錆びれない「最速男」の二つ名
引退発表後、立川らしい力強くアグレッシブな走りが戻り、第4戦では5位、第5戦では6位と上位でのフィニッシュが続く。第6戦では上位フィニッシュが見えていたが、ギアボックストラブルでリタイア。近年のTEAM CERMOを象徴するような悔しい結果となった。
しかし、第7戦オートポリスでは、立川が第6戦の鬱憤を晴らすかのような走りを披露。オーバーテイクが難しいとされるオートポリスでポジションをあげていき、最終的に4位でフィニッシュした。3年間勝利から遠ざかっていた立川だが、今なおトップドライバーとしての実力があることを改めて証明してくれたレースだったように思う。
最終戦は11位と結果は振るわなかったが、マシンをしっかりゴールまで運び、25年にわたるレース人生に幕を下ろした。ランキングは13位に終わったが、今年の立川の走りはいまだに一線級の速さを誇っており、その実力は決してリザルトだけで測ることはできない。
これまで数多くのチャンピオン経験者が引退してきたが、キャリア最終年でこれほどまでにポテンシャルの高さを見せたドライバーは記憶にない。立川祐路は最後の最後まで「最速男」の名に相応しい活躍を見せてくれた。
2024年からはSuper GTでも監督に就任
SUPER GTでは歴代2位の通算19勝、歴代最多となる24回のポールポジション、そして歴代2位タイとなる3度のGT500クラスでチャンピオンを獲得している立川(2023年終了時点)。ドライバーとしても一流の立川だが、すでに監督としても結果を残している。
国内最高峰のフォーミュラカテゴリーである「Super Formula」では、2011年にCERUMO・INGINGの監督に就任。着実に力をつけていき、2015年から2017年には3連覇を達成している。
監督としての実績もある立川は2024年にはSUPER GTでも監督に就任。チームはもちろん38号車TEAM CERMOだ。一貫して38号車のメインスポンサーを務めていたZENTに代わり、来季からKeePer技研株式会社がメインスポンサーに就任。ドライバーラインナップは長年立川とともにステアリングを握っていた石浦宏明に加え、ホンダから大湯都史樹が移籍。新しい体制で王者奪還を狙う。
SUPER GTでは低迷が続くTEAM CERMOだが、復活に向けこれまで以上に大きな変革をもたらしており、来季目が離せないチームの一つだ。ドライバーとしてチームに多くの勝利を導いてきた立川だが、来季は監督としての手腕に注目が集まる。