組み合わせたハイパフォーマンスモデル。4L V8ツインターボは最高出力612ps/5750〜6500rpm、最大トルク850Nm/2500〜4500rpmを発揮、ここに電気モーターが最高出力204ps、最大トルク32.6kgmを上乗せして、PHEVシステム全体では816PSのパワーと1080-1420Nmのトルクを実現した。
リアアクスルにマウントされたモーターは電動シフト式2速変速機と電子制御リミテッドスリップデフに統合され、9速ATの「AMGスピードシフト MCT 9G」トランスミッションを介さず、後輪に直接パワーを伝える。
駆動方式はパフォーマンス志向のAMG連続トルク可変配分式4WDシステム「4マティック+」で、後輪のスリップを検知すると電気モーターの駆動力を前輪に伝達する制御も行う。また、一体設計された電子制御のリアLSDは、走行状況に応じて左右の後輪に最適なトルクを配分する。
メルセデスAMGが開発したAMGハイパフォーマンスバッテリーは、6.1kWhの蓄電容量を持ち、連続して70kWの高いパワーを引き出すことができる(ピークパワーは150kW)。このバッテリーは航続距離よりもいかに素早く電力を供給できるかが重視されているのが特徴だ。
なお、リアアクスルにはAアクティブステアリングを組み込み、AMMGアクティブロールスタビライザー、G RIDE CONTROL+ エアサスペンションなどを標準装備する。
「Eパフォーマンス」とは、AMGが独自開発したプラグインハイブリッドシステムを搭載するモデルにつけられる名称で、「SL 63 Eパフォーマンス」はAMG GT、AMG Sクラスなどに続く5番目のモデルとなる。
メルセデスAMG SL 63 Eパフォーマンス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4705×1915×1365mm
●ホイールベース:2700mm
●エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ縦置+モーター
●総排気量:3982cc
●エンジン最高出力:450kW(612ps)/5500-6500rpm
●エンジン最大トルク:850Nm/2500-4500rpm
●モーター最高出力:150kW(204ps)
●モ−ター最大トルク:320Nm
●システム最高出力:600kW(816ps)
●システム最大トルク:1080-1420Nm
●EV走行可能距離:13km
●バッテリー容量:6.1kWh
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:4WD
●0→100km/h加速:2.9秒
●最高速:317km/h
※EU準拠